
家の隣は空き地になっていて駐車場として利用している。
その向こうには、小規模な雑木林と田畑がある。
すぐ近くに雑木林があるため、夜になると家の灯りにつられ、
網戸にいろんな虫がへばりつく。
多くはガやカゲロウ,カなどの小さな羽虫なのだが、
たまにコガネムシやハナムグリ,クワガタムシなどの甲虫も飛来する。
カナブンなど、少し大きめの甲虫が飛んでくると音で判る。
ミシッと網戸に、なんとなく重たい衝撃音があり、
これが羽ばたくと、ブブブブ・・・・と、うるさい羽音をたてる。
そしてまた、網戸のあちこちにぶつかる音がする。
ひと月ほど前に飛んできたコクワガタ。
数日前、この日もまた網戸にらしき音がした。
子どもの頃は、「カブトムシかも!?」なんて思いながらすぐに飛び出したものだが、
さすがにこの歳になると、さして虫なんぞに興味もなく気にもしないでいたら、
ちょうど家へ来た妹が、入口で少し大きめのトーンで喋る。
「なんこれ!?カブトムシ?カナブン??」
カブトムシだと?
カブトムシが飛んでくるのは極めてまれ。
まず自分が大人になってからはないし、
子どもの頃に、メスが一匹飛来してきたことしか覚えていない。
カナブンと区別つかないでいるということは、ツノのないメスだな。
さっそく妹が指さす、網戸の虫を見てみる。
小っさ!
体長2cmちょい。
このサイズ、どう考えてもカナブンかコガネムシやろ。
そう思いながらも、近づいてようく見てみると・・・。
・・・・?
この頭はカナブンでもコガネムシでもないぞ。
小さいけれど、このフォルムはどう見てもカブトムシのメス・・・。
捕まえてじっくり観察する。
顔や腹のつくりを見るが、やっぱりどう見てもカブトムシ。
ただ・・・固い外翅に縦スジとエンボス模様が入っているのが見えた。
これがカブトムシと決定的に異なる。
カブトムシは外翅の表面に凹凸も模様もなく、光沢を帯びてツルツルスベスベしている。
しかし、このナゾの甲虫の外翅は、
光沢はあるものの、縦に数本のスジとポツポツとエンボス模様が入っている。
サイズもカブトムシよりもずっと小さいし、コイツの正体はいったい・・・!?
さっそく図鑑を広げる。
こないだ謎のカエル、シュレーゲルアオガエルを調べたのと同じ、
年季の入った子ども図鑑の、“むし”を広げる。
カブトムシ,コガネムシの仲間の頁を開く。
しかし・・・コイツがどこにも載っていない。
ゾウムシやゴミムシ,テントウムシなど、他の甲虫の頁も見てみるが、
やはり載っていない・・・。
35年も前の子ども図鑑じゃダメだ。
ネットじゃ。
ヒメカブトムシで検索してみる。
確か、カブトムシよりもひと回り小さい、ヒメカブトムシってのが存在したはず。
画像が出たが、オスのしかない・・・。
それよりも、生息地が東南アジアだった。
これは違うわ。
・・・・・。
色々検索していて、コイツの正体が判明!
コカブト。
体長18~24mm,一部島嶼をのぞき日本全土に分布。
メスは載っていなかったが、オスが載っていた。
うむ、外翅にスジと模様があるぞ。
体長も分布域も外観もクリア、こいつに違いない。
オスでも、ほんの小さいツノがちょんと付いただけという、実にかわいらしい姿。
そして、この飛来してきたやつは、やっぱりメスだった。
サイズが小さくて、外翅に模様があるだけで、見た目はふつうのカブトムシのメスにそっくり。
先客のコクワガタさん♂
妹と一緒に来てた小二の甥っ子も、興奮気味でコカブトに見入る。
これを、カブトムシの幼虫(もうサナギだろう)が入っている飼育容器に入れる。
先客として、ひと月ほど前に飛来してきた、コクワガタのオスも居る。
腹減ってるかもしれないと、ミツを入れた切り株のなかへ入れた。
さっそく頭からミツに突っ込んだ。
おおっ!さっそくガッついてるぞ!
そう思っていたら、先にミツを吸っていたコクワガタに頭から突進。
そのままグワシッっと頭部をがっちり挟まれた!
慌ててコカブトとコクワガタを引き離す。
まあ、この程度で死ぬほどヤワじゃなかろうが・・・。
コカブトとコクワ、小同士で仲良くやっとくれよ。
パソコンに戻り、コカブトの生態などさらに詳しく読んでいく。
幼虫は主に朽木を食べて育ち―。
ふんふん、クワガタと一緒だな。
成虫は樹液にはあまり集まらず、主に昆虫の死骸を食べる―。
え!?樹液よりも死体かよ!
土中の他の昆虫の幼虫やサナギ,ミミズを食べることもあり、
成虫の固いコガネムシの腹部を食い破って内蔵を食べることも―。
ちょ・・・!
ダメやん!
カブトムシの幼虫、というかサナギやられてしまうやん!
同居のコクワガタもやられるかもしれん!!
すぐに飼育容器から取り出し、庭に逃がした・・・。
あんなちっちゃくてかわいいのに、肉食性の強い獰猛なヤツだったとは・・・。
それにしても、いろんな虫がおるのう・・・。
コカブトなんて初めて見たわ。
いや、もしかしたら今までも見ていたのかもしれない。
ただのカナブンとかコガネムシだろうと思い、気にして見ていなかっただけかもしれない。
コメントありがとうございます。
大雨ですが、隣町である添田町と、
その先の東峰村,朝倉市,大分県日田市などは甚大な被害を被っています。
自分の住んでいる町まで特別警報が出ていましたが、
うちの町だけは災害を逃れた格好です。
日田市がボランティアを募集していたので、
日曜に早起きして駆けつけようと思ったら、
そこへ行く道が全て寸断されていました・・・。
今回被害に遭った町、これまでこのブログにも登場したことがあり、
馴染みのある場所なので残念です。
今年の夏はジオンの滝には行けないな・・・。
話をコカブトに。
自分は今回初めて知った名前でした。
マニアの間では、わりと珍重されている昆虫のようですね。
獰猛な肉食性には驚きました。
ハンミョウ並に危険なヤツですね。
自分も小学生の頃は虫捕りに勤しみました。
カブトムシ,クワガタはもちろん、
セミにトンボにバッタにカマキリ,カミキリムシ,テントウムシ,etc・・・。
多くは逃がしてましたが、カブトムシとクワガタは飼育しました。
外国のカブトムシですが、ホームセンターやデパートで売られてるやつ、
業者ブリード品なので小っこいんじゃないでしょうか?
専門店へ行けば、現地採取の天然モノや、
ブリーダーが育てた巨大なヤツが売られているかもしれません。
ただ・・・お高いでしょうね。
オオクワガタとか、ミリ単で数千・数万も価格差が付くとか。
8cmて・・・。
コクワガタのあのフォルムでそのサイズだと迫力ありそうですね。
ノコギリやミヤマが貧相に見えるかも。
大雨大変みたいですがご無事でしょうか?
コカブト
名前くらいなら知ってましたが、現物を見たことは無いですね〜
そのサイズだとほとんどカナブンみたいですね〜
驚いたのがその食性
まさかの肉食だったんですね……
クワガタ、カブトって樹液とか甘いものしか食べないイメージだったんでビックリですね……
調べてみたら飼育も大変みたいで、
先に生まれた成虫がサナギや幼虫を食べてしまうそうな……
コクワガタ
名前の割りにクワガタとしては大型種らしいですね
海外種だと8cm超のコクワガタもいるとか……
もうそれはコクワガタではないような……
小学生くらいの頃、よく山へ昆虫採集へ行きましたね〜
懐かしい〜
大型のミヤマクワガタが採れたときは感動しました。
ヘラクレス、コーカサスとかアトラスといった海外の大型種に憧れてましたが、
最近これらの海外種、ペットショップでも売られてるんですね。
で、その売られてる海外種の小さいこと小さいこと……
角もショボいし……
子供の頃図鑑で見たのと全然違う……
なんかガッカリしましたよ。
大型なのはお高いのでしょうね。