『夜間飛行』

また靴を履いて出かけるのは何故だろう
未開の地なんて、もう何処にもないのに

『ごはんのことばかり100話とちょっと』 よしもとばなな

2014-11-13 | Books(本):愛すべき活字

『ごはんのことばかり100話とちょっと』
よしもとばなな(日:1964-)
2009年・朝日新聞出版
2013年・朝日文庫

++++

人生がきれいごとだったらどんなにいいだろう。

みんないつまでもいけないところは改善しあって、かばいあって、守りあって、笑顔で接しあって、生涯孤独を感じないでいられたら、どんなにいいだろう。

そう思っている人が宗教に入ってしまうんだろうな、と思う。


でも人間はそのようではないし、きれいごとを創るためのエネルギーはけっこうばかにならないので、そんなことはどうでもいいからそっとしておいてくれ、だめなままでいさせてくれ、胸が苦しくてもすれ違ったままでも愛してると思わせてくれ、と私はきっと老後にも思うだろう。

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書いたね、100話ちょっと。

そして俺も読んだね、100話ちょっと。


23話。

フィリピン人のお手伝いさんの話が好きだ。


このお手伝いさんの娘さんは日本で生まれ育ったので、お母さんに、

「ママ色が黒いよ、もっと白い方がきれいだよ」

「天然パーマの髪もストレートがいいよ」

と言うそうだ。


これについて、著者はこう思う。

きっとおじょうさんは、つい、学校で自分が言われるようなことをママに言ってしまうんだろうなぁ。

でも、黒くきれいに焼けて、髪の毛もすばらしいウェーブがかかっている、それがママの国の美しい人なんだよ。

ママはそのままで最高に美人なんだよ、と。


そうだよね・・・。

なかなかグッとくんなぁ、この話。

俺の家にも、30年くらい前、フィリピン人のお手伝いさんが居たのを思い出した。(これホントの話)

その人もべっぴんさんでした。


ちなみに。

よしもとさんは読者にシンパシーを感じさせることにおける文章の天才なので、たまにお店の悪口を書くと、これまたスパコーンって感じでハマる。


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たいていのカフェごはんが見た目ほどにはおいしくないのは、ほんとうにおいしいものを知らない年齢の人たちが作っているからだろうと思う。

近所にとても若い人たちがやっている、五穀ごはんを出すカフェがある。

きっとやっている子たちは二十代前半で、とにかくカフェをやろうと一生懸命で、みんな多分ワンルームみたいなところに住んでいて、親の手料理もみっちり食べたことがなく、いろいろなものを食べた経験が少なそう。

週末はクラブに行ってともだちと踊り、その前後に軽食を食べるような感じのライフスタイルの子たちに見える。

だから、メニューがヘルシーであるということに一生懸命で、味がお留守になっている。

決定的な問題点は、油が古いことだ。

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むふふ、ピリッと名人芸。

終末はクラブで踊り~ってとこは、ちょっとだけ偏見な気もしますけどもー(笑)

■YOUはShock(食)!!
『壇流クッキング』 壇一雄 (1975)
『土を喰う日々』 水上勉  (1978)
『よい匂いのする一夜』 池波正太郎 (1981) 
『喰いたい放題』 色川武大 (1984) 
『酒食生活』 山口瞳 (2002)
『そうざい料理帖 巻二』 池波正太郎 (2004) 
『食の王様』 開高健 (2006) 
『やさしさグルグル』 行正り香(2008) 
『ちびちびごくごくお酒のはなし』 伊藤まさこ(2009) 
『ごはんのことばかり100話とちょっと』 よしもとばなな (2009)
『小津安二郎 美食三昧 関東編』 貴田庄 (2011)
『サンドウィッチは銀座で』 平松洋子 (2011) 
『ひと皿の小説案内』ディナ・フリード (2015) 

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ごはんのことばかり100話とちょっと (朝日文庫)
よしもとばなな
朝日新聞出版
ごはんのことばかり100話とちょっと
よしもと ばなな
朝日新聞出版




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