よろず戯言

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舞妓はレディ

2014-10-14 00:46:04 | 映画

先日の休み、久しぶりに映画を観てきた。

周防正行 監督作,上白石萌音 主演のミュージカル映画、“舞妓はレディ ”だ。

キャッチコピーは、「あたし、舞妓さんになる。」

 

 

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シコふんじゃった。”,“Shall We ダンス?”,

それでもボクはやってない”の、周防正行監督が、

20年も前から温めていた企画らしく、長い年月を経てようやっと映画化が実現。

大好きな映画のひとつ、Shall We ダンス?。

その監督の最新作で、映画の雰囲気もなんとなく似ている。

しかもミュージカルときたもんだ。

これは絶対に観ておかなきゃいけない!

 

 

京都の小さな花街※1下八軒。

その一角に万寿楽(まんすらく)という、小さな老舗のお茶屋があった。

万寿楽に在籍している舞妓は、たったひとり。

女将・千春(富司純子)の娘、百春(田畑智子)だけ。

しかも百春はもうすぐ三十路。

本来ならばとうに舞妓から芸妓に襟変えしてなきゃならない歳。

 

だが百春が芸妓になれば、万寿楽から舞妓が居なくなってしまう。

そうなるとお茶屋として運営が難しくなる。

そんな問題を抱えながらも、今日も馴染みの客でにぎやかになる。

 

 

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そんな万寿楽に、ひとりの少女(上白石萌音)がやってきた。

「舞妓さんにしてくいや、はんどかい!」

少女は舞妓志望で田舎からひとりやってきた模様。

あか抜けないその少女は、どこかのきつい方言丸出しで、

舞妓になりたい!舞妓にしてください!と、千春らに懇願する。

 

だが・・・舞妓の世界は京都の花街の由緒ある文化。

どこのだれとも分からぬ娘さんを、簡単に舞妓にするわけにはいかない。

なによりも、上品な京ことばを流暢にしゃべるのが舞妓。

まるっきり理解できない どきつい方言では、とうてい舞妓にはなれない。

せっかく志願して遠方からはるばる来てくれたけれど・・・。

千春はじめ、誰もが無理だと判断し、少女を故郷へと返した。

 

 

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だが少女が来たちょうどそのとき、大学教授の京野(長谷川博己)が客として居た。

日本の言語研究をしていた彼は、少女の方言に強い興味を抱く。

京野曰く、少女の言葉は鹿児島弁と津軽弁が混ざっているとのこと。

そしてその強烈な方言を矯正し、京ことばを話せるようにしてやりたい!と言い出す。

同じく客としてその場に居た、呉服屋の社長・織吉(岸部一徳)が、

そんなことできるわけがないと蔑むと、京野は織吉に賭けを持ち出す。

見事方言を直し、少女を立派な舞妓にしてみせる!

 

京野は千春も言いくるめ、半ば強引に少女を故郷から連れ戻す。

少女の名前は春子。

幼い頃に両親を事故で亡くし、祖父母に育てられた。

祖父の故郷が鹿児島、祖母の故郷が青森。

ワケあって両県で暮らした春子は、鹿児島弁と津軽弁のバイリンガルになっていた。

そんな春子が、万寿楽で舞妓見習の、仕込みさんとして奉公がはじまる。

 

 

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奉公と並行して、歌や踊り、楽器のおけいこ。

行儀作法に着物の畳み方に着付け、そして一番つらいのが京ことば。

「はい」という返事ひとつまで、千春や先輩の芸妓から指摘される。

そんな春子を支えるのが、大学教授の京野。

京野は春子の言葉の“センセ”として、大きな存在になる。

春子は自分のために熱心なセンセに淡い恋心を抱く。

 

花街で目の当たりにする、様々な人間模様。

厳しい稽古と辛い毎日。

叱られ涙ながし、それでも舞妓になりたい一心で必死にがんばる春子。

彼女が舞妓になることを夢見ていたのには、ある理由があった。

幾多の試練を乗り越え、見事京ことばをマスターし、

春子は舞妓さんになって夢を叶えられるのか!?

センセへの想いは!?

 

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田舎の少女が舞妓さんになるというシンデレラストーリー。

おもしろかった!!

ミュージカルってことで多少不安があったが、問題ない!

前に観た、ミュージカル映画もどき、“嫌われ松子の一生”,“パコと魔法の絵本”や、

中途半端にミュージカル入れていた、“キラー バージンロード”なんかと比べれば、

ばっちりミュージカル映画していた。

いいタイミングで節々に来る。

真面目な役のひとも怖い役のひとも、すぐに切り替わって歌って踊る。

振付はパパイヤ鈴木らしく、ユーモラスでカッコイイ。

 

タイトルの“舞妓はレディ”は、

アメリカのミュージカル映画の名作、“マイ・フェア・レディ”をもじったのだとか。

あのオードリー・ヘプバーンが主演の不朽の名作とのこと。

観たことがないけれど、ポスターなら観たことあるかな。

 

 

 

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さすがShall we ダンス?の監督。

ちょっとコメディタッチで、ほろりとくるストーリーを、

ミュージカルシーンを織り交ぜながら、見事に作ってくださった。

そういえばメインテーマ曲の、“舞妓はレディ”。

どことなく、Shall we ダンス?のテーマ曲に曲調が似ている。

 

またShall we ダンス?ファンには嬉しいキャスティング。

草刈民代渡辺えりが芸妓役、竹中直人が男衆※2の青木役、

草村礼子が春子の祖母役、そして徳井優田口浩正も登場。

ラストの大団円のシーンでは、竹中直人と渡辺えりのペアが炸裂!

Shall we ダンス?のあの名コンビが、名シーンのオマージュを見せてくれるので必見!

 

 

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主演の上白石萌音ちゃん、まったくスレてないような初々しさがよかった。

実際は、いまどきの女の子している女優さんなのかもしれないが、

悪い言い方だとイモっぽさが、春子の役柄にぴったりだった。

澄んだ声での歌唱力がすばらしく、大人数のオーディションから選出されたのが解る。

あと名前が凄い、上白石萌音(かみしらいしもね)って・・・。

まさか本名じゃないですよね?

 

そして何よりも美しかったのが、女将の千春を演じる、富司純子さん。

自分は決してフケ専でも熟女マニアでもない。

だが、このひとのエレガントな美しさは何度みてもため息が出る。

凛とした和装姿での美しい所作と流暢な京ことば、

春子達に対する厳しくもやさしい母の姿に惹かれてしまう。

こんな歳を重ね一層美しさが際立つ女性もそう居ない。

実の娘さんは個人的に微妙だけど・・・いやその決して嫌いじゃないですけれど。

 

 

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観終わると、「舞妓はレディ~♪と」思わず口ずさんでしまうはず。

公開から一カ月経ち、次第に上映回数も減ってきている。

興味のある方は、観て損はない!

Shall we ダンス?が好きならば、絶対に観ておくべし!

 

 

 

※1 花街(かがい)・・京都にあるお茶屋さんが集まっている場所。

   お茶屋とは贔屓の客を座敷で宴席を設け、舞妓・芸妓でもてなすお店。

 

※2 男衆(おとこし)・・舞妓さんや芸妓さんの身の回りの世話をする男性。

   着物の運搬や着付けの際の帯締など、力の要る作業が多々あるため、 

   男衆は花街に必要不可欠な存在。

 

 

 

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