『プライベート・ユートピア ここだけの場所』
ブリティッシュ・カウンシル・コレクションにみる英国美術の現在
Private Utopia
Contemporary Art from the British Council Collection
2014年1月18日(土)~2014年3月9日(日)
January 18th - March 9th , 2014
@東京ステーションギャラリー
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制度に支配された時代や、物質が溢れ返る時代を経て、今われわれは「私」(private)の時代を生きています。
それは単なる個の時代ではなく、その個が表向きには閉ざされた空間の中でそれぞれに成熟し、現代の技術がそれらの世界を隣り合う細胞のように結び付け、自ずとルールを生成しては、その価値観を全人類と共有している、そんな世界です。
もはや公も私もなく、ここにしかない場所であると同時に、どこにでも繋がっている世界-「ユートピア」(utopia)に生きているといってもいいでしょう。
(公式HPより)
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先週、観てきた。
面白かったし、満足はしてるんだけど、ひとこと言わせてもらうとしたら、
↑の素晴らしい紹介文(「ユートピア」云々)と、実際に展示されてる作品群が全然つながらないんだけど・・・。
雑多な作品をむりやり一つのテーマにまとめるの、苦労したんちゃうかなぁ。
まあ、こっちは面白けりゃEんだけどね。
東京ステーションギャラリーへ。
まず、入口右手のコンドームの自販機みたいなヤツが券売機だと気付かず、受付の人に
「券はどこで買うんですか?」
と尋ねてしまう。
「それです」とのこと。(実話)
エレベータに乗ると、奥にもドアがあったので、
(あれ?手前と奥と、どっちが開くんだ?)
とキョロキョロしてたら、そうとう挙動不審だったようで、乗り合わせたお姉さんに
「どっち(のドア)が開くんでしょうね(笑)?」
とフォローされる。(実話)
いいから一旦、落ち着けッ>俺
さて、展示のほうですが。
マイク・ネルソン
<ブラック・アート・バーベキュー、サンアントニオ、1961年8月>
人のデスク周りとか見るの大好き。
アートという側面を無視して、机として見てました。
下から照明とは良いアイディア。(暗いよ)
キャリー・ヒューム
<無題(シスター・トゥループから)>
よーわからんけど、シンプルで、且つ、めっさ引きが強い。
スキかどうかは置いといて、俺の思う「才能」ってこういう事です。
ライアン・ガンダー
<四代目エガートン男爵の16枚の羽根がついた極楽鳥>
写真じゃ分からないんだけど、実物を見ると、鳥の頭部のほうにもかなりしっかりとした目がついてまして。
どっち(の顔)がこの生物のメインなんだろう?と。
ボディを支配してるのは、どっちだろう?などと。
ウッド & ハリソン
<テーブルと椅子>
Eテレの2355でもおなじみジョン・ウッド & ポール・ハリソン。
仕事を楽しんでる大人って素敵だね。
・・・さて、俺が話したいのは、以下の2作品についてです。
サイモン・スターリング
<シャクナゲを救う>
スペインから英国に持ち込まれて以降、その繁殖ぶりが問題視される外来種シャクナゲ。
サイモン・スターリングは、人の手によって持ち込まれたのに、人の都合によって迫害を受けるシャクナゲを救うべく立ち上がる。
スコットランドのエルリックヒルから、7本のシャクナゲを移植すべく長い旅へ。
目的地は遠く、1763年にクラース・アルステーマによってもたらされる以前に植えられていたスペインのロス・アルコルノカレス公園。
数点の写真で綴られる、救出の記録。
・・・アホでしょ。
思いついたはいいけど、本当にやる人はなかなかいない。
時間と労力をフルに投下した悪ふざけ。
うーん、俺もこういうマインドを忘れたくないもんだね。
でも、日常に流されてすぐ忘れそう。
という訳で自戒の印とすべく、この微妙な写真の絵はがきを買いました・・・(笑)
ジェレミー・デラー
<あなたを傷つける様々な方法(エイドリアン・ストリートの人生と時代)>
ジェレミー・デラーによる映像作品。
女装の怪人プロレスラー、美しきガウンを着た問題児、エイドリアン・ストリートに密着したドキュメンタリーなんですが。
俺、これフルで2回観た(笑)!
面白過ぎるッ!
エイドリアン・ストリートは炭鉱の町出身で、坑道の奥底での最悪の生活から抜け出したくてレスラーを志します。
欧州でチャンピオンとなった後、どういう訳かロックスター風スタイルが完全なオカマ風にシフトしますが。
途中まで、エイドリアンの人生は、自分の夢を嘲笑った鉱夫仲間たちへの復讐劇なんだけど・・・。
その生き様は、やがてリベンジ(「見返してやるッ!」)などというちっぽけな枠を飛び越えていきます。
エイドリアンは現在73歳ですが、そのイノセンスは観ていて切なくなるほど。
こういうの、前にもどっかで見たなぁと思って振り返ってみると・・・、
そうだよッ。
『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』!
本作は、まさにプロレス版アンヴィルと言えます。
観覧後、なんだか、せつなさを殺せない(吉川晃司)感じになるとこも同じです。
■おまけ
これ(エイドリアンの決めポーズ)でも喰らえッ。