『夜間飛行』

また靴を履いて出かけるのは何故だろう
未開の地なんて、もう何処にもないのに

Never Young Beach ”明るい未来”

2018-02-23 | Music(音楽):音楽は風に乗る


ちょうど昨日、くるりが『琥珀色の街、上海蟹の朝』の反動みたいなザ・くるりなシングルをリリースしましたが。(『その線は水平線』)

今夜はその話じゃなくて。


ほら、ちょうど2016年だったでしょ、上海蟹のリリースが。

同じ年にリリースされた Never Young Beach の『明るい未来』の話をちょっとしたいな、と思って。


never young beach - 明るい未来(official video)


イイ曲多いバンドだけど、やっぱこの曲こそ顔と歌声の違和感がマックスだよなぁ。

『ごっつええ感じ』で言うところの、浜ちゃんの「お前が歌うんかい!」的な。


Never Young Beach は『明るい未来』のリリース当時、25~26歳。

「歌詞に意味は込めない」

って公言してるみたいだけど、まあ、実際はそんな事はないんじゃないかな。

ちょっと照れ隠し的なね。


だって相当確信犯じゃないと、この時代に

「あっかるい~未来の話、寒い夜でも君と二人で~

ふざけたダンスを踊ろう、いつまでもソバにいてくれよ♪」


なんて歌えないでしょ。


同年のくるりの『上海蟹』は、まあラップというフォーマットによる「追い風」もあるかもしれないけど、

「実を言うとこの町の奴らは義理堅い

ただガタイの良さには騙されるんじゃない

お前と一緒で皆弱ってる♪」

なんていう岸田君とは思えないようなダークな歌詞も登場する。


ここ10年くらい、日本に漂うネガティブな空気。

突き詰めれば、格差社会、原発、アジア外交・・・ってな要素がベースにあるんだろうけど、

もっと簡単に、信頼する諸先輩方の言葉を借りるとすれば、

「安倍首相が美しい国って言った時、みんな怖いと思ったと思うんだけど」(細野晴臣)

「これからもっと悪い事が起こるぞって、そういう予感はしますね」(宮崎駿)

という流れを汲んだ歌詞になってるんだと思う、『上海蟹』のラップ部分は。


しかし、そのあとサビに来るやいなや

「上海蟹食べたい、あなたと食べたいよ♪」

なんていうぶっ飛んだ歌詞が来るのが、また天才的なんだけど。

カニさんどっから来た?


歌い手は結末について何も約束してないのに、しかし、こちらに勝手にやんわりとした希望を抱かせるというね。

なんつー大人な駆け引き。

蟹を持ち出されると、聴いてる方も、もうね。

だって、パフィーの「カニたっべ行こう~♪」以来でしょ、Jポップの歌詞でここまで蟹カニ言うのって。


『上海蟹』のリリースに際してのインタビューで、岸田君は

「昔思ってたシティ感、キラキラした、バブリーな感じとか、泥臭さを感じさせないものって、今の若い人たちから見て、もはや幻想ですらない時代に差し掛かってる感じがするんですよ」

と語っている。


つまり本人の歌いたかったテーマは、サビ部分の「上海蟹食べたい♪」なんだけど、その前提として

「なんか、息苦しいよね、毎日」

というのを描かざるを得なかったんだと思う、ラップ部分で。


そんで。

いつも通り説明長くなったけど、ようするに2016年ってそんな年だったって事。

そんな2016年のまん真ん中で。

この歌詞でこのタキシード来たPVで、明るい未来の話を颯爽と歌い上げてさ。

「二人で並んで歩こう、それすらもきっと歌になる~♪」

ですから。


もちろん、くるりとNever Young Beachは世代が15年くらい違うから、経験も違うし、見える景色も違うだろう。

でも、この歌が若さによる勢いだけかって言うと、違うんじゃないかって思ってる。

全然皮肉じゃなくて、この若者たちがどんな未来をつくっていくか、見ていきたい。


以上、2016年を彩った記念碑的な2曲についてのお話でした。

明日出張で朝早いからもう寝るのさ。

俺もささやかながら毎日なんか作るぜ。


<熱帯雨林>

fam fam
Roman Label / BAYON PRODUCTION
Roman Label / BAYON PRODUCTION

 

fam fam
never young beach
Roman Label / bayon production 

 

明るい未来
never young beach
Roman Label / bayon production

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 喫茶店でウィリアム・トレヴ... | トップ | 『旅のスケッチ』 トーベ・ヤ... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。