きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

もったいない精神

2021年03月11日 | CORONA
新型コロナに対するワクチン接種が日本でもやっと始まりました。

まずは、コロナ感染治療を担当している医療機関から優先的に配布が行われていますが、需要と供給のバランスはとても悪く、医療機関においても、さらに優先順位を考慮して接種する人を選別しなければならないといった状況です。

そんななか、1バイアルあたりの接種回数について、あれやこれやと報道されています。

ファイザー社製のワクチンのバイアルには0.45mLの原液が入っており、接種する際には、まず1.8mLの生理食塩水をたして2.25mLに希釈し、それを注射器で吸い取って準備をします。
1人に投与するワクチンの接種量は1回あたり0.3mLのため、 計算上は1バイアルあたり7回採取できるはずです。

ところが、注射筒と針とのあいだにはデッドスペースがあり、このぶんを含めた量をバイアルから吸いとるため、結果としてきっちり計算通りにはいきません。
一般的に普及している注射器を使った場合は、5回分しかとれないことがわかりました。
このことにガッカリさせられたのは、おそらく河野大臣だけではありません。

ならば、バイアルに残ったぶんどうしを合わせて1回量を確保すればいいのでは?と思った方もいらっしゃるでしょう。

でも、それは決してやってはいけません。
なぜかというと、医薬品はなにかあった場合の追跡調査がきちんとできるように、厳重な製造ロット管理がされているからです。


大臣はいったんは「5回分でもやむなし・・・」と公言していましたが、現場の医療機関では色々と工夫がされています。

品薄のローデッドスペースシリンジに代わって、インシュリン用注射器の使用が提案されました。

たしかにインシュリン用はデッドスペースが少ないのですが、皮下注射用なので針が短く、皮下脂肪が厚いと筋肉まで到達できないので注意が必要です。(今回のコロナワクチンは筋肉注射です)

きちんと筋肉注射するために、接種前にわざわざ超音波検査を行って皮下脂肪の厚さを確認し、インシュリン用注射器で接種できる人とできない人を選別するといった工夫をしている病院も出現しました。

2回接種すべきところを1回だけにして、接種人数を倍増させようという考えている自治体もあるとかないとか・・・

素人考えはいけないと思います。

もちろん、もったいない精神は大切ですが、清く正しく、私たちの身も心も健康になるために、じょうずに働かせたいですね。

早く、需要に見合ったワクチン供給がされるように切に願っています。


私は昔から布好きで、コロナ禍では、暇があるとこれまで集めたいろいろな布を使ってマスク作りを楽しんでいるのですが、端切れ布がもったいなくて捨てられません。

思い立って、フラッグガーランドを作って、職場に飾ってみました。
捨てられてしまったかもしれないものが、アップサイクルされるって、実に気持ちがいいです。


NHK新型コロナウィルスワクチン特設サイト
www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/






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