欠ける原油高対策と揮発油税等の特定財源問題
原油高対策として、政府は、寒冷地での灯油代補助や一部の高速道路料金の引き下げなどの基本方針を打ち出し、補正予算や明年度予算案に組み込んでいる。
しかし、誰のため、何のための施策か。原油高は、寒冷地や地方だけでなく、全国の運輸業や都市部の家計やマイカーを必要としている人々にも影響している。更に、年金問題による将来不安に加え、タクシー代から食料品など軒並みの値上げで家計は圧迫され始めている。このような中での選別的な政策は、原油高対策と言うよりも地方対策であり、また、高速道路料金の引き下げも、一部での引き上げを認めるか補助金や債権を出すなどの補填、見返りを検討しているのではないか。経済的波及効果は局地的で、経済全体への効果は疑問だ。
揮発油税等の有料道路特定財源の内、恒常化している「暫定税率」部分の取り扱いについては、自公両党は10年間の延長、民主党は全廃としているが、基本税率に上乗せされている「暫定税率」の「暫定性」と共に、ガソリン利用者・納税者への還元と財源確保の必要性を勘案した検討が必要であろう。例えば、「暫定税率」部分2分の1程度(リッター12、3円相当)を原油高の間減税し、国民全体に還元すると共に、残りの2分の1程度を一般財源化し、寒冷地対策や漁業・中小海運を含む運輸関連業などへの対策に回すなどを検討すべきではないか。「暫定税率」引き下げによる減税効果が期待される。
一方、「暫定税率」を維持すればガソリン高によるガソリン消費の抑制を加速させる上、流通コスト高が消費者物価を押し上げ、全般的な消費抑制を加速させる恐れがある。一般論として、税は財源確保としてだけではなく、減税による経済効果をもっと活用すべきであろう。
また、道路特定財源については、一部は有料道路の建設に充当することは良いであろう。しかし、少子高齢化と人口減が予想され、また、環境がより重視される中で、これまでの様なペースで有料道路の建設を行う必要性は薄れており、計画内容とペースに付いては精査が必要であろう。継続する基本税率部分も、可なりの部分をCO2削減対策や渋滞解消、開かずの踏み切り解消や迂回道路(ターンパイク)建設などのために充当し、渋滞や大気汚染・騒音、自動車事故被害者家族への支援などの社会的・経済的なコストを削減して行くべきであろう。
原油高は、国民生活に広範な影響を与え始めていることを忘れてはならないし、道路建設は経済の能力に応じ進めて行くとしても、国民生活の改善のために現在必要とされる施策への財源の再配分を行うべき時期なのであろう。
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原油高対策として、政府は、寒冷地での灯油代補助や一部の高速道路料金の引き下げなどの基本方針を打ち出し、補正予算や明年度予算案に組み込んでいる。
しかし、誰のため、何のための施策か。原油高は、寒冷地や地方だけでなく、全国の運輸業や都市部の家計やマイカーを必要としている人々にも影響している。更に、年金問題による将来不安に加え、タクシー代から食料品など軒並みの値上げで家計は圧迫され始めている。このような中での選別的な政策は、原油高対策と言うよりも地方対策であり、また、高速道路料金の引き下げも、一部での引き上げを認めるか補助金や債権を出すなどの補填、見返りを検討しているのではないか。経済的波及効果は局地的で、経済全体への効果は疑問だ。
揮発油税等の有料道路特定財源の内、恒常化している「暫定税率」部分の取り扱いについては、自公両党は10年間の延長、民主党は全廃としているが、基本税率に上乗せされている「暫定税率」の「暫定性」と共に、ガソリン利用者・納税者への還元と財源確保の必要性を勘案した検討が必要であろう。例えば、「暫定税率」部分2分の1程度(リッター12、3円相当)を原油高の間減税し、国民全体に還元すると共に、残りの2分の1程度を一般財源化し、寒冷地対策や漁業・中小海運を含む運輸関連業などへの対策に回すなどを検討すべきではないか。「暫定税率」引き下げによる減税効果が期待される。
一方、「暫定税率」を維持すればガソリン高によるガソリン消費の抑制を加速させる上、流通コスト高が消費者物価を押し上げ、全般的な消費抑制を加速させる恐れがある。一般論として、税は財源確保としてだけではなく、減税による経済効果をもっと活用すべきであろう。
また、道路特定財源については、一部は有料道路の建設に充当することは良いであろう。しかし、少子高齢化と人口減が予想され、また、環境がより重視される中で、これまでの様なペースで有料道路の建設を行う必要性は薄れており、計画内容とペースに付いては精査が必要であろう。継続する基本税率部分も、可なりの部分をCO2削減対策や渋滞解消、開かずの踏み切り解消や迂回道路(ターンパイク)建設などのために充当し、渋滞や大気汚染・騒音、自動車事故被害者家族への支援などの社会的・経済的なコストを削減して行くべきであろう。
原油高は、国民生活に広範な影響を与え始めていることを忘れてはならないし、道路建設は経済の能力に応じ進めて行くとしても、国民生活の改善のために現在必要とされる施策への財源の再配分を行うべき時期なのであろう。
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