きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

ワクチン騒動

2021年02月26日 | 教育
昨今のワクチン騒動で思い出したことがあります。
中学生のときの英語の暗唱大会のことです。

英語の教科書から好きな文章を選んで暗記し、みなの前で諳んじるのです。

私はたしか2年生の時、クラス選抜、学年選抜を経て、最終的に学校を代表する3人のうちの1人に選ばれ、市の大会に出場しました。
3人とも女子でした。

今では英語を母国語とする外国語指導助手(ALT)が小中学校にいることはめずらしくないですが、その頃は外国人が吹き込んだスピーチ練習用教材のカセットテープだけが頼りでした。

市の大会に向けては、放課後に私たち3人は、英語の先生の特別指導を受けました。

他の2人はすでに大会出場経験があり、とても上手でした。
私はというと、先生から「君の声は、とおりが悪いんだよね・・・」と半ばあきらめ顔で言われたのを覚えています。

実は、学校の先生から自分の声のことを悪く言われたのはそれが初めてではありませんでした。
小学校の音楽の時間に、楽しくて一生懸命歌っていたら、音楽の先生から「ひどい声だ」と言われたこともありました。
親にそのことを伝えたら、母親のおなかのなかでへその緒が首の周りにまきついていたせいだと、ダメだしをされました。
まあ、だからといって特に落ち込んだりはしませんでした。
今考えれば、あの頃はメンタルが強かったんですね。

市の大会までどのくらいの期間があったのかは覚えていませんが、教科書に載っていた発音記号の解説まで深く読み込んで、鏡を見ながら口の開け方、舌の使い方までも練習したりして、自分なりに練習を工夫して、市の大会に臨みました。

会場となったのは市役所の会議室でした。
他校から出場している生徒たちは、みな強敵に見えました。
あのときの緊張した空気感は、何十年たった今でも忘れられません。

そして結果はなんと優勝。
「The first prize is・・・」のあとに自分の名前が呼ばれたときは、本当に信じられませんでした。

審査委員長はイギリス人で、表彰式で彼と握手したときの手の感触や、賞状に書かれたWilliam Wallaceという彼のサインの字面まで思い出せます。

このことはその後の自分にとって、とても大きな自信となりました。
ですから、チャンスをもらえたことには、とても感謝していますが、大人たちは子供たちが持っている可能性を潰すようなことを言ってはいけない・・・と大人になった今は強く思います。

さて、この話のどこがワクチンに関係しているのか?(笑)

実は、この暗唱大会で私が選んだ文章というのが、生化学者パスツールが狂犬病ワクチンを開発したときの逸話だったのです。


新型コロナワクチンについて、医療従事者から優先的に接種が始まっています。
私は医療従事者としての責任から、毎年インフルエンザのワクチンを受けていますし、コロナワクチンについても、順番が来れば迷わず接種を受けます。

ですが、先に接種を受けた(男性)医師達が「ちょっと怖かったけど、だいじょうぶだった」とか、「ぜんぜん痛くなかった」みたいな感想を言っているという報道をみると、幼稚園児じゃあるまいし、もっとましなことを言えないのか?!と思ってしまいます。

報道する側の切り取り方にも問題はあるでしょう。

こんなふうに、最近はこの国の成熟度の低さを実感することがあまりにも多く、そのたびに心がざわついてしまいます・・・

200年以上前、最初に狂犬病ワクチンを受けた少年たちが今の状況を見たら、どんな感想をもらすでしょうかね?




この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 足利の山火事 | トップ | 生きる意味 »
最新の画像もっと見る

教育」カテゴリの最新記事