4月中に有効期限が切れる「じゃらんネット」のポイントが1000円分あり、1000円なら失効したところで大した痛みにならないとも思ったのだが、それよりも、失効を迎える前にどんどんポイントを消費し尽くすような頻度で旅に出たいものだ、そういう人生であるべきだ、という思いが強まり、昨晩急遽、九十九里・白子の温泉ホテルに「じゃらん」から予約を入れた。拙速で無計画だからあまり遠方にはしない方がいい、でも温泉には泊まりたい、そういう基準で、日常のちょっとした延長線上にありそうな距離感の、九十九里。正直、こんな所に温泉があるとはこの晩「じゃらん」を見るまで知らなかったので、その発見の斬新さだけで、「ここでいっか」と決めてしまったようなところもある。車を買った当初は日帰りでドライブに来てたくらいのエリアだから、「旅」感を出せるぎりぎりの近距離かも知れない。
千葉だから朝早くから旅立つこともないでしょ、と、部屋中に掃除機をかけてから出発。信号の多い都内を抜け、高速道路のような国道357号湾岸線を突っ走り、船橋から千葉市内まで断続的に渋滞に引っかかり、ようやく郊外に出る。
千葉って実は、自然の(と僕が言う場合には大概、イコール「山の」ってことなんだけど)魅力的な場所ってあまりない。ドライブ中に地図のルート上で見つけた湖、そこに行けば何かありそうだとやってきた。遅い昼食がとれるかと思っていたが食堂は閉鎖、地元野菜の置かれた簡素な売店しかなく、まず食事の期待は裏切られ、例によって朝も食べてきていないのでどうしようかと思ったが、今晩のホテルは「じゃらん」の口コミによると夕食のボリュームが多いらしいので、夜まで食事を抜いてしまってもよいか、と諦め、ダム湖畔を歩き出す。
13:15 房総半島がくびれているあたりの内陸部にある長柄町、長柄ダムにせき止められた市津湖。湖畔まで下りていく。
湖は入り組んだ形をしている。それに沿って遊歩道がある。ほぼ平坦。森の木立ちから鳥のさえずりが聞こえてくる。地元の人らしき散歩者とごくまれにすれ違う。
九十九里沿岸や南房総の地域に生活用水を供給するため、利根川から67kmもの導水路を引いてこの水は貯められているのだという。魚釣りは禁止されているが、土手で釣り糸を垂れている人がいる。パトロールのバンがゆっくりと遊歩道を走ってくる。さっきの釣り人は見つかって注意を受けるのか受けないのか。ともかく静かだ。
あの赤い橋を渡って出発点まで戻れば、この湖のほぼ半分を周ったことになる。放水訓練でもしていたのか、地元の消防団がポンプ車のホースを片付けていたり、おおよそ不似合いな中年男性がダムサイトのコンクリート舗装の上でスケートボードを一心に滑らせていたり。桜並木が植えられているが今は花の時季でもなく、特に「何がある」でもない湖だ。おそらくもう一生来ることもないだろう。自分はこんな所で何をしているのだ?それでも、4km、1時間ほど歩き、足跡を残す。「日中体を動かさずにただ温泉に入ってもつまらない」というのが最近の自分の持論なので、温泉を堪能するための適度な疲労も稼いだつもり。
14:42 茂原市の中心部にある茂原公園。…やはり東京近郊では旅情を感じるのは難しいな。こうやって車を降りて歩いてみても、「旅先」にいるという実感が湧かない。埼玉の実家近辺にも散見されそうな、凡庸なカントー・サバービア。これから異郷の地の温泉旅館で大浴場につかったり料理に舌鼓を打つのだという実感も湧かない。空模様さえ、曖昧模糊とした曇天。…いや、僻みっぽいのは自分の責任なのだが。
公園の中には高台があり、市の中心部を見下ろす。茂原は房総寄りにありながら海にも面していない町で、景色も茫洋としている。大学の頃、この町から遠距離通学しているという清楚な女の子がいたが、特にその女の子との間に素敵な思い出があるわけでもないので、感傷の拠り所にもならない。
公園を奥に進むと市立美術館・郷土資料館があり、その玄関に、かつて茂原市に通っていたという人車鉄道の車両が飾られていた。美術館は建物が立派なわりに、展示スペースは地元の絵画サークルが使っている程度のようで、なんとも持て余しているという印象だった。
15:45 九十九里・白子の海岸へ。砂浜そばの駐車場に車を停めて。
鳥の群れが、押し寄せる波からマスゲームのような律義な集団行動で走って逃げるさまなどを眺める。
チェックイン時刻の16:00を過ぎたので、宿へ。フロントで部屋のキーを受け取ると、「この後小学生の団体が入るので、お風呂は早めにどうぞ」と言われる。白子は(特にテニスの)合宿の聖地だ。この日も、小学生くらいと中学生くらい、2つか3つの団体がこのホテルに泊まっていた。
千葉だから朝早くから旅立つこともないでしょ、と、部屋中に掃除機をかけてから出発。信号の多い都内を抜け、高速道路のような国道357号湾岸線を突っ走り、船橋から千葉市内まで断続的に渋滞に引っかかり、ようやく郊外に出る。
千葉って実は、自然の(と僕が言う場合には大概、イコール「山の」ってことなんだけど)魅力的な場所ってあまりない。ドライブ中に地図のルート上で見つけた湖、そこに行けば何かありそうだとやってきた。遅い昼食がとれるかと思っていたが食堂は閉鎖、地元野菜の置かれた簡素な売店しかなく、まず食事の期待は裏切られ、例によって朝も食べてきていないのでどうしようかと思ったが、今晩のホテルは「じゃらん」の口コミによると夕食のボリュームが多いらしいので、夜まで食事を抜いてしまってもよいか、と諦め、ダム湖畔を歩き出す。
13:15 房総半島がくびれているあたりの内陸部にある長柄町、長柄ダムにせき止められた市津湖。湖畔まで下りていく。
湖は入り組んだ形をしている。それに沿って遊歩道がある。ほぼ平坦。森の木立ちから鳥のさえずりが聞こえてくる。地元の人らしき散歩者とごくまれにすれ違う。
九十九里沿岸や南房総の地域に生活用水を供給するため、利根川から67kmもの導水路を引いてこの水は貯められているのだという。魚釣りは禁止されているが、土手で釣り糸を垂れている人がいる。パトロールのバンがゆっくりと遊歩道を走ってくる。さっきの釣り人は見つかって注意を受けるのか受けないのか。ともかく静かだ。
あの赤い橋を渡って出発点まで戻れば、この湖のほぼ半分を周ったことになる。放水訓練でもしていたのか、地元の消防団がポンプ車のホースを片付けていたり、おおよそ不似合いな中年男性がダムサイトのコンクリート舗装の上でスケートボードを一心に滑らせていたり。桜並木が植えられているが今は花の時季でもなく、特に「何がある」でもない湖だ。おそらくもう一生来ることもないだろう。自分はこんな所で何をしているのだ?それでも、4km、1時間ほど歩き、足跡を残す。「日中体を動かさずにただ温泉に入ってもつまらない」というのが最近の自分の持論なので、温泉を堪能するための適度な疲労も稼いだつもり。
14:42 茂原市の中心部にある茂原公園。…やはり東京近郊では旅情を感じるのは難しいな。こうやって車を降りて歩いてみても、「旅先」にいるという実感が湧かない。埼玉の実家近辺にも散見されそうな、凡庸なカントー・サバービア。これから異郷の地の温泉旅館で大浴場につかったり料理に舌鼓を打つのだという実感も湧かない。空模様さえ、曖昧模糊とした曇天。…いや、僻みっぽいのは自分の責任なのだが。
公園の中には高台があり、市の中心部を見下ろす。茂原は房総寄りにありながら海にも面していない町で、景色も茫洋としている。大学の頃、この町から遠距離通学しているという清楚な女の子がいたが、特にその女の子との間に素敵な思い出があるわけでもないので、感傷の拠り所にもならない。
公園を奥に進むと市立美術館・郷土資料館があり、その玄関に、かつて茂原市に通っていたという人車鉄道の車両が飾られていた。美術館は建物が立派なわりに、展示スペースは地元の絵画サークルが使っている程度のようで、なんとも持て余しているという印象だった。
15:45 九十九里・白子の海岸へ。砂浜そばの駐車場に車を停めて。
鳥の群れが、押し寄せる波からマスゲームのような律義な集団行動で走って逃げるさまなどを眺める。
チェックイン時刻の16:00を過ぎたので、宿へ。フロントで部屋のキーを受け取ると、「この後小学生の団体が入るので、お風呂は早めにどうぞ」と言われる。白子は(特にテニスの)合宿の聖地だ。この日も、小学生くらいと中学生くらい、2つか3つの団体がこのホテルに泊まっていた。