きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

セロ弾きのゴーシュ

2021年05月17日 | CORONA
お変わりなくお元気におすごしでしょうか?

遅ればせながらやっと日本でも、一般の方々へのワクチン接種が始まっているようですね。
ところが、接種対象者であることを知らせる通知がきたものの、なかなか予約の電話がつながらないとか、ダブルブッキングや突然のキャンセルがある等、連日報道されています。
そういう話をきかされると、とてもヤキモキしてしまいます。
ですが、医療現場にいる者としては、なるべく早く多くの人がワクチンを受けられるよう、行政担当の方々に速やかに対応を改善してもらえるようにお願いするしかありません。

ところで今朝、ちょっと気になることを耳にしました。
先週、ワクチン接種を受けた方(当病院で働いている一般職員)が、こんなことをおっしゃっていたのです。

「2回目の接種の翌日、1日中熱が出てつらかったです。もらっていた解熱剤は免疫力を下げてしまうと思って飲みませんでした。」


ワクチンを打ったことで免疫が反応して、発熱や倦怠感が出ます。
個人差はもちろんありますが、これらの反応は想定内のことです。
ですから、接種時にあらかじめきちんと説明し、希望者には解熱剤をお渡しすることにしています。
それでも十分理解されずに、高熱でつらい思いをしてしまう方がいらっしゃるのだと知りました。

ワクチンを打つ前に予防的に解熱剤を使うということはおすすめしていませんが、発熱してつらければ、その時は薬を飲んで熱を下げてあげましょう。
そういうタイミングで薬を飲むぶんには、ワクチンの効果を下げてしまうなどといった心配をする必要はありません。
かえって、高熱を我慢しすぎて体力を消耗したり、脱水になってしまうのは、からだによくありません。


話はまだ続きます。

「マスクせずに買い物に行ったら声かけられたんで、俺はワクチン打ったから大丈夫なんだって言ってやったんですよ」


嗚呼、これも大きな誤解です!

90%以上と言われている「ワクチン効果」は、「感染しなくなる」ことではなく、「発症や重症化しづらくなる」ことです。

「ウィルスを運び、周囲に感染させる」という点においては、ワクチン接種した人も同じであると考えるべきです。
国民のほとんどがワクチン接種をすませるまでは、マスクや手洗いをこれまで通りきちんと行わなければいけません。


当院のワクチンチームは、回を重ねていきながら、常に細かいところを改善していっており、安心してスムーズに接種が受けられるようになったと思っていましたが、実際に受けた人たちの声を聴いてみると、情報提供等において、まだまだ改善すべきことがあるんだなあと気づかされました。


遊びで描いた漫画。
これに挿絵や説明を追加して、チラシにして配れるようにしようかな・・・


接種の合間の待機室でのチェロ演奏、がんばって続けています。
半日の接種日での演奏回数は、計6回。
それぞれの回で2-3曲づつ弾きます。
こうして数えてみると、結構な本番数だわ(笑)

たまたま体調が悪くなった人に対応しなければいけなくて、演奏する時間がないこともあります。
そういうときは「弾いてもらえなかった」と残念がっている人もいると聞きました。

先日ある人からは、「音楽でからだが震えて、リラックスできた」という感想をいただきました。
宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」みたいで、うれしいです。

なんともありがたい気持ちになりますです。




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