よろず戯言

テーマのない冗長ブログです。

コカブト

2017-07-11 00:30:37 | 日記・エッセイ・コラム

家の隣は空き地になっていて駐車場として利用している。

その向こうには、小規模な雑木林と田畑がある。

すぐ近くに雑木林があるため、夜になると家の灯りにつられ、

網戸にいろんな虫がへばりつく。

多くはガやカゲロウ,カなどの小さな羽虫なのだが、

たまにコガネムシやハナムグリ,クワガタムシなどの甲虫も飛来する。

 

カナブンなど、少し大きめの甲虫が飛んでくると音で判る。

ミシッと網戸に、なんとなく重たい衝撃音があり、

これが羽ばたくと、ブブブブ・・・・と、うるさい羽音をたてる。

そしてまた、網戸のあちこちにぶつかる音がする。

 

ひと月ほど前に飛んできたコクワガタ。

 

数日前、この日もまた網戸にらしき音がした。

子どもの頃は、「カブトムシかも!?」なんて思いながらすぐに飛び出したものだが、

さすがにこの歳になると、さして虫なんぞに興味もなく気にもしないでいたら、

ちょうど家へ来た妹が、入口で少し大きめのトーンで喋る。

「なんこれ!?カブトムシ?カナブン??」

 

カブトムシだと?

カブトムシが飛んでくるのは極めてまれ。

まず自分が大人になってからはないし、

子どもの頃に、メスが一匹飛来してきたことしか覚えていない。

カナブンと区別つかないでいるということは、ツノのないメスだな。

さっそく妹が指さす、網戸の虫を見てみる。

 

 

小っさ!

体長2cmちょい。

このサイズ、どう考えてもカナブンかコガネムシやろ。

そう思いながらも、近づいてようく見てみると・・・。

・・・・?

この頭はカナブンでもコガネムシでもないぞ。

小さいけれど、このフォルムはどう見てもカブトムシのメス・・・。

 

 

捕まえてじっくり観察する。

顔や腹のつくりを見るが、やっぱりどう見てもカブトムシ。

ただ・・・固い外翅に縦スジとエンボス模様が入っているのが見えた。

これがカブトムシと決定的に異なる。

カブトムシは外翅の表面に凹凸も模様もなく、光沢を帯びてツルツルスベスベしている。

しかし、このナゾの甲虫の外翅は、

光沢はあるものの、縦に数本のスジとポツポツとエンボス模様が入っている。

サイズもカブトムシよりもずっと小さいし、コイツの正体はいったい・・・!?

 

 

さっそく図鑑を広げる。

こないだ謎のカエル、シュレーゲルアオガエルを調べたのと同じ、

年季の入った子ども図鑑の、“むし”を広げる。

カブトムシ,コガネムシの仲間の頁を開く。

しかし・・・コイツがどこにも載っていない。

ゾウムシやゴミムシ,テントウムシなど、他の甲虫の頁も見てみるが、

やはり載っていない・・・。

 

 

35年も前の子ども図鑑じゃダメだ。 

ネットじゃ。

ヒメカブトムシで検索してみる。

確か、カブトムシよりもひと回り小さい、ヒメカブトムシってのが存在したはず。

画像が出たが、オスのしかない・・・。

それよりも、生息地が東南アジアだった。

これは違うわ。

・・・・・。

 

 

色々検索していて、コイツの正体が判明!

コカブト。 

体長18~24mm,一部島嶼をのぞき日本全土に分布。

メスは載っていなかったが、オスが載っていた。

うむ、外翅にスジと模様があるぞ。

体長も分布域も外観もクリア、こいつに違いない。

オスでも、ほんの小さいツノがちょんと付いただけという、実にかわいらしい姿。

そして、この飛来してきたやつは、やっぱりメスだった。

サイズが小さくて、外翅に模様があるだけで、見た目はふつうのカブトムシのメスにそっくり。

 

先客のコクワガタさん♂

 

妹と一緒に来てた小二の甥っ子も、興奮気味でコカブトに見入る。

これを、カブトムシの幼虫(もうサナギだろう)が入っている飼育容器に入れる。

先客として、ひと月ほど前に飛来してきた、コクワガタのオスも居る。

腹減ってるかもしれないと、ミツを入れた切り株のなかへ入れた。

さっそく頭からミツに突っ込んだ。

おおっ!さっそくガッついてるぞ!

そう思っていたら、先にミツを吸っていたコクワガタに頭から突進。

そのままグワシッっと頭部をがっちり挟まれた!

慌ててコカブトとコクワガタを引き離す。

まあ、この程度で死ぬほどヤワじゃなかろうが・・・。

コカブトとコクワ、小同士で仲良くやっとくれよ。

 

 

パソコンに戻り、コカブトの生態などさらに詳しく読んでいく。

幼虫は主に朽木を食べて育ち―。

ふんふん、クワガタと一緒だな。

成虫は樹液にはあまり集まらず、主に昆虫の死骸を食べる―。

え!?樹液よりも死体かよ!

土中の他の昆虫の幼虫やサナギ,ミミズを食べることもあり、

成虫の固いコガネムシの腹部を食い破って内蔵を食べることも―。

ちょ・・・!

ダメやん!

カブトムシの幼虫、というかサナギやられてしまうやん!

同居のコクワガタもやられるかもしれん!!

 

すぐに飼育容器から取り出し、庭に逃がした・・・。

あんなちっちゃくてかわいいのに、肉食性の強い獰猛なヤツだったとは・・・。

それにしても、いろんな虫がおるのう・・・。

コカブトなんて初めて見たわ。

いや、もしかしたら今までも見ていたのかもしれない。

ただのカナブンとかコガネムシだろうと思い、気にして見ていなかっただけかもしれない。

 

 



2 コメント

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ミヤマだけは捕ったことがない ()
2017-07-12 00:10:15
Keiさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
 
大雨ですが、隣町である添田町と、
その先の東峰村,朝倉市,大分県日田市などは甚大な被害を被っています。
自分の住んでいる町まで特別警報が出ていましたが、
うちの町だけは災害を逃れた格好です。
日田市がボランティアを募集していたので、
日曜に早起きして駆けつけようと思ったら、
そこへ行く道が全て寸断されていました・・・。
今回被害に遭った町、これまでこのブログにも登場したことがあり、
馴染みのある場所なので残念です。
今年の夏はジオンの滝には行けないな・・・。
 
話をコカブトに。
自分は今回初めて知った名前でした。
マニアの間では、わりと珍重されている昆虫のようですね。
獰猛な肉食性には驚きました。
ハンミョウ並に危険なヤツですね。
 
自分も小学生の頃は虫捕りに勤しみました。
カブトムシ,クワガタはもちろん、
セミにトンボにバッタにカマキリ,カミキリムシ,テントウムシ,etc・・・。
多くは逃がしてましたが、カブトムシとクワガタは飼育しました。
 
外国のカブトムシですが、ホームセンターやデパートで売られてるやつ、
業者ブリード品なので小っこいんじゃないでしょうか?
専門店へ行けば、現地採取の天然モノや、
ブリーダーが育てた巨大なヤツが売られているかもしれません。
ただ・・・お高いでしょうね。
オオクワガタとか、ミリ単で数千・数万も価格差が付くとか。
 
8cmて・・・。
コクワガタのあのフォルムでそのサイズだと迫力ありそうですね。
ノコギリやミヤマが貧相に見えるかも。
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夏は昆虫採集 (けい)
2017-07-11 22:18:27
武さん、こんばんは
大雨大変みたいですがご無事でしょうか?

コカブト
名前くらいなら知ってましたが、現物を見たことは無いですね〜
そのサイズだとほとんどカナブンみたいですね〜
驚いたのがその食性
まさかの肉食だったんですね……
クワガタ、カブトって樹液とか甘いものしか食べないイメージだったんでビックリですね……
調べてみたら飼育も大変みたいで、
先に生まれた成虫がサナギや幼虫を食べてしまうそうな……

コクワガタ
名前の割りにクワガタとしては大型種らしいですね
海外種だと8cm超のコクワガタもいるとか……
もうそれはコクワガタではないような……


小学生くらいの頃、よく山へ昆虫採集へ行きましたね〜
懐かしい〜
大型のミヤマクワガタが採れたときは感動しました。

ヘラクレス、コーカサスとかアトラスといった海外の大型種に憧れてましたが、
最近これらの海外種、ペットショップでも売られてるんですね。
で、その売られてる海外種の小さいこと小さいこと……
角もショボいし……
子供の頃図鑑で見たのと全然違う……
なんかガッカリしましたよ。
大型なのはお高いのでしょうね。
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