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シャクヤク

2016-05-24 17:13:13 | フラワー・園芸

福岡県直方市ふくち山麓はな公園にて

以下の写真、記述のないもの全て同場所にて撮影

 

春の半ばから夏にかけ、見事な大輪の花を咲かせる、シャクヤク(芍薬)"Paeonia lactiflora"。

ボタン科の植物で、開花期が少し前になるボタン(牡丹)によく似た豪華な花。

その高貴な花姿から、"花の宰相"とも呼ばれる。

また、"立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花"という、

美人を花に例える形容句のなかに、牡丹と一緒に入っている。

 

 

 

中国では古くから栽培がはじまり、鑑賞用のみならず薬用としても重宝されてきた。

日本でも平安時代に伝わったとされ、薬草として盛んに栽培されてきた。

今でも漢方薬のもっともポピュラーな原料としてシャクヤクの根が使用される。

鎮痛や痙攣止めの作用があるとされ、

風邪の諸症状をはじめ、神経痛や冷え性,生理痛など、処方される用途は広い。

ふだんよく手にする、のど飴や咳止めなどにも、よくこの成分が含まれている。

 

 

 

薬用以外にも鑑賞用としても古くから品種改良も盛んに行われてきた。

肥後藩(現在の熊本県)では、武士のたしなみとして、シャクヤクの栽培が奨励されていたそう。

現在でも薬用のみならず、切花用として日本各地で栽培が盛んで、特に長野県が有名。

一重咲きで中央がこんもりとしたタイプは、日本で作出されたタイプだそうで、

海外では、"ジャパニーズ・スタイル"と呼ばれているらしい。

切り花で流通しているのも、このタイプがスタンダードだ。

 

 

 

シャクヤクを切り花で購入する際は、ガッチガチの蕾の状態で買うこと。

これ本当に開くの?って思うくらい、小さくて丸いやつでいい。

あれが、水切りして花瓶などに生けると、

みるみる開花して、すぐにあの大輪の花を咲かせてくれる。

開花後は、そんなに花保ちしないので、

すでに開花しているものや、半開きの蕾を買うのはNG。

花束などに即使用して、すぐに開いてないと困るときは別だけど。

 

 

切花を購入する際は、なるべくガッチガチの玉状態のものを。

 

ボタンとそっくりなこの花。

開花期が異なるのでそれで判断できればいいのだが、若干被る時期がある。

大きいのがボタン,小さいのがシャクヤクなんていう人もいるけれど、

昨今の改良品種はかなり巨大なものもあり、大きさだけでは判断できない。

シャクヤクの特徴をもったものだと、花だけですぐに判断できるのだが、

大輪で八重咲きのものなど、品種によっては花だけで見分けるのは難しい。 

散り方で判断することもできるが、それだと散るまで判断できない。

ツバキとサザンカの区別同様、花ごと散るのがボタン。

花びらがいっせいに落ちるのがシャクヤク。

 

 

左はボタン。

右がシャクヤク。

 

自分は大抵 葉っぱで見分けるのだが、慣れていないひとには難しいかも。

ボタンの葉は光沢がなく、先端に切れ込みがある。

対してシャクヤクの葉は、光沢があり、先端の切れ込みがない。

しかし花でも葉でもなく、もっと簡単な見分け方は蕾

まんまるなのがシャクヤク。

ボタンの蕾は先端がとがっている。

ただし、シャクヤクの蕾も半開きになってしまうと区別が難しくなる。

 

そこでもっと簡単に見分けられるのが茎。

木になっているのがボタン。

草なのがシャクヤク。

このため、シャクヤクは冬に地上部が枯れてなくなる。

ただ、ボタンにはシャクヤクを台木としている接ぎ木苗のものが多くあり、

管理の悪い場合、台木部分から伸びた ひこばえがそのまま伸びて花を咲かせ、

牡丹なのかシャクヤクなのか、どっちだか判らなくなることもある。

ひと株で両方の花が楽しめて、お得だとは思う。

 

 

あまり見ない黄色のシャクヤク。

 

開花時期は福岡だと4月半ばから6月いっぱいまで。

花が終わると、葉がわさわさと生い茂り、真夏の到来となる。

切花は盆近くまで流通する。

冷涼地で生産されたものが真夏になっても流通するのだが、

蒸し暑い真夏に購入したシャクヤクは開かないまま腐ってしまうこともあるので、

個人的に、時期はずれに敢えてそれを求めることはしない方がいいなと思う。

 

 

 

そんなわけで、今が見ごろのシャクヤク。

山間部では畑の片隅で栽培されている光景をよく見る。

各地の公園や庭園などで、植えられていると思うので、

その華やかな花姿を堪能して欲しい。

 

以下、シャクヤクギャラリー。

 

 

 

 

 

  

 

切花のシャクヤク。

蕾で購入しても、水切りして半日でこれだけ開く。

 



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