何も成してない。
あたしゃ、この人生でまだ何も成してない。
都会に居るとそんな思いに駆られる瞬間がある。
だが、ここ上高地ではそんな思いが脳裏をかすめる事はない。
例えばこの大正池。
河童橋を梓川下流へ下ること徒歩40分。
(小生のように道なき道に立ち入って遭難しかけないでネ)
ご存知と思うが、この池は大正4年(1915年)に焼岳が噴火すると、溶岩と泥流により梓川が堰き止められ、わずか一夜にして出現した。
この広大な池が一夜にして生まれる?
何度この場に来ても、何度同じ話を聞いても、そのスケールには毎度驚かされる。
ありきたりだが、自然は人間とは比べるべくもなく雄大だ。
そう思えば、例え何らかのモヤモヤを抱えていたとしても、ここに来れば、梓川にかかる朝霧のごとく霧散するだろう。
ちなみに遭難しかかった後(汗)、辿り着いた夕方の大正池も時を忘れて見入るほどキレイであった。
インスタに溢れるお化粧済み画像ではなく、見たままでこんな。
ちなみに、大正池の出現から100年余り。
土砂の堆積でその面積は当初の半分になり、湖中に聳える立ち枯れの木もどんどん減っている。
私はここに通い始めてわずか25年だが、それでも沢山あった枯れ木が減っているのは見て取れる。
この素晴らしい景観を守るため、シーズンオフへと向かう11月には流れ込む土砂を取り除く作業が行われている。
その尽力には感服する。
私もこの光景がずっとここにあって欲しい。
だが、焼岳の噴火前、ここには森があり、それが沈んで一夜で池が出来たのだから、長い時間をかけて自然は元の姿へ回帰していると言えるかもしれない。
さて、己のちっぽけさが分かると、急に腹が減る。
普段あまり食べない味噌ラーメンでも食べるか。
まだまだ歩くから、ガソリン(おビール)もお忘れなく・・・。
ちなみにチャーシューを丼にベロンするスタイルは趣味ではないが、まあ、山の中だとなんでも許せてしまうね。
ベロン違いだが、かつてサッカー・アルゼンチン代表のゲームメイカーだったベロンの事は大好きだった。
ラツィオ時代のプレーのキレは素晴らしかった。(山賊じゃないヨ)
そう言えば、夜はコース料理だけど、その後に自室に戻って一杯やる可能性も視野に入れ・・・。
売店をくまなくチェックしておいた方が良かろう。
中段上、松本ブリュワリーは松本市中央にあるブリュワリーです。
ここに置いてあるラインアップだと Awesome! Pale Ale が苦さとマイルドさ、軽さとリッチさのちょうど中間点という事になる。
私はセッションIPAが好み。
一段下の穂高ビールは、安曇野市の高瀬川のすぐ脇にある穂高ブリュワリーが醸造するビール。
マシュマロを製造・販売するお菓子屋さんが経営母体という点がユニーク。
上高地に来ると、いつもこの穂高ビールのアルトを飲むかケルシュを飲むかで迷いますが・・・。
私の解決策は両方飲む、という鮮やかなものです。(お見事!)
上段左の五千尺ペールエールは、五千尺のソムリエとの共同開発で先ほどの松本ブリュワリーが製造。
品切れしている事も多いのですが、今日は充実♪
一方、お隣の上高地クラフトジンは去年登場した新顔。
長野県の酒造メーカー仙醸と五千尺ホテルが開発に3年を費やしたとのこと。
実はこちらはまだ試しておらず、必ずトライしたい。
(ここ数年、ジンに目覚めている)
ただ、さすがにジンをゴックンするのは散策の後にしといたほうが良いでしょう。
さて、本格的な登山とは無縁の私ゆえ、誰もが訪れる範囲で、マイベスト上高地的なスポットをここに挙げておきたい。
小梨平キャンプ場の辺りの、鬱蒼と開けた感じのバランス。
いつも上高地の旅の最初にこの辺りを訪れ、「ああ、来てよかった」と思う。
これはその対岸。
明神池から河童橋へ戻る途中。
イワナを見たり、トンボを指に止まらせたり。
河童橋と大正池の中間にある田代池。
池と言っても川の途中にあり、ここの水は常に流れて淀みがない。
もちろん大きく開けた絶景も醍醐味だが、どうも私は己のスケールの小ささゆえか、どちらかと言うと少し閉じた美しさに惹かれるようだ。
<つづく>