先日の休みに映画を観に行った。
坂口健太郎主演のドラマ、“劇場版FINAL FANTASY ⅩⅣ 光のお父さん”だ。
原作はマイディー氏のブログ、“一撃確殺SS日記”内の連載記事、光のお父さん。
毎日更新しているという、FFⅩⅣのプレイ日誌的なブログ。
そのなかで人気を博した、実の父親とゲームをするというノンフィクション連載が元になっている。
ファイナルファンタジーの音楽のオーケストラコンサート、
BRA BRA FINAL FANTASY みんなdeえらぼー!を鑑賞した翌週の休みに鑑賞した。
この時期、偶然にも立て続けにFFの世界に浸った。
スクウェア・エニックスから販売されているロールプレイングゲーム(以下RPG)、
ファイナルファンタジー(以下FF)。
1987年にスクウェアからファミコンソフトとして第一作が発売され、
ハードが移ろいつつ、これまでにシリーズ作品がⅩⅤ(15)まで発売されている。
国民的RPG、ドラゴンクエストと並ぶ、人気のRPG。
自分が初めてこのFFに触れたのは高校のとき。
当時、スーパーファミコンで発売されていた、FFⅣの中古ソフトをお年玉で購入。
美麗なグラフィック,壮大な感動ストーリー,幻想的な音楽。
これまでにゲームで体験したことのない、圧倒的なクォリティとボリュームに魅了された。
あれから25年以上が経ち、FFは既にプレイしなくなった。
気持ち悪いくらいに進化し続けるグラフィック、複雑になるゲームシステム、
剣と魔法のファンタジーの世界が、銃器や機械兵器のSF世界に様変わりし、
そんなFFに共感できなくなり、最近のものはまったくプレイしていない。
なので、当初この映画を知っても、観に行こうとは思わなかった。
FFⅩⅣ・・・プレイしていなくて全く知らないし、観ても意味が解らないだろう。
そう思っていた。
だが、あらすじを見ると・・・なんだか面白そう?
これはゲーム知らなくても楽しめるのではなかろうか?
別にFFじゃなく、シリーズ自体を知らないゲームであっても、面白いかも?
オンラインゲームのなかの仮想世界と現実世界での、実話を元にした物語。
しかも、大好きな吉田鋼太郎さんが出演ときた。
俄然 観たくなり、公開されてすぐに観に行った。
広告代理店で働くアキオ(坂口健太郎)。
単身赴任中だった父親が、突然 仕事を辞めて家に戻って来た。
アキオが幼い頃から、仕事優先でほとんどかまってくれなかった父親。
そんな仕事一筋だった父親が理解できず、これまですれ違ってきたアキオ。
しかし、一緒に生活することになり、
父親が何を考えているのか、どう接していいのか解らない。
アキオは毎晩、オンラインゲームにインする。
ファイナルファンタジーⅩⅣ。
その世界で、“マイディー”を名乗り、彼(彼女)は仲間たちと、
ゲームの世界でもうひとつの生活をおくる。
そこで、突然戻って来た父親のことで悩んでいると仲間に打ち明ける。
アキオは子どもの頃のことを思い出してみる。
初めてFFの世界に触れたのは、小学生のとき。
父親に買ってもらったファミコンソフト、“ファイナルファンタジーⅢ”だった。
途中まで父親と一緒にプレイし、ラスボスを一緒に倒す約束をしていた。
だが、出張だ接待だ、仕事で忙しい父親はその約束を果たすことなく、
けっきょく一人でラスボス、くらやみのくもを倒し、FFⅢをクリアした。
アキオはクリアした達成感よりも、寂しさの方が勝ってしまう。
ある日、アキオは思いつく。
そして、仲間にそれを伝える。
「父を・・このエオルゼア※に誘ってみようと思います。」
自身がプレイしているFFⅩⅣの世界に父を誘い込み、
そこでゲームの中の父に近付いて、どんな人物であるのかを探ろうというもの。
アキオのその計画に驚く仲間たち。
だが、皆、協力してくれるという。
アキオの父、暁(吉田鋼太郎)。
大手企業で時期専務候補にまで出世していたものの、
家族に何の相談も無く、退職して家に戻って来た。
これまでずっと家に居なかったため、
妻の由紀子(財前直美)と、娘の美樹(山本舞香)も困惑する。
無口で無趣味の暁は、毎日テレビを見たり新聞を読んだりして、ダラダラと過ごす。
そんなとき、アキオがゲーム機とゲームソフト一式を暁にプレゼントする。
プレイステーション4と、ファイナルファンタジーⅩⅣのソフト。
それを退職祝い名目で渡す。
当初、興味なさげにしていた暁だったが、アキオにレクチャーを受けながらプレイしすることに。
FFⅩⅣの世界、エオルゼアに、暁が操作する新たなキャラクター、“インディ”が誕生する。
オンラインゲームはまったくの素人だったインディ。
だが、他人を装って近寄って来た、マイディーとその仲間たち。
徐々にエオルゼアでの生活に馴染み、仲間と楽しく雑談し戦い、すっかり打ち解けていた。
そこにいるのは、普段アキオが見ている、何を考えているのか解らない気難しい暁ではなかった。
社交的でひょうきんで、チャレンジ精神旺盛なインディというキャラクターだった。
お互い本音が解らず、ぎくしゃくしていた親子関係。
アキオは暁の本当の姿を少しずつ理解していく。
アキオが仕事で行き詰まったとき、マイディーでその悩みをエオルゼアで吐露すると、
暁のインディが的確なアドバイスをくれる。
ゲームで暁と触れ合ううち、どんな人だったのかが、だんだんと判って来た。
そして、また仲間に言う。
「父に正体を言おうと思います。」
またも驚く仲間たち。
マイディーと仲間たちとで、インディに最強の敵、“ツインタニア”に挑む約束をした。
ツインタニア撃破後、アキオは暁に正体を告げようと決心した・・・。
マイディー達と最強の敵に挑む約束をしたインディ。
エオルゼアでの仲間との冒険にすっかりハマり、
初心者だった自分が、いよいよ最強の敵に挑む。
その日を楽しみにしていた暁だが・・・。
面白かった!
FF14はまったく知らないけれど、全然楽しめた。
何よりもオンラインゲーム初心者あるあるが面白い。
そこはドラクエⅩをプレイしていて、自分も少しばかりオンラインRPGをかじっているので、
何も知らないひとよりは共感できるところがあったと思う。
強敵で立ち回りが解らず、何度も死ぬお父さんのキャラ。
その都度ため息をつく息子と仲間たち。
ああ、自分も迷宮のボス戦なんかでしょっちゅう死ぬけれど、
周りの皆は画面の向こうできっとこんななんだろうな・・・と思ったり。
それにしても、はしゃいでぴょんぴょん跳ねまわったり、
しぐさを駆使していろんな動作をするお父さんのキャラクター。
自分の息子が操作するオーガ♂の動きにそっくりだった。
ゲームの中ではっちゃけて、リアル中学生なみの動作をするお父さん。
チャットで語尾に“ぴょん”って付けたり、ひょうきんな内面を露わにする。
実話を元にしているらしいが、父親のそんな姿を見て、
はたしてアキオのように冷静に受け止められるだろうか?
まあ、少なくとも自分は無理だな。
あのアル中親父はまずないが。
その逆、息子がゲームのなかでネコ耳つけた美少女キャラになりきっていたと知って、
父親としてはたしてどう受け止めるべきだろうか・・・。
自分の息子は、読んでいる漫画や好きなアニメなんかで、
ちょっとその趣向があるみたいなので、まあ受け止められなくもないかな?
ただ、ネカマじゃないが、内面まで女性として振舞っていたら、引いてしまうかも。
吉田鋼太郎さんの演技はいいなあ。
とても寡黙な役なんだけど、表情やたたずまいだけでもう凄い。
それが、ゲーム内だと、あんなひょうきんな動きと喋り。
そのアフレコもご本人がやっていたようなので、また面白い。
妻役の財前直美さんとのやり取りも面白かった。
ゲームのやり過ぎを注意され、コントローラーを奪い取られるところなんか笑ってしまった。
その財前直美さんの演技も面白かった。
突然退職して戻ってくる夫を、何にも咎めることなく受け容れる。
専業主婦みたいだったし、暁も定年してもいい歳だったので当然といえば当然だが、
夫のキャラメイクを脇で見てて、「あら~イケメンじゃないの!」とか、
プレイしている後ろで、のんびりハーバリウムを作ってみたりと、なんともいえない役どころが良かった。
なにごとにも動じない芯の強さと寛大さを持ったキャラクター、
一昨年の大河ドラマ、おんな城主直虎で、
柴崎コウ演じる主人公の母親を演じていたが、なんとなくそんな役柄だったような。
アキオの妹、美樹役の山本舞香ちゃんも良かった。
この子、観るたびにどんどん女優としての箔が厚くなっていっているように見える。
数年前に観た、桜ノ雨のときの初々しさはどこへやら、
強気な女性の役をやらせたら、若手女優のなかで随一かもしれない。
美樹はその性格で交際相手のことで暁とぶつかるが、後半にはきちんと和解する。
アキオの同僚、里美役に佐久間由衣。
数年前の連ドラ、ひよっこで、有村架純演じる主人公の幼馴染みの役をやってた背の高い女の子。
その後、ゼクシィのCMでしか見なくなったが、久しぶりにこの映画で姿を見た。
厚めの唇と黒目がちの瞳がかわいらしい。
アキオに惚れて近付きたいがため、共通の話題をとFFⅩⅣを始めるのだが、
そんな彼女のキャラクターが・・・FFⅦのバレットよりもゴツイ大男ときた。
名前もゴリオだったっけ、確かそんなだったような。
こういうギャップもオンラインRPGならではかもしれない。
そして主人公アキオ役の坂口健太郎。
彼と吉田鋼太郎さんとの演技がすごく良かった。
ゲームのなかでのマイディーと、現実のアキオがコラボするシーンも、
容姿も性別も全く異なるのに、そのキャラの心理描写が違和感なく伝わって来た。
ゲームキャラの動きが先なのか俳優の演技が先なのか判らないけれど、
モニターを見ながらぶつぶつ言いながらの演技、
ゲーム内でのシーン、チャットの会話内容など想像しながら演じなければいけない。
このような演技は特に難しかったのではなかろうか。
映画よりも先に、ドラマ化されて放送されていたらしく、
その際、父親役は、故・大杉漣さんが演じておられたという。
ドラクエのフレンドから、ドラマ版の鑑賞も薦められたけれど、
いや・・・漣さんが演じているのを見ると、もう号泣確定で観てらんないと思う。
音楽はおそらくFFⅩⅣの曲が使われていたのだと思う。
だが、プレイしていないのでまったく判らない。
ただ、ファイナルファンタジーメインテーマと、プレリュードだけは判る。
やっぱりこの音楽だけは、どんなにシリーズが進もうが、
どんなに世界観が変わろうが、FFにおいて不変なんだなとあらためて思った。
しかし、ラストのスタッフロールで目を皿のようにして探したけれど、
植松伸夫氏のクレジットは見つけられなかった。
FFⅩⅣの音楽自体、植松さんは担当していないのかな?
それともスクエニでひと括りにされちゃっているのかな。
FFⅩⅣ最強の敵がツインタニアか。
確かFFⅤの次元城のラストに待ち構えていたのが、こいつだった。
バハムートのメガフレアを超える、ギガフレア。
FFシリーズで最初にそれを唱えたのもコイツじゃなかろうか。
幻の最強武器、ティンカーベルをゲットするために苦労したひとが多いはず。
自分は初戦で運良くゲットできたのを覚えている。
ただ、ベルを装備できるジョブが限られているので、ティンカーベル自体は使わなかったかな。
観終わったあと、意外にもSF臭がなく、
きちんとファンタジー世界してたFFⅩⅣにちょっと興味を持ち、
おもちゃ売場のゲームコーナーをのぞいてみた。
だが、FFⅩⅣは置いてなかった。
もし売られていたら、ひょっとしたら・・・と思ったけれど、
いや、ドラクエだけでいっぱいいっぱいだから、
これ以上、オンラインRPGに手を出すことはないな・・・。
いつぞやか、チョコボとともにアストルティアにやって来ていたシャントット博士。
FFⅩⅣのキャラだったのね。
※エオルゼア
FFⅩⅣでの世界の名前。
ドラゴンクエストⅩで言うところの、アストルティアに当たるのかな?
光のお父さん、観られたのですね。
FF14やってる人たちの間では、この劇場版より、
先に放送されていたテレビドラマ版の方が評価は良いようです。
まあテレビドラマの方がストーリー長いでしょうし、
お父さん役が大杉漣さんってことで感情移入もひとしおなのかな?
名前決めるとこや、装備品が変えられなくて止めちゃうとこ、奥さんにコントローラー取りあげられるとこ、
笑いどころが多々ありましたが、
一番笑ったのはPS4の接続に工具箱出してドライバー握ってたとこかな。
初代ファミコンは確かにドライバーが要ったなあ。
お父さんの不器用なほどの一所懸命さに胸を打たれましたね。
仕事やゲームだけじゃなく、実は息子に対しても一所懸命だった。
それにアキオがFFをとおしてようやく気付くという感動ストーリーでした。
れいなさんがFF14をやり始めたら、
アストルティアからエオルゼアへ、完全移住してしまいそう。
自分もこの映画を視聴後、少し興味をもったものの、
時間もないし、これ以上は無理ですわ・・・。
ドラクエ10もいっちょん進まんし・・・。
この記事を拝読した時から実はいつか観ようと思い続けて、今日遅ればせながら鑑賞いたしました。
素晴らしかったです。
始めから終わりまでモニターに釘付けでした。
お父さんが家族と喋る時だけ一人コテコテの関西弁になるところもウケました。
というより「寡黙で何考えてるのか解らない親父」とあの喋り方があまりにも水と油過ぎてぶったまげました。
何回も惨敗して「いやさすがにこのパーティじゃ無理だよな~ 悔しいのは解るんだけどさ」とモニタの前で呟きながら頭を抱えているシーン、本当にDQ10のコインボスとかでもあんな感じになる事が有ります。
でも本まで買ってきていっぱい付箋付けて書き込みして、本気で取り組む。
たかがゲームに?w と笑うヤツは居るでしょうけど、
じゃあ、あなたはこれほど真剣に何かに打ち込む経験した事有るの?
っていつも思います。
した事が有る人なら、ゲームであろうが受験であろうが仕事であろうが恋愛であろうがその気持ちが解るはず。
ラストシーンの「1年後」の後、マイディーが墓石みたいなのに盾を立てかけているシーンが出たので、「マジかよ、お父さん結局亡くなったの?」と泣きそうになりましたが、そうではなくて元気にログインしていて本当に安堵しました。
FF14は興味を持つ事すら避けていました。
一度ハマってしまったら大変な事になると思い。
あと、どうもDQ10に比べてキャラの顔が受け入れがたいのもあり。
でもたぶんそんなのはやり始めたらすぐに慣れるんだろうなと思いました。
DQユアストーリーの映画もそうでしたし。
実はDQXのチーム内にもFFを掛け持ちでしている人も多くなり、聞けばストーリーはすごく良いとの事。
ちょっとPC版でも買ってみようかな?
と心が今揺らいでいます。
それくらい良い映画でした。
と同時に、ここで記事にして下さった武さんにも感謝です~