休みを利用して映画を観てきた。
藤原竜也主演のミステリー、"僕だけがいない街"だ。
原作は三部けい氏の同タイトルのマンガ。
キャッチコピーは、「愛する人を守るため、僕は18年前に巻き戻(リバイバル)された。」
いつものごとく原作を知らない。
最初に予告編を観たときから面白そうだなと思って観ることにした。
時間が巻戻り、事件を未然に防ぐ能力を持つという主人公。
バック・トゥ・ザ・フューチャーとか、タイムスリップものはあったけれど、
個人の能力としてのこのような設定、今までにありそうでなかった(と思う)。
カイジや藁の盾,るろうに剣心など、最近は狂った役柄が多かった藤原竜也が、
珍しくまともそうな青年を演じているのも興味があった。
そんなこんなでかなり期待して鑑賞に臨んだ。
2006年、千葉県船橋市。
アパートで独り暮らしをしている、売れない漫画家の藤沼悟(藤原竜也)。
連載もなく、ふだんはピザ店でアルバイトをしている。
そんな彼には特殊な能力があった。
日常生活中、突如時間が巻戻るのだ。
それは、なにか事件や事故が起こる前兆。
巻戻った時間のなかで、彼は異常を発見して惨事を未然に防ぐ。
この日も配達中に、時間の巻き戻り(リバイバル)が起こる。
巻戻った時間のなかで、運転手が気を失っているトラックを発見。
事故に巻き込まれる少年を未然に救ったものの、
トラックの運転手を救おうとして、自らが事故に遭ってしまう。
気が付くと悟は病室に居た。
脇にはバイト仲間の、愛梨(有村架純)が付き添っていた。
周囲に心を開かず、感情を表に出さない悟に対し、
愛梨は持ち前の好奇心と明るさで、なにかと悟に近づいては、
その隠れた素顔を覗こうとする。
交通事故に遭った悟の元へ、母親の佐知子(石田ゆり子)が世話をしにやってくる。
佐知子と買い物中、偶然、愛梨と会うが、その瞬間、悟に再びリバイバルが起こる。
人で賑わうショッピングセンター、辺りを見回し異変を探す悟。
だが、うまく異変を見つけることができない。
事件を防ぐことができなければ、時間は再び巻戻る。
「かあさん、何かヘンな感じしない?」
悟は佐知子の手を借りて異変を探そうとする。
すると、時間が進みだした。
佐知子が異変を発見し、事件を防ぐことができたのだ。
佐知子は元アナウンサー。
報道事件にも精通していた彼女は、その時に見た異変で過去に起こった事件を思い出す。
そして、その過去の事件の真相を再び調べようとした矢先、何者かに殺害されてしまう。
帰宅した悟は、変わり果てた佐知子を抱いて絶叫する。
「リバイバル!起これ!!」
だが、佐知子は無残な姿のまま。
そのとき別室で物音がする。
犯人がまだ家の中に居た!
ベランダから飛び降り逃走する犯人。
急いでそれを追う悟。
だが、血まみれのまま街中を走っていた彼は、殺人事件の容疑者として警察に追われる羽目に。
そして路地裏でとうとう警官に追いつめられてしまう。
その瞬間、また時間が巻戻る--。
気付くと悟は、雪の積もった見馴れた街を歩いていた。
話しかけてくる、ランドセルをしょった子どもたち。
そうして辿り着いたのは、小学校。
教室に入る悟。
そこは、1988年、昭和63年の北海道石狩市。
悟(中川翼)は18年前にまで戻されていた!
ここで事件を防げば、かあさんは助かる!?
佐知子が18年前に起こった事件のことを悟に話していた。
記憶になかった悟は、書店で見つけた犯罪史の本でそれを知った。
クラスメートのひとり、雛月加代(鈴木梨央)が誘拐され殺害されていた。
それ以外にも2人の少女が連続で誘拐され殺された。
連続誘拐殺人の犯人として捕まったのは、近所の優しいお兄さんだった。
あの優しいお兄さんが人を誘拐して殺すわけがない!
当時、佐知子に泣きながら彼の冤罪を訴えた悟だったが、そのお兄さんは死刑判決を受ける。
それから悟は他人に心を閉ざす人間になっていた。
そうして戻されたのが18年前。
悟は、雛月加代を救えば、殺されてしまった かあさんも助かるのだと思い、
18年前の北海道で、雛月を誘拐事件から救おうと奮起する。
だが、家庭環境から学校を遅刻しがちで、
浮いている存在の雛月は、友達もおらず、いつもひとりぼっち。
クラスメートにも固く心を閉ざしていた。
悟は雛月が母親とその恋人から虐待を受けていることを知る。
担任の八代(及川光博)にも相談し、雛月を守ろうとする。
そうして、雛月が誘拐される3月2日がやってくる。
この日は悟の誕生日。
佐知子や友達にも協力してもらい、雛月を誕生会に誘う。
奇しくも同じ日が誕生日だった雛月。
初めて味わう誕生祝い、初めてもらった誕生プレゼントに雛月は喜ぶ。
その夜、雛月を自宅まで送り届ける佐知子と悟。
誘拐事件から雛月を守った悟は安心する。
翌日、雛月は登校しなかった。
不審に思った悟は、彼女の家を訪ねる。
人目をはばかるように、ゴミを捨てる雛月の母親。
そのゴミの中身は、雛月の衣服や持ち物だった!
雛月を救えなかったことを知った悟は絶叫して走り出す。
そうしてまた、リバイバルが起こる--。
戻された・・・いや、進んだのは、再び2006年。
悟は佐知子が殺された事件の容疑者として警察が行方を追っていた。
そんな悟を愛梨がかくまってくれる。
だが、愛梨にも危険が及ぶ。
佐知子を殺し、愛梨をも亡きものにしようとした犯人。
それが、18年前に北海道で起こった、
幼女の連続殺人事件の真犯人なのか!?
悟は警察から逃げながらも真犯人を必死に探す。
殺されたかあさんを助けるため。
優しかったお兄さんの冤罪を晴らすため。
信じてくれた愛梨を守るため。
雛月を守るため。
そしてついに真犯人を突き止めるのだが・・・!
すごい面白かった!
こういったサイコ・サスペンスはあまり好きではないのだけど、これは凄くよかった。
ラストは賛否両論あるのだろうが、こういう結末もアリなのかなと思った。
現代パートが2006年と、10年も前だったのはそのためだったか・・・と。
2006年と1988年を往来して、事件の真相を暴く。
決してリバイバルの能力を持つ悟ひとりではなく、
両方の時代で、いろんな方の信頼と協力を得てそれを成し得ていく。
子どもの1988年パートが感動的で、思わず見入ってしまった。
虐待を受ける子どもが可哀そうで、あれはなんとしても救いたくなる。
実際に、あんな境遇の子どもが居ることを考えると、本当にいたたまれない。
単なるサイコ・サスペンスではなく、
虐待・いじめなど、社会問題を突きつけられる作品でもあった。
藤原竜也はやっぱり巧い。
舞台で磨いた抜群の演技力、30過ぎてますます磨きがかかっている。
観ていて安定感があるというか、どんな役だろうが期待を裏切らない。
若い頃から演技は抜群だった。
20年くらい前に放映された、
SPEEDの今井絵理子と新垣仁絵が出演したドラマ、L×I×V×Eでは、
内山理名や星野真理ら、若い俳優がたくさん居たなか、ひとり演技がガチ過ぎて浮いていた。
愛梨役の有村架純は、ただただかわいかった。
原作の愛梨も、明るく強く、そしてかわいいキャラらしく、
とにかく芯が強く、悟を信じて守ろうとする。
そんなキャラもまた、健気でたまらない。
愛梨もまた、幼い頃にあった事件をきっかけに心に深い傷を負っている。
そんなだから、悟の心の傷にも気付いていたのだろうか。
あと、太ももが眩しかった。
佐知子役の石田ゆり子。
40代半ばで、こんなきれいな人居る?
妹の石田ひかりよりも若く見えるのは気のせいだろうか。
しかし、もののけ姫のサンの声をなぜ彼女が演じたのか未だに謎。
劇中、語られなかったけれど、佐知子にも何か特殊能力があったのだろうか?
悟の能力に気付いているような台詞があったのだけど、
彼女が報道に携わっていて、単に勘が鋭いってだけなのか?
ここら辺、原作を読んでいないから謎のままだ。
子役が素晴らしかった。
悟役の中川翼くんも、雛月役の鈴木梨央ちゃんも。
悟は姿は小学生でも、中身は29歳の悟のまま。
子どもの姿で大人の意識を持つ、いわば名探偵コナン状態。
あれは高校生だったっけ?
まあ、そんな状態の役を、リアル小学生が演じるのだから、とんでもなく難しかっただろう。
「犯人は狡猾で~」なんて長い台詞あるのだが、はたして理解できていたのだろうか?
たぶん監督らが、その意味を説明してはいたと思うけれど。
鈴木梨央ちゃんが凄かった。
端正な顔つきの彼女が親の虐待で心を閉ざした少女を演じる。
ときに冷たく、ときに嬉しい感情を圧し殺し、ときに感情を露わにする。
とにかく10歳とは思えない、ものすごい演技力に圧倒された。
こんな子が虐待され傷だらけで物置に放置されているのを見せられちゃ、
同じ子を持つ親として、その親に対して憎しみがふつふつと生じる。
いや映画なんだけどね。
原作はまだ連載中らしく物語は継続している。
そのため映画では、結末がオリジナルとは異なっているらしい。
というか原作はまだ結末を迎えていないんだよね?
アニメ化もされていて、ダイジェスト版を少しだけ観てみたけれど自分は好きになれないかな。
ストーリーはほぼ同じだけど、やっぱりアニメだと抵抗ある。
原作の漫画の方も主要シーンがパンフレットに載っていたけれど、
こっちも自分はあまり好きになれないかな。
画風がちょっと受け容れられず、また、幼女のリアルでエロい描写もあって、どうも・・・。
幸せになった あの子の結婚相手は誰なん?
推定で50前くらいなのに腰が曲がってたのはなんでなん?
未来が変わってしまったのに、その過程は悟の頭のなかに有るん?
映画では解らなかったこと、細やかな設定なんかを知りたいので、原作に興味はあるのだけど、
食わず嫌いなんだろうが、最近の漫画,アニメは、どうしても敬遠してしまう。
そうそう、この悟と自分は同年代。
現代パートが10年前の2006年なので、見た目は悟の方がずっと若いけれど。
なので1988年の小学生パートがやけに懐かしい。
会話のなかで、ドラクエⅢとか出てくるし、
ブラウン管の画面の小さいテレビやら、
ペットボトルなんかなかった時代の瓶ジュースとか、
駄菓子屋で売ってるお菓子とか、走ってる車もなつかしいものばかり。
ただ、実際あの時代の小学生ってあそこまでマセてなかったぞ。
今の子はかなりマセているけどね。
自分が小5のときなんか、ビックリマンシール集めて、ミニ四駆に夢中になって
「ペガサス流星拳!」「廬山昇龍覇!」とか叫んで聖闘士星矢ごっこして、
おぼっちゃまくんの真似して「ともだちんこー!」とかやってたわ。
映画自体はすばらしいと思った。
原作を知らないひとは観て損はないと思う。
原作ファンは、結末に賛否両論あると思うのでお勧めできないかな。
悟の描いた劇中マンガ、"ワンダーガイ"。
映画のために原作者の三部氏が描き下ろしたものらしい。
パンフレットに封入されていた。
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