動きだすソラ〓

歩きだしてというよりは、何かに背中を押されるように、その足を踏み出した。
夜明けが来るのは暗闇があるからだ。その暗闇の林を必死で掻き分けて、光を探す。
その足はよろめきながら、時に長い間２つを土に深く食い込ませて、やがては靴を脱ぎ捨て湿った上を歩いた。

ほんの少しだけ明るい兆しを見つける。しかしそれは形ではなく、瞳にも写らないものだときづいた時、また少し明るい兆しを感じた。

憂いの傘に少しだけ頼って今日はここで雨宿り。

ふと目を下に落とすと、暗闇の中に光る白を見つけた。

ひざまずき耳を傾けると、ストイックな感情が、夏の蝉のようにこだまする。
その光に口づけすると脱力感と幸福感に支配され魔法にかかったかのように、眠りにつかされた。