“ママノリア日記

ママノリアの独り言

silence1

2006年03月01日 | アリノママノリアの日々
第一話
(少年の卑下)

「俺なんて死んじまえ!!」
たけしは風呂の中で叫び続けた。己を抑制する理性を心のどこかで持ちながら、ただひたすら水しぶきを散りばめ叫び続ける。

「ピンポーン・ピンポーン」
「水道局のものですが、どのたかいらっしゃいませんか」
「ピンポーン・・・」

たけしは、慌てて風呂場から出てバスタオルを下半身に巻きつけ玄関に向かった。
水道局員のその女性は、少年の姿を見て少し呆れ顔で明細書を渡す。
「今日お支払いただけなければ・・・」
「すいません、二時間ほど待っていただけないでしょうか?」たけしは同情を渡すように言葉を投げかけた。

 午後4時、慌てて携帯電話の電話帳を眺める。すでに金融機関からの借受は出来ない状態だ。たけしは少し考えつつ、当然のように、あるいは思いついたかのように一人の人物に電話をかけた。

田川 満30歳。都内に勤める普通のサラリーマンであると同時に、悪徳行者の弱みを握り金を巻き上げるねずみ小僧だ。

「あ、もしもし満さんですか?」「おう、たけしか」
「満さんすいません、少しお金を貸していただけないでしょうか?」
「ふざけんじゃねー!このやろう!どの面下げて金貸してくれだ?てめえの心臓もってこい!まぁ、いくらの金にもならんがな」そういうと満は高らかに笑い最後に聞いた。「いくらだ?」






第二話続く