
ポルノにコメディ、ロマンスやヒューマンと幅広いジャンルでそれなりの作品を撮り続けている滝田洋二郎監督。最新作『おくりびと』の評判も上々でハズシの少ない映画監督という印象が自分の中では強い。その滝田監督による大沢在昌の人気ハードボイルドシリーズ『新宿鮫』第1作目の映画化だ。数年前に館ひろし主演でNHKドラマ化されたシリーズに比べると、真田広之の方が刑事鮫島役にはまっていた感じがする。どんな役を演じても「あぶ刑事」に見えてしまう舘ひろしは演技の幅が狭すぎてつまらないのだ。公安時代のイザコザが原因でキャリア組なのに防犯課の警部どまり、はぐれ刑事として単独捜査を敢行する鮫島の孤独感やトラウマ、(麻薬に対する異常なほどの)潔癖性などを真田広之が人間臭く演じている。
しかし、マドンナ役の青木晶役の田中美奈子は、(多くのレビュアーのご指摘どおり)あきらかなミス・キャスト。ロック・ボーカル・シーンはおいといても、原作の中では鮫島にロケット・オッパイと呼ばれている晶と田中とのフェロモン格差はいかんともしがたい。ポルノ出身の滝田監督をもってしても、(ソフトボールの上野投手にちょっと見似ている?)田中から“女”を引き出すのは難しかったようで、肝心の真田との絡みがまったく盛り上がらないのだ。むしろ、拳銃密造業の同性愛者・木津(奥田瑛ニ)とのあぶないプレーの方がよっぽど見ごたえがあったくらいだ。
ストーリー的には晶の新宿ライブと密造拳銃がどのように結びつくかが焦点となっていて、観客の目を眩ます引っ掛けもちゃんと用意されており、正直中だるみはまったく感じなかった。最近のナル男俳優とは段違いの存在感を見せている真田広之がとにかくかっちょいい。今時「晶はオレの女だー」なんてクサイ台詞を叫んでも絵になってしまうのは、この人ぐらいしかいないだろう。それだけに相手役のマドンナにせめて(15年前の)キョンキョンあたりを是非キャスティングしてほしかった1本だ。
眠らない街 新宿鮫
監督 滝田洋二郎(1993年)
〔オススメ度


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しかし、マドンナ役の青木晶役の田中美奈子は、(多くのレビュアーのご指摘どおり)あきらかなミス・キャスト。ロック・ボーカル・シーンはおいといても、原作の中では鮫島にロケット・オッパイと呼ばれている晶と田中とのフェロモン格差はいかんともしがたい。ポルノ出身の滝田監督をもってしても、(ソフトボールの上野投手にちょっと見似ている?)田中から“女”を引き出すのは難しかったようで、肝心の真田との絡みがまったく盛り上がらないのだ。むしろ、拳銃密造業の同性愛者・木津(奥田瑛ニ)とのあぶないプレーの方がよっぽど見ごたえがあったくらいだ。
ストーリー的には晶の新宿ライブと密造拳銃がどのように結びつくかが焦点となっていて、観客の目を眩ます引っ掛けもちゃんと用意されており、正直中だるみはまったく感じなかった。最近のナル男俳優とは段違いの存在感を見せている真田広之がとにかくかっちょいい。今時「晶はオレの女だー」なんてクサイ台詞を叫んでも絵になってしまうのは、この人ぐらいしかいないだろう。それだけに相手役のマドンナにせめて(15年前の)キョンキョンあたりを是非キャスティングしてほしかった1本だ。
眠らない街 新宿鮫
監督 滝田洋二郎(1993年)
〔オススメ度



