最近のバンドは本当にレベルが高い。
色んな若いバンドを聴いては、「これ、俺の時代(←いつなん?)だったら、スタジアム級のバンドだっただろうなぁ」とか、ブツブツ言うてます。
どれを聴いても粒ぞろいで。
今やすごい才能を合わせ持ったバンドがザラに居るなぁと。
(なお、私にとって最近のバンドってのは、ここ 20年 くらいで出てきたバンドの事です)
AlVVAYS(オールウェイズ)は、2011年結成のカナダのインディー・ポップバンド。
2014年、当時カレッジチャートを快走していたファーストアルバムを聴いて、「なんて捨て曲のないバンドなんだ!」と思ったものでした。
特に「こりゃ、とんでもないバンドだ」ってハッキリ思ったのは、同アルバムから2曲目にシングルカットされた "Archie, Marry Me" を聴いた時です。
Alvvays | Archie, Marry Me (CBC Music Festival 2016)
Vo. のモリー・ランキンがサビで、「ねえ、結婚してよぉ、アーチィー!」ってシャウトするんだけど。
これが、ロミオとジュリエットみたいな悲恋とか、織り姫と彦星みたいに年に一度しか会えないとか、そういう大恋愛でないとこがいい。
長く同棲してて、なかなか結婚しようとしない彼氏。
結婚という行為自体をバカにした態度で、彼女に迫られると、「学生ローンの支払いが終わってないから、扶養なんてとんでもない」とか、云云かんぬん。
そんな彼氏に、「ねえ、そういう事じゃないんだってば。もう結婚しようよ~」って伝える歌なんです。
歌で描かれる情景って、もっとドラマティックなものだっていう先入観があったのかも。
結婚なんてそれぞれのカップルの自由だから、しようがしまいが、リスナー的にはどう転んでも構わない訳だけど。
彼氏が煮え切らないというジワッとした状況だって、そりゃ立派なテーマだという事を学びました。
抜群のメロディに乗せて、ゆったりしたスローテンポで歌いきるところが、ALVVAYS の凄み。
そして。
よい曲にはよいカヴァーがある。
同郷のコーラスグループ、Choir! Choir! Choir! の合唱が素敵なので、ぺったんこ。
(オールウェイズの出身はプリンス・エドワード島だが、活動拠点はトロントに移している)
Choir! Choir! Choir! sings Alvvays - Archie, Marry Me
Choir! Choir! Choir! は 2011年 にトロントで結成されたコーラス・グループで、元は知り合いのバースデイパーティ向けの一発モノの企画だったんだけど、その後、メンバーを固定せず、飛び入り参加自由のスタイルで活動を続けています。
このカヴァーが最高なのは、大勢の女性たちがサビで「結婚して~、アーチィ―!」とシャウトするとき、何かが解放されている気がするから。
1分30秒のサビ前で、感極まって何人かぴょんぴょんとジャンプするとこが好き。
一緒に歌いたい!
原曲だと、モリー・ランキンが一人で歌うからこそ、いいんだけど。
このカヴァーでは、オリジナルのコーラスパート「Run away with me, Uh, Run away ♪」がメインを追いかけてくるところ。
原曲と違う味わいを与えてて、これはこれで良い。
<お食事と香の物>
実は、私の昨夏(2022年の夏)を救った2曲というのが有りまして。
1曲は Anna of the North (アナ・オブ・ザ・ノース)の "Dandelion (ダンデライオン)"。(オブ・ザ・イヤー参照)
そしてもう1曲が、我らが ALVVAYS の "Pharmacist (ファーマシスト)" でした。
もう、この2曲は小生にとって一卵性双生児みたいなコたちでね。
Alvvays - Pharmacist
2nd アルバムのツアーの後、しばらく活動が大人しかった ALVVAYS。
昨年6月、3rd アルバム "Blue Rev" からのシングルカットで この「ファーマシスト」 を久々にリリースしたんですが。
想像以上のポップチューンでしたね。
100回見ても、アルバム・ジャケットの写真のシチュエーションがよく分かりませんが・・・。
<水菓子>
今、思い出したんだけど、ALVVAYS は、2019年、コロナ前の最後の Fuji Rock に来てたね。
レッド・マーキーの後ろ目で、お酒を飲みながらゆっくり鑑賞したのでした。
いやぁ、彼らのノスタルジックで甘酸っぱい世界観が、ちょうど私が手にしていた ジンバック に本当ピッタリでさ。
嘘つけ! あんたが飲んでたのは「下町のナポレオン・いいちこ」だろ!
<お見送り>
"Not My Baby" は 彼らの2017年のシングルです。
上述の"Archie, Marry Me" みたいな大きなパワーを持った曲ではないんだけど。
ALVVAYS の繊細な良さが染み出た曲で、自分のために KEXP でのスタジオライブのリンクを張っておこう。
Alvvays - Not My Baby (Live on KEXP)
彼氏と別れて、ワタシは我が道をゆくわ(おそらくバンド活動のこと)っていう歌。
歌詞の置き方がいいんだよね、ホント。
後半、「お友達に好きな事言っていいわよ、ワタシは意味不明だって。だって、もうどうでもいい事だから」ってあたりがすごくイイ。
ずっと好きだと思っていた彼氏が、実は夢を追う足かせになっていて、別れてみて初めて「思い出せないくらい久々に、光が見えるわ」って歌。
そういう、体に静かに力が湧いてくるような瞬間を、ピッタリの音で現わしたなと思います。
そんなALVVAYS、11月には 台湾やシンガポールを回るアジアツアーで来日。
名古屋、大阪はまだチケット有り。
<尼孫:AMAZON>