ちょうど昨日、くるりが『琥珀色の街、上海蟹の朝』の反動みたいなザ・くるりなシングルをリリースしましたが。(『その線は水平線』)
今夜はその話じゃなくて。
ほら、ちょうど2016年だったでしょ、上海蟹のリリースが。
同じ年にリリースされた Never Young Beach の『明るい未来』の話をちょっとしたいな、と思って。
never young beach - 明るい未来(official video)
イイ曲多いバンドだけど、やっぱこの曲こそ顔と歌声の違和感がマックスだよなぁ。
『ごっつええ感じ』で言うところの、浜ちゃんの「お前が歌うんかい!」的な。
Never Young Beach は『明るい未来』のリリース当時、25~26歳。
「歌詞に意味は込めない」
って公言してるみたいだけど、まあ、実際はそんな事はないんじゃないかな。
ちょっと照れ隠し的なね。
だって相当確信犯じゃないと、この時代に
「あっかるい~未来の話、寒い夜でも君と二人で~
ふざけたダンスを踊ろう、いつまでもソバにいてくれよ♪」
なんて歌えないでしょ。
同年のくるりの『上海蟹』は、まあラップというフォーマットによる「追い風」もあるかもしれないけど、
「実を言うとこの町の奴らは義理堅い
ただガタイの良さには騙されるんじゃない
お前と一緒で皆弱ってる♪」
なんていう岸田君とは思えないようなダークな歌詞も登場する。
ここ10年くらい、日本に漂うネガティブな空気。
突き詰めれば、格差社会、原発、アジア外交・・・ってな要素がベースにあるんだろうけど、
もっと簡単に、信頼する諸先輩方の言葉を借りるとすれば、
「安倍首相が美しい国って言った時、みんな怖いと思ったと思うんだけど」(細野晴臣)
「これからもっと悪い事が起こるぞって、そういう予感はしますね」(宮崎駿)
という流れを汲んだ歌詞になってるんだと思う、『上海蟹』のラップ部分は。
しかし、そのあとサビに来るやいなや
「上海蟹食べたい、あなたと食べたいよ♪」
なんていうぶっ飛んだ歌詞が来るのが、また天才的なんだけど。
カニさんどっから来た?
歌い手は結末について何も約束してないのに、しかし、こちらに勝手にやんわりとした希望を抱かせるというね。
なんつー大人な駆け引き。
蟹を持ち出されると、聴いてる方も、もうね。
だって、パフィーの「カニたっべ行こう~♪」以来でしょ、Jポップの歌詞でここまで蟹カニ言うのって。
『上海蟹』のリリースに際してのインタビューで、岸田君は
「昔思ってたシティ感、キラキラした、バブリーな感じとか、泥臭さを感じさせないものって、今の若い人たちから見て、もはや幻想ですらない時代に差し掛かってる感じがするんですよ」
と語っている。
つまり本人の歌いたかったテーマは、サビ部分の「上海蟹食べたい♪」なんだけど、その前提として
「なんか、息苦しいよね、毎日」
というのを描かざるを得なかったんだと思う、ラップ部分で。
そんで。
いつも通り説明長くなったけど、ようするに2016年ってそんな年だったって事。
そんな2016年のまん真ん中で。
この歌詞でこのタキシード来たPVで、明るい未来の話を颯爽と歌い上げてさ。
「二人で並んで歩こう、それすらもきっと歌になる~♪」
ですから。
もちろん、くるりとNever Young Beachは世代が15年くらい違うから、経験も違うし、見える景色も違うだろう。
でも、この歌が若さによる勢いだけかって言うと、違うんじゃないかって思ってる。
全然皮肉じゃなくて、この若者たちがどんな未来をつくっていくか、見ていきたい。
以上、2016年を彩った記念碑的な2曲についてのお話でした。
明日出張で朝早いからもう寝るのさ。
俺もささやかながら毎日なんか作るぜ。
<熱帯雨林>
fam fam | |
Roman Label / BAYON PRODUCTION | |
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