きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

ブレイクスルー的新型コロナ感染事例集

2021年09月10日 | CORONA
「症例報告」とか「事例紹介」という言葉を聞いたことがありますか?
医学の分野ではよく行われている研究様式のひとつです。
報告は医療カルテの記載のように、決まった形式にのっとって、臨床経過を振り返り、考察します。

新しい病気やめずらしい病気の患者さんを診療したときや、よくある病気でも、通常とは違う経過がみられた場合などは、報告する意義があります。
もちろん、発表の際には、患者さん個人が特定できないような配慮がされています。

1例だけでなく、同じような事例をいくつか集めて検討し、客観的に眺めてみると、新たな知見が得られることもあります。

症例報告はとても勉強になります。
ですので、若い医者を学会発表デビューさせるときは症例報告、というのが定石です。

学会発表でなくとも、普段から医師は、患者さんが入院治療したときには、どんなふうに治療したかなど、退院時に全経過を振り返り、考察を加えて、「サマリー」としてカルテに記録しています。

保健所の方々が、新型コロナウィルスの感染経路を見極めるために、ひとりひとりに聞き取り調査をしているそうですが、医師や看護師以外の職種の方にとっては、そういう調査や記録づくりはやったことがないでしょうし、慣れない仕事で、とてもご苦労されているのではないかと想像します。


神奈川県が新型コロナウィルスのクラスター発生事例を紹介しています。
7月16日からTwitterやLINEで時々発信されていて、まとめて掲載しているサイトがありました。

神奈川県新型コロナウィルス感染事例集

短い文章で書かれていて、挿絵も見やすく、全体がパターン化されているのでとてもわかりやすく、落とし穴的なことを気づかせてくれる事例を選んでいるようです。

自治体の会議資料をときどき見るのですが、字が細かくて、情報を得るにはかなり根気がいるのですが、これは市民目線、特に若い人むけを想定しているようですね。
とてもよいと思います。
自治体発信のものとしては、ブレイクスルー的な好印象を持ちました。
担当者の人に会ってお話したくなりました。



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