この夏、またひとつの駄菓子が姿を消した。
8月いっぱいで製造終了。
9月の内に出荷も終わり、10月には店頭からほぼ姿を消した。
スーパーやコンビニの駄菓子コーナーに並ぶ色とりどりの駄菓子たち。
そのなかでひときわ目を引いていたこのお菓子。
インパクト大のパッケージとその商品名。
食べたことはなくても、その存在感で認知していたひとも多いだろう。
よっちゃんイカや、タラタラしてんじゃねーよ!の、
あのよっちゃん食品工業から販売されていたスナック菓子、
その名も、“らあめんババア”!
麺状に成形した小麦粉を油で揚げ、
醤油などで味付けをほどこした、ラーメンを模したスナック菓子。
代表的なのは、やはりおやつカンパニーのベビースターラーメンだろう。
自分ら世代だと、おやつカンパニーって社名より、松田食品って社名の方が馴染みがある。
ベビースターは子どもの頃はしょっちゅう食べていた記憶がある。
もちろんパッケージが二代前のあの頃に。
いつの間にかイメージキャラクターが変わっていたベビースター。
前のマルコメ君みたいなのが良かった。
しかし、よっちゃんのらあめんババア、パッケージが面白いので、
よく甥っ子達に買ってあげていたものの、これまで自分が食べたことがなかった。
今回、製造終了の報をいち早くキャッチできたので、
なくなってしまう前に食べておこうと思い、
また、このお菓子を気に入っていた甥っ子達にも最後の別れにと、大量に購入した。
見つけたスーパーで、在庫の半分を買い占めた。
ベビースターミニよりもやや小さなパッケージ。
内容量もわずかだが、5gほど少ない。
価格は20円。
ベビースターよりも微細で、パラッパラに砕けた麺。
辛すぎず薄すぎず、ちょうどいい塩梅のほんのり醤油味。
パッケージには勢いよくラーメンをすするおばあさんの姿。
しわだらけの口で、おそらく入れ歯も外してあるに違いない。
そんな口で、ものすごい勢いでラーメンをすする。
頭はかんざしを挿した団子髪に白い割烹着姿。
ドリフのコントで、いかりや長介がよくこんな格好のババアを演じていたなあ。
なかなか昭和なパッケージだが、このお菓子が誕生したのは、実は平成に入ってから。
ベビースターよりも全然若い。
どうりで食べた記憶がなかったのだ。
らあめんババアよりもさらに小さい、10円のラーメンスナックも在る。
その名も、ラーメン屋さん太郎。
太郎って名前でピンと来るかもしれないが、
ラーメン屋さんなのに、なぜパッケージがボクサーなのか不明。
らあめんババアより、ベビースターよりも歴史が古い。
・・・と思ったら裏面で謎が解けた。
パンチの効いた味・・・ボクサーね。
初めて食べてみたが、まあ特にこれといった感想はなく。
らあめんババアはベビースターよりも味が薄く、
よりシンプルで素朴な味わいだった。
塩分を控えなきゃいけない、血圧高めの身にとっちゃ、
らあめんババアの方が体に優しいかもしれない。
そしてふと思い出したのが、子どものころよくやっていた、ベビースターの食べ方。
お椀に入れて、お湯を注いで数分待ち、チキンラーメンみたく食べる。
チキンラーメンと異なり、ただスナックがふやけるだけで、
そんな美味しいわけじゃあないんだけど、かさが増してよりお腹に溜まる。
なにより、おやつの時間に疑似ラーメンが食べられるってのが嬉しかったっけ。
そこで、貴重ならあめんババアを6袋も使って、
あの頃ベビースターでやっていた、疑似ラーメンを作ることに。
そこは大人になったので、ただお湯を注ぐだけじゃなく、
それっぽくなるよう、あれこれ具材を足してみた。
まずパッケージのババアが、ラーメンをすすっているイラストを参考にする。
具に なると,チャーシュー,長ネギが確認できる。
なるととチャーシューはいいが、長ネギは茹でる必要があるので却下。
鍋で作らず、あくまでもどんぶりにお湯を注いで作る。
長ネギは向かないため、ふつうの刻みネギで代用することにした。
これにメンマと卵をプラス。
どんぶりにらあめんババアを入れ、
中央にくぼみ、卵ポケットを作って生卵を投入。
その周りに、チャーシュー,なると,メンマを並べ、熱湯を注ぐ。
どんぶりより一回り大きい皿でフタをして数分待ち、
最後に刻みネギをちらして完成。
具が多すぎて麺が見えなくなった・・・。
あれ?
こんな美味いものだったっけ?
子どもの頃、ベビースターでやっていたものより、はるかに美味しいものが出来上がった。
具材がプラスされたおかげだろうか?
そして絶妙なのが、このスープの味。
あっさり醤油味だけど、これがなかなかどうして美味い!
チキンラーメンのスープは、正直、濃過ぎると思うが、
らあめんババアのスープは、ちょうどいい!
ふだんから濃い味の醤油ラーメンを食べている、
関東圏のひとには物足りないかもしれないが、自分にはちょうどいい!
ふやけた麺もまたいい。
公の場では、言葉づかいにイチイチ気を遣わなければいけない昨今。
昔は学校だろうが会社だろうが、ラジオだろうがテレビだろうが、
ふつうに使っていた言葉がNGになってしまい、
もしかして、“ババア”って言葉が好ましくないなどの理由で販売中止か?
なんてことも思ったけれど、製造終了は原料の高騰とコロナの影響らしい。
こんなことにも影響してしまうなんて、新型コロナウイルスは本当に厄介な存在だ。
1994年の販売から、26年目にして生産終了。
またひとつ、懐かしい商品が姿を消した。
とはいえ、1994年といえば自分は高校3年生。
すでに駄菓子屋通いはやっていなかった頃だったので、
思ったほど らあめんババアには馴染みがなかった。
自分の子ども達や甥っ子らによく買い与えていたので、印象に残っていたのかな。
ラーメン屋さん太郎には姉妹品として、やきそば屋さん太郎ってのも在る。
こっちは帽子がおしゃれなブタがパッケージ。
ラーメン屋さん太郎が、「とり味」、つまりチキン味なのに対し、
やきそば屋さん太郎は、「味」としか表記されていない。
なんだこれ?けっきょく何味なんだよ!?
そこだけ書き忘れたミスパッケージか!?
なんて思っていたが・・・そうか、ブタ味、つまりポーク味ってことか。
そう考えると、この陽気な雰囲気のブタがシュールになってくる。
ラーメン屋さん太郎,やきそば屋さん太郎の裏面にある図解。
この「召し上がり方」って要る?
ふつうに袋から手のひらに出して食ってるだけやん。
やったことない人はやってみよう!
チープでなかなか美味い。
らあめんババアは入手できなくなったが、ベビースターでやれる。
なんなら、ラーメン屋さん太郎ででも。
その際、12~15袋は要るな。
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