ウラン鉱山から掘り出し、加工したウラン燃料を、原子炉で使用したあと、再処理・加工して、
再び、原子炉の燃料として利用する循環を「核燃料サイクル」または「核燃サイクル」といいます。
当初は、高速増殖炉を開発し、プルトニウムを少しずつ増やして、2100年ごろに、再生エネルギーとあわせて、エネルギーの自給率を100%にする計画でしたが、高速増殖炉の原型炉(まだ実験的な炉・商用炉のひとつ前段階)の「もんじゅ」が相次ぐトラブルで実用化する目処がたたず、このサイクルは破綻しました。
そこで考えだされたのが、プルサーマル発電です。プルサーマル発電とは、高速増殖炉で使用する予定だったMOX燃料のプルトニウムの濃度を低くし、軽水炉で使用するというものです。これによって核燃料サイクルの計画を維持しようとしているのですが、これには軽水炉の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場と、MOX燃料の加工工場が必要になります。現在7ヶ所の原発に装填されているMOX燃料は、イギリスとフランスに加工を依頼したものです。
現在、六ヶ所村にある日本原燃の再処理工場は、ほぼ完成していますが、プルトニウムを取り出す際に発生する高レベル放射性廃棄物を処理する、ガラス固化という技術が確立しておらず、当初、2005年だった操業開始予定が、今年の11月までずるずると延期され、すでに2兆円以上の資金が投入されています。もう1つのMOX燃料加工工場は、再処理工場に隣接して工事が行われています。この春には、建屋の建設工事が始まりました。
どちらの工場も、加工工程での放射能漏れは不可避だといわれており、フランスの同じような工場周辺では、小児癌の発生率が3倍になっているという報告があります。
「高速増殖炉」は、プルトニウムを20~30%の濃度に高めたMOX燃料(ウランとプルトニウムの混合燃料・現在軽水炉用に作られているMOX燃料のプルトニウムの濃度は4~9%)
を使用し、発電を終えると、プルトニウムが若干増えるとされている。その量は、理論的には、10年フル稼動させて、2倍になるといわれていたが、実際にはもっと少ない模様。高速というのは、燃料に高速で中性子を衝突させるためについた名称です。冷却材には水ではなく、ナトリウムを使用しているため、そのナトリウムが漏れると、水や酸素と激しく反応する為、世界的にみても、高速増殖炉は技術的に難しいとされていて、いまだ実用化に成功した事例はありません。
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