1月末に渋谷東急本店のMARUZEN&ジュンク堂書店が閉店した時にも、一抹の寂しさを感じました。
ご存知のとおり、これは東急百貨店本店の閉館に伴うもの。
百貨店と書店、どちらもビジネスモデルの曲がり角に来ている事を感じさせられます。
かつて徒歩圏内に住んでいたのですが、あそこは渋谷の雑踏のなかにあって、何時行っても心安らぐ大書店でした。
あの、図書館的な質実剛健なディスプレイも良かった。
さて、このたび八重洲ブックセンター本店が3月末に閉店。
八重洲エリアの再開発に伴うもので、ビルは取り壊されて、跡地を含む区域は43階建ての高層ビルに変貌する予定。
再出店も構想されているようですが、詳細は未定とのこと。
八重洲ブックセンター本店は1978年に、100万冊の在庫を誇る巨大書店として東京駅前にて開店。
商店街の小さな書店しかなかった頃に現れ、日本の書店大型化の走りとなりました。
しばらく行ってなかったうちに閉店かぁ。
なんて思いつつ。
神田にケーキを買いに行った帰りに、子供に「もうすぐ無くなる本屋さんに寄ってもいい?」と聞くとOKが出ました。
この、夕暮れ時の佇まいも良いね。
このビル一棟まるごと「本」しかない空間というのが潔かった。
(雑誌もほとんど置いてない)
この日はTVも店内の撮影に来ていました。
夕方のニュースとかかな?
上の階にいけばいくほど、人も少なくなり。
そのフロアに居るのは自分ひとり、なんてこともしょっちゅうあります。
エスカレーターは途中から階段のみになり。
エレベーターは2本乗り継がない上階に行けない(笑)
そんなビルの作りも昭和感があります。
急いでるときには向かないけど、まあ急いでるときに来るところでもないわね。
さて、たっぷり本を見た後、1階にあるドトールへ。
(正確には1階ではなく、地下&中二階のメゾネット形式)
地階は以前は本関連のグッズショップが入っていましたが、ドトールに変わっています。
中二階の席に座り・・・。
ここは店の入り口と。
東京駅が両方見渡せるグッドポジション。
(近江屋洋菓子店のケーキが邪魔ですみません)
いいね、八重洲ブックセンターの最終月の営業を見送るには良い場所だ。
店内では、さっきのTVクルーたちがまだ撮影をしている様子が見えます。
大変だなぁ、あんなに何度も同じテイクを録りなおすんだなぁ。
ここで、ちょっとした異変が発生。
ん・・・?
無線で会話しながら、次々に警察官が入り口をとおり、店内へと急行します。
警官が一人、二人、三人、四人、五人・・・。
人数、多いな。
さすがにここからは見えないけど、店内の奥のほうで何か起こってるんでしょうか?
5分ほどすると警官と店員に付き添われて、白髪のお婆ちゃんが連行されていきます。
ゆっくりとした足取り。
片手には大きなごみ袋。
うーん、万引きなのか、何か他のトラブルなのか。
最後に店員さんが、お世話になった警察官にお辞儀をして解散。
なんか妙なものを見た気分になりましたが・・・。
さて、気を取り直して(笑)
改めて思うんだけど、八重洲ブックセンターってビルの正面を観れないような構造になってまして。
隣のビルとの間の道路が狭いので、見上げてもいまいち全貌が見えないんです。
言わば、長年の友人なのに横顔しか見たことがないようなもの。
住宅街でも民家が取り壊されて、急にお隣さんの側面が露わになる事ってあるじゃないですか。
見慣れた民家なのに、実は横から見るとこんな外観だったんだ・・・みたいな。
あり得ない事だけど。
このエリアの再開発の時、付近は完全に取り壊されて、もし一瞬でも八重洲ブックセンターのビルだけ残るようなタイミングがあったら。
ぜひ、最後にこのビルをお隣の住友不動産八重洲の側からじっくり眺めてみたいなと思った。
君、真っ直ぐに見るとこんな顔してたんだね、なんて。
そんな春の夕暮れ。
<おまけ>
興奮のうちに、日本チームの優勝で幕を閉じた今回のWBC(野球)。
日頃サッカーにしか興味のない私も、さすがに「すげー」と思う侍ジャパンの大活躍でした。
集団スポーツの楽しさを存分に感じたなぁ。
時はさかのぼって、3月初旬。
八重洲の蕎麦屋で送別会がありまして。
2軒目をどこで飲み直そうか探してたら、その日が東京ミッドタウン八重洲のグランドオープンの日。
ほな、ここで適当なお店に入りましょうか~、となり。
館内でWBCの日本の試合を眺めながらクラフトビールを楽しんだのでした。
雑踏が苦手なので、大型商用施設の初日に現地に行くことはまず無い人間ですが。
偶然の流れで、柄にもなく初日の東京ミッドタウンを満喫。
八重洲ブックセンターの再開発は、ちょうどこの東京ミッドタウンのお隣。
国の人口が減っていく中で都心ばかり高層ビルが建ち続ける、東京なのでした。