(小説とか値段が高くて、よほど好きな作家じゃないと買えません。)
あるとき、とても気になる本がありました。
なにか、とても気になるのですが、手に取る勇気がありません。
何度か逡巡(しゅんじゅん)して、一度手に取って、ぱらぱらとめくってみました。
なんとなく内容がつかめましたが、やっぱりなぁ、
思っていたとおりの、恐ろしい本であることがわかりました。
読みたくないけど、(私の中では)きっと読むだろうというのがわかっていました。
半年後ぐらいでしょうか、やっと決心して、借りることにしました。
(おおげさですね。でも、実際、そんな感じでした。)
皆さんも知ってる人もいるかと思いますが、アフリカ、ルワンダでの大量虐殺(ぎゃくさつ)がありました。
そこで生き延びた女性の記録です。
私の直感的な感想がゆるされるなら、横溝正史の八墓村とアンネの日記を足(た)して、二で割ったうえ、バージョンアツプしたような感じです。
ルワンダが植民地支配を受けていた時代に、征服者が自分たちに都合のいい、この国を不幸にする支配の構造をつくりました。
少数民族のツチ族に、多数民族のフツ族を支配させたのです。
植民地支配という歴史は、いつしか終わりをつげましたが、ただ、ツチ族へのうらみだけが残りました。
悪事は、暴力によって一つの国を、なんの正当な理由なく、支配した当時の欧州列強のものです。
しかし、うらみは自分たちの近くにいて、比較的豊かな生活を送っていたツチ族にむけられました。
なにかで読んだことがあります。
お釈迦様の時代にも、人は借金することのつらさを嘆いていたそうです。
お金の借金でさえつらいのですから、うらみ、怒りが積もり重(かさ)なったとしたら、それは、人間の社会に、どれほどの不幸をもたらすのか、想像もつきません。