旅のあいまに 銭湯に
週末に訪れる、行きつけの銭湯「タカラ湯」
宮造り千鳥破風の堂々たる構えです。
「キングオブ縁側」とか「キングオブ庭園」と呼ばれている
日本庭園が自慢の銭湯です。
昼九ツ(午後12時)頃、煙突からは煙りがたなびきます。
何故か猿のモニュメントが。
見上げると、タカラ(宝)湯らしく、
立派な七福神の彫り物が飾られています。
入浴する前にタカラ湯の歴史を紹介します。
昭和2年 荒川土手近くにタカラ湯を開業
昭和13年 道を挟んだ現在の場所に改築、柴又帝釈天の門前の園田仏具店にて七福神の彫刻を作成
昭和16年 「大平洋戦争」始まる。
昭和19年 戦局悪化で燃料不足の危機、高い煙突が工場と間違われ空襲で狙われます。
昭和20年 終戦、タカラ湯は無事生き延びた 現在 主人の交代と幾たびかの改修を経て現在に至ります。
〔昭和25年頃のタカラ湯、ペンキ絵は別府湾〕
待ち合い処には、季節の祭ごとに変わる飾り物が飾られています。
今回は「金魚ねぷた」、竹で土台を作り、和紙を張り、
ひとつひとつの表情が違います。
江戸時代末期、津軽地方に伝承されている民族行事です。
「ねぷた祭」には欠くことの出来ない「金魚ねぷた」。
弘前藩では「津軽錦 金魚」を盛んに飼育し金魚に親しんでいたようで、
明治には、ねぷたの季節になると各家では門口に「金魚灯ろう」を飾り
短い夏を楽しんでいたそうです。
※金魚は「金を運ぶ魚」金運魚と云われ、幸せの魚です。
縁側から見る庭園も落ち着きます。
庭園は男風呂しかありません。
石橋の下には錦鯉が泳ぐ池、縁側の椅子に座り、隣りのボクとエサを撒きます。
ツツジやあじさい、もみじの四季折々の花木が楽しめます。
老舗旅館の庭園のような佇まい、ここに来ると一週間の疲れがいやされます。
以前は、週末に訪れては心を癒すため、大きな息をはきに伺ったものです。
何がいいかっていいますと、 あかね色に染まる
夕七つ(午後4時)頃、 銭湯一式をぶら下げて、
桐下駄をカランコロンと鳴らし暖簾をはらいます。
番台の主人と二言三言の世間ばなし 広々とした一番奥の薬湯に浸かり、
見上げると広い窓から空と庭園を眺める至福のとき
たまらず声にならない 「あぁ〜」 「はふぅ〜」・・
『ゆっくり長く息を吸って、ゆっくり長く息を吐くことで
自律神経を安定させて心身のバランスを整えます、
お湯に浸かっている時は無意識にこの呼吸をしてしまいます』
湯船に浸かって見上げると富士山の「ペンキ絵」、中島絵師の作品です。
日本には「銭湯ペンキ絵師」は、3人しかいません。〔丸山絵師・中島絵師・早川絵師〕
ペンキ絵の発祥は、大正元年、神田にあった「キカイ湯」のご主人が、
子供達に喜んでもらうために、画家の「川越広四郎氏」に
依頼して絵を描いたのがその発祥です。
『川越広四郎氏は静岡県掛川出身で、富士山が大好きだったといいます。』
(キカイ湯の跡地には現在ペンキ絵発祥の地の記念碑があります)
※ペンキ絵(背景画)のうんちく
・ペンキ絵の題材として使用してはいけないものは、
「紅葉」葉が散る。 「猿」客が去る。「夕日」落ちる。
このように銭湯は縁起というものを大切にします。
■浴場名 タカラ湯 ■営業時間 15:00〜23:30
■定休日 金曜日
■入浴料金 大人:460円(12才以上)・小学生:180円(6才以上12才未満)・乳幼児:80円(6才未満)
※「タカラ湯」のいろいろな景色を綴ります。
※「東京銭湯 お遍路巡礼スタンプノート」
銭湯を巡るごとにスタンプをいただき、東京の銭湯をお遍路するノートです。
東京の銭湯の数は、年々減少し690件になりました。
私のお遍路は106件、近場を巡礼しています。
あ~極楽極楽 湯船に浸かりながら 壮大な富士山を眺める 気持ち良さ
井戸水を使い 薪で沸かした なめらかな湯
一番風呂に入って 「はふぅ~」 としてみませんか。
銭湯のお付き合い ありがとうございました。
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