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精神科医師のブログ。
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病院機能の集約とのネットワーク化(但馬地域の場合)

2011年08月26日 | Weblog
兵庫県但馬地域の豊岡市にある豊岡公立病院で働いていたことのある医師と話しをする機会があった。

但馬地域は、兵庫県の北部に位置し、豊岡市、養父市、朝来市、香美町、新温泉町の3市2町から構成され、東は京都府、西は鳥取県、南は播磨・丹波地域、北は日本海に面している。管内の面積は2,133.5km2と兵庫県の4分の1を占め、その83%を山林が占めている。
しかし人口は、平成17年国勢調査によると、191,211人で県全体の約3.4%にとどまり、人口密度も89.6人/km2と県下で最も低く、人口推移をみると昭和25年をピークに減少し続け、過疎化が進んでいる。
また、少子化や若者の流出などによる高齢化も進んでおり、高齢化率も28.7%と県平均の20.5%を大きく上回っている。

 
同縮尺の但馬地域(豊岡)と大北・安曇野地域

但馬地域の中心となる豊岡市は人口86000人、山に囲まれた盆地の町であり、川沿いに日本海側にでれば有名な温泉地である城崎があり、
コウノトリのふるさととしても有名である。

但馬地域の基幹病院である公立豊岡病院(公立豊岡病院組合立豊岡病院)は地域の医療体制の再編とあわせ2005年に現在の場所に新築移転された病院だ。
病床数500床の急性期病院である。

医療再編の計画に基づき、幾つかの公立病院は統廃合され、急性期専門医療は公立豊岡病院に集約化し他の病院はそれぞれの特色をもった慢性期医療に徹する体制に再編することで、地域に現在の救急医療体制が確保できた。
(→但馬圏域 公立病院等のネットワーク化の検討について
(→公立豊岡病院組合改革プラン策定委員会

救急医療、急性期医療もかなり高度で専門的な医療までやっているようでドクターヘリ、ドクターカーも運用している。
救急集中治療部や総合診療部を確立し、慢性期医療を担当する病院等への外来支援・業務支援もおこなっている。
当然がん診療連携拠点病院でもある。
精神科の病床やディケアもあり、アルコールや認知症、思春期などの診療も活発にやっているようだ。

そこで働いていた先生の話しによると・・。

「都市部から遠く、基本的にそこしか病院がないのでセカンドオピニオンという概念がない。」
「さらに高次医療機関への搬送は姫路や神戸まで高速道路(2車線)をつかっても3時間かかる。」
「なんでも断らずに見て、専門科の先生もオンコールで待機しているので患者さんにとっても都会よりも良いだろう。」
コウノトリ但馬空港があり朝夕と伊丹空港にしか飛んでいないが、豊岡市民は4000円~で使え、電車よりも安い。伊丹経由で東京にも往復30000円で出ることができる。」

その病院が断れば近くには他に行くとことがないので診療する方も真剣である。
患者さんも地域で一番のその病院でみてもらえば、あきらめもつく。

過疎地でも集約化ができれば高度な医療機関を持ちうることができるという好例であろう。

同様の例は長野県の佐久総合病院や岐阜県飛騨高山の高山赤十字病院などもそうだろう。
大北地域もうまく集約化できれば救急にしてもがん診療にしてもより高度医療の提供体制が確立できたかもしれない。

もっとも人口42万で大学病院も抱える安曇野・松本・塩尻の医療圏と連続した地域であるのでよっぽど上手く集約化し医療を頑張らないとそもそも厳しいのだろう。

話しは変わるが、松本も羽田までは3時間以上かかる。松本空港から福岡や札幌に飛ばすのもいいのだが、羽田国際空港か関空(?)、セントレアにコミューター航空が飛んでいれば羽田から全国に行けて楽になるのにと思った。もっともこれは米軍の基地がある横田空域が邪魔してなかなか実現できないそうなのだが・・・。

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