誰ひとりとして名前が読めない。
あ、胡蝶しのぶさんだけなんとか読めるわ。
自分はかなり流行に鈍感な方だと思う。
テレビをそんな観ないし、購読している週刊誌もない。
友人も居ないので、家族や仕事の人間以外と会って会話する機会もない。
ネット環境はあれど、自分の興味あることのみの情報収集だと、
どうしてもトレンドに疎くなってしまう。
数年前に、やたら“進撃の巨人”というワードを見かけた。
今はもう判るが、世界じゅうで大人気の漫画,アニメのタイトルだ。
だが、大ヒットしていたあの頃、それをまったく知らず、
よく目にするそのワードも、巨人=読売ジャイアンツと脳内で変換。
その年のプロ野球リーグで、巨人が快進撃でも続けているのだろう・・・。
そんなふうに思っていたくらい。
それと同じように昨年からよく見かけるようになったワード。
“鬼滅の刃”。
さすがにこれは、アニメかゲームのタイトルだろうとは思った。
ただ、進撃の巨人のときもそうだったが、
その内容はまったく知らず、アニメも漫画もまったく知らない。
小学校2年生(当時)の姪っ子が、小さなビーズを組み合わせて遊んでいた。
ビーズを好きな模様や形に組んで、アイロンで押さえて固め、
ワッペンだかコースターみたいなのを作るもの。
他の子が色とりどりにカラフルなものを作っていたなか、
その姪っ子だけが、緑と黒のみを使用して、エラくシックな四角いものを完成させた。
ドット絵というか、市松模様というか、とにかく小学生女子のデザインじゃあない。
できあがったそれを誇らしげに自分のところへ見せに来たが、
その地味な作品をみて、「なんこれ!?スイカ模様?」と思わず訊いた。
そのとき姪っ子が、「きめつのやいばたい!しらんとぉ?!」と返してきた。
「なんか好きな漫画の登場人物の服の模様っち。」
うちのお母んが続けて加える。
ふーん、こんなスイカみたいな柄の服を着たキャラが居るったい。
ちょうど一年くらい前だったと思う。
鬼滅の刃ってのを知らず、そんな感じだった。
昨年の冬くらいだったろうか。
休日にボーっと福岡の情報番組をながめていた。
太宰府市のとある神社が大人気で、全国から観光客が訪れているという話題だった。
ああ、新元号、令和のゆかりの地として脚光を浴びた、例の神社やね。
ここもそのうち行ってみらんといけんな・・・そう思いながら見ていたら、どうもあの神社とは違う。
竈門(かまど)神社・・・?
令和の神社ではない。
同じ太宰府市にあるけれど、あっちは確か坂本八幡宮って名前だ。
何のゆかりある神社なんだ?
そう思って、テレビを観続けていると・・・。
鬼滅の刃に登場する、主人公の名前と同じ名前の神社らしい。
また、この神社が太宰府の鬼門封じであること、
原作者が福岡県出身であることなど、
なかにはこじつけじゃなかろうか?と思えるものもあるが、
漫画のストーリーや世界観、設定と一致する点が複数あることから、
とくに原作側が公表しているわけでもないのに、
ファンが鬼滅の刃の聖地と崇め、全国から観光客が訪れているというものだった。
あの姪っ子の言っていた漫画って、そんな人気あるんだな・・・。
そんなふうに思っていた。
任天堂スイッチのソフト、大乱闘スマッシュブラザーズスペシャル。
ファイターエディット機能で、作ったオリジナルファイターを投稿できるのだが、
“ねずこ”というのは、しょっちゅう見かけるキャラクターだった。
同時によく目にすることがあったキャラクターが居た。
着物を着た女の子なんだけど、なぜか口に巻物みたいなものを咥えている。
巻物を口に・・・くのいちかな?
しかしくのいちにしては、このかぐや姫みたいな着物の格好は似つかわしくない。
不知火舞は行き過ぎだけど、もっとこう、軽装でないと動けない。
ある日、そのキャラクターを描いたとおぼしきものが、ちらっとだけゲームに出てきた。
ゲームそのものにキャラクターとして登場したのではなく、
世界じゅうのプレイヤーが、自身が作ったオリジナルキャラクターを投稿できる、
その一覧を閲覧していたときだ。
「ねずこやん!」
突然、隣でそれを見ていた甥っ子(5歳)が叫んだ。
「どれ?ねずこっち?」
「それたい!」
漢字バージョンは読めない。
画面に並んだキャラクター一覧のなかに、
例の巻物を咥えたかぐや姫みたいなキャラクターが居たのだ。
前々からこのキャラクターを作ったであろう投稿はちらほら見かけていた。
だが、名前が漢字だらけで、これが難読でキャラクターの名前が読めなかった。
なるほど、“ねずこ”って読むのね。
そういや、姓が“竈門”だ!
この巻物の女の子、鬼滅の刃のキャラクターだったか!
ファイターのみならず、ステージとしても投稿が多い。
鬼になると顔が怖くなるのね。
ようやっと鬼滅の刃ってのが、大人気アニメだと認識。
スイカ色した市松模様の着物を着た剣士と、巻物を咥えたかぐや姫みたいな女の子と、
それと、ミノタウロス・・・は牛だけど、そんな感じで頭がイノシシの二刀流の剣士。
この3キャラクターを認知した。
そして気付けば巷にあふれる鬼滅の刃グッズ。
子ども向けのお菓子や衣料品,文房具はもちろん、
こんなものまでコラボさせてどうすんの?ってな、日用品から雑貨までさまざま。
きけば子どものみならず、大人にも大人気だそうで、
ライターだの名刺入れだの、子どもは使わないものにまでコラボグッズはそろっている。
“ねずこ”でキーワード検索すると出るわ出るわ。
そうして先月公開された映画は、
コロナ禍にも関わらず、観客動員数,興行収入で記録を打ち立て、
今なおその記録を更新して映画界を席巻している。
もちろん違う映画だけど、そんなことは知らずに、鬼滅の刃公開直後に映画を観に行けば、
平日にも関わらず子ども連れでごった返していて驚いた。
香港では警察が著作権を無視して、キャラクターを流用。
批判に対し、香港警察はオリジナルキャラクターだと言い張っているらしいが、
作品に興味のない自分がみても、あれは明らかに真似ている。
中国へ返還されたから仕方がないが、一国二制度で行政特区とはいえ、
香港行政がすっかり中国化してしまっている証拠だといえる。
中国化を拒む人々らが起こす、過激なデモが収まらないのも解る。
富岡義勇ってのもよく見かける。
他にも鬼滅のキャラ、いろいろ混ざってるんじゃなかろうか?
漢字で剣士のやつは怪しい。
まあとにかく内外問わずに凄まじい鬼滅の刃旋風。
進撃の巨人や、君の名は。も凄かったけれど比にならない。
あと映画館で知ったのだが、これ、PG12作品じゃないか。
小3の姪っ子(ビーズで主人公柄のコースター作ってた子)なんて、
こないだ夜遅くまでテレビにくぎ付けだったぞ。
本来大人向けのストーリーらしいが、なぜかチビッコ達にもウケているようだ。
あまりに真剣に観ていたので、どんなものかと自分も少しだけ観てみたが・・・。
うーん、自分はあまり好きになれないかな。
ただ、イノシシ頭だけは気に入った。
そんな鬼滅の刃旋風まっただ中、何も知らずに昼食にと回転寿司店のくら寿司へ。
ちょうど鬼滅の刃のフェアみたいなのをやっていて、
メニューにいくつかコラボしたようなのが混ざっていた。
興味がないので、自分の食べたいものをどんどん注文する。
くら寿司はテーブルにある皿回収口へ、
食べ終わったお皿を投入すると、5枚ごとにミニゲームがはじまる。
まあ、オートで勝敗が決まってしまうのだが、
それをクリアすると、添え付けのマシンから、
子ども向けのオマケの入ったカプセルがもらえる。
この日は一回目のゲームが見事に当たってカプセルをゲット。
鬼滅の刃フェアだったので、中身は当然そのキャラクターのもの。
富岡義勇とかいう、ロン毛のキャラが出た。
名前はやはり、スマブラの投稿キャラで見たことあるぞ!
こいつも鬼滅の刃のキャラだったか!
姪っ子にでもあげよう。
デフォルメされていてよく分らないが、美形っぽいし人気ありそうなキャラだな。
前に名探偵コナンとコラボしていたときがあって、その時にゲットしたマグネット。
知らんキャラだ・・・というか、名探偵コナンのキャラクター、
コナンと一緒に居るドラエもんオマージュな少年少女3人組と、
いつも傍に居る女子高生と、銭形警部っぽいおっさん以外知らない。
ひととおり寿司を食べ、ラストにデザートとコーヒーを頼む。
くら寿司ではいつも、たっぷりベリーのアイスを頼む。
だが、フェア中なので、これに鬼滅の刃のキャラクターが被さっていた。
禰豆子のたっぷりベリーのアイス。
これ、禰豆子ちゃんの名前をこじ付けただけやん・・・。
そして到着したアイス。
なんかペラペラの小さい下敷きみたいなのが器に挟まれて来た。
デフォルメされた、禰豆子ちゃんのイラストが描かれたもの。
ああ、ただ名前を冠しただけじゃなくって、そのキャラクターのグッズが付いてくるのね。
これも姪っ子にやろう。
これ下敷きにしちゃ小さいし、コースターにしちゃ素材が向いてないし、
クリアファイルでもステッカーでもないし・・・一体なんだろう?
・・・。
平日の昼間。
少ない客。
ラストにこれを注文した中年男。
待て!
違うぞ、勘違いするなよ店員!
禰豆子ちゃんが欲しくって注文したんじゃないぞ!
・・・そんなことを思いつつ、しっかりそれを持ち帰った。
よく見るとかわいらしいキャラクターだ。
人気なのもうなずける。
だけど、やっぱり口に咥えたものが気になる。
これ巻物でもちくわでもなく、竹筒なんだな。
鬼になって人に咬みつくのを防ぐ猿ぐつわみたいなもんか?
こないだテレビを観ていた姪っ子に訊いた。
「このひとなんで口になんかくわえちょん?」
「おにやきたい。」
「なんで鬼なん?」
「おににおそわれたけん。」
「なんで鬼やったら口にこれくわえなん?」
「しらん。」
「これ何なん?」
「しらんっちゃ!」
「ちくわ?」
「ちくわじゃない!」
「ちくわの磯辺揚げやろうもん!?」
「なんそれ!しらん!」
うるさい、視聴の邪魔だから、あっち行け!
みたいな感じであしらわれた。
検索すると、ファイターもステージもたくさん出る。
人気あるなあ。
こういうのって大人の力作より、子どもが作ったであろうものの方が見ていてなごむ。
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