厚労省研究会「たたき台」
労働基準法の労働時間規制を外すデロゲーション(適用除外)拡大に向けた議論を進めている厚生労働省の有識者研究会「労働基準関係法制研究会」で12日、同省がこれまでの議論をまとめた「たたき台」を公表し、まとめの報告に向け議論を進めることを確認しました。
多様化する働き方に対応する「労使コミュニケーション」を口実に、名ばかりの労使自治で労働者保護の最低基準規制を外す仕組みの簡易化・拡大を提起しました。
厚労省は今年1月に同研究会を立ち上げ、労働時間規制のデロゲーション拡大や規制単位を事業場から企業(本社)単位に緩和することなどを求める経団連の提言に沿って議論を進めていました。
たたき台は、労働組合のような団体交渉権のない過半数代表者にデロゲーションを担わせる仕組みの拡充や、複数事業場の労使協定を一括で手続きする仕組みの明確化を提起。労使コミュニケーションの中核は労組だといいながら労組の活性化や活動保障の具体策は示していません。
最長労働時間について月45時間・年360時間を見据えた上限の見直しにふれながら、現時点では最長月100時間未満の上限を引き下げる社会的合意がないとしました。副業を行う場合、現行制度は健康管理と割増賃金計算の双方で労働時間の通算を求めていますが、たたき台は割増賃金を敵視する使用者の要求に沿って割増賃金支払いの労働時間を通算しない制度改悪に言及。一方で勤務間インターバル導入促進や家事使用人への労基法適用検討など改善策も盛り込みました。
厚労省は年内にまとめを出し、労働政策審議会での立法化を狙っていましたが労働者や労組の強い反対の声を受け、今後の見通しは示していません。
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