情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

衆院を通った「顔写真・指紋データ収集法」は,米国の世界戦略の一環だった!

2006-04-20 23:28:25 | 適正手続(裁判員・可視化など)
日本に入国する16歳以上の外国人に、指紋など個人識別情報の提供を義務づける出入国管理法の改正案の正体が実は,日本人の海外旅行客の指紋,顔写真を収集することを可能にする「顔写真・指紋データ収集法」であることは,しつこく(ここここここなど)書いてきたが,実は,アメリカの世界戦略の一環であることが分かった。

米国大使館のウェブサイトに掲載されている「ファクトシート:情報化時代における国境の安全と門戸開放」(ここ←)には何と次のような記載がある。

【共通した考えを持つ外国政府とのデータの集積】
【米国の制度とデータが改善されるに従い、国務省と国土安全保障省はこれらのイニシアティブを世界に拡大して行かねばならない。警戒リスト、生体識別情報、紛失や盗難されたパスポートの情報等の総合的な情報交換を他国と行うための外交努力を続けると共に、これらの情報を有効利用するための能力を高める。この外交努力の中心的課題のひとつは、データの収集・共有方法におけるプライバシー保護のための共通したアプローチを開発することである。】


ええ,【米国の制度とデータが改善されるに従い、国務省と国土安全保障省はこれらのイニシアティブを世界に拡大して行かねばならない】。さらに,【警戒リスト、生体識別情報、紛失や盗難されたパスポートの情報等の総合的な情報交換を他国と行うための外交努力を続ける】…。

つまり,日本はアメリカの世界戦略の「お試しセット」,「アンテナショップ」ってことだ。これじゃぁ,まるで,存在することだけに意味があった(平和国家日本でさえ,米国を支援しているという姿勢を示すこと)自衛隊のイラク駐在と同じではないか?

こういう言葉を使いたくはないが,いまの政権は,「売国奴」というほかない!

残念ながら,この法案は衆議院を通過したが,参議院はこれから審議に入る!共謀罪同様,徹底的に反対しよう!

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共謀罪への御懸念に対する回答への懸念

2006-04-20 23:05:17 | 共謀罪
いやぁ,法務省もなりふり構わず,共謀罪を通す構えを示してきましたねぇ…。ウェブサイトに「『組織的な犯罪の共謀罪』に対する御懸念について」なるページ(ここ←のトピックス欄)を作成し,共謀罪擁護に必死だ。

いわく,
【法案で新設する「組織的な犯罪の共謀罪」については,種々の御懸念が示されているところですが,中には誤解に基づくものもあるように思われます。そこで,この罪の内容について,正確に御理解いただくため,主な御懸念について御説明します。】
というが,それなら,誤解の内容に一読して,懸念しないでいいような法文(例えば,「犯罪を繰り返し行っている集団」など)にしてくれ。それができないということに対して懸念せざるを得ないんですよ。

次に,
【○  そもそも「共謀」とは,特定の犯罪を実行しようという具体的・現実的な合意をすることをいい,犯罪を実行することについて漠然と相談したとしても,法案の共謀罪は成立しません。
 したがって,例えば,飲酒の席で,犯罪の実行について意気投合し,怪気炎を上げたというだけでは,法案の共謀罪は成立しませんし,逮捕されるようなことも当然ありません。】
とのたまわる。
しかし,「特定の犯罪」っていうのは,しばりにならない。ある一定の行為を行う話をするのだから,当然,「特定の犯罪」となるのだから。また,「具体的・現実的」っていうのも抽象的だ。どこまでが具体的でそこからが現実的なのか,それを決めてもらわないと何の歯止めにもならんわい。

さらに,
【○  法案の共謀罪は,例えば,暴力団による組織的な殺傷事犯,悪徳商法のような組織的な詐欺事犯,暴力団の縄張り獲得のための暴力事犯の共謀など,組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪を共謀した場合に限って成立するので,このような犯罪以外について共謀しても,共謀罪は成立しません。
 したがって,国民の一般的な社会生活上の行為が法案の共謀罪に当たることはありませんし,また,国民同士が警戒し合い,表現・言論の自由が制約されたり,「警察国家」や「監視社会」を招くということもありません。 】
という。
おいおい,【組織的な犯罪集団】なんて法案のどこにも書いてないじゃないか!【重大な犯罪】って,全部で619もの犯罪(ここ←)には,組織犯罪という概念とはそぐわないものもある。危険運転致傷,背任などなど…。限定するっていうなら,組織犯罪としてふさわしい犯罪に限定してくれ!でないってことは御懸念せざるを得ない。

また,
【○  法案の共謀罪は,違法性が高く,結果が実現する危険性も高い「組織的な犯罪」を実行しようと共謀した者を処罰の対象とするものであり,特定の団体に参加する行為や,特定の犯罪と結び付かない結社を組織する行為を処罰するものではありません。
 したがって,「警察が組織的な犯罪集団と認定すれば処罰される」ということはなく,また,国の体制を変革することを目的として結社を組織することなどを処罰の対象としていた「治安維持法」とは,その趣旨や目的,処罰の対象となる範囲がまったく異なります。 】
という。
まず,「違法性が高く,結果が実現する危険性も高い『組織的な犯罪』を実行しようと共謀した者を処罰の対象とする」というのなら,その通り明文化してたもれ。いまはまったく不十分。また,そもそも,団体参加行為や結社組織行為を保罰しないって,共謀罪の懸念を解くこととなんか関係あるのかい?ていうか,実際には,いまのままの共謀罪ができてしまうと,警察に狙われた集団は,潰されるでしょうね。そういう意味では人の懸念という形を通して本音がぽろっと出たってことかな。

【そのほか,組織的な犯罪の共謀罪については,組織的な犯罪の共謀罪に関するQ&Aをご覧ください。】
う~ん,こっちも突っ込みどころ満載!!




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共謀罪だけではない~職務質問に強制力

2006-04-20 04:56:14 | 適正手続(裁判員・可視化など)
警察ってそんなに怖いところ?そういう素朴な考えから共謀罪が制定されてもかまわないんじゃないかって思う人もいると思う。確かに警察官の多くは,個人としては,真面目に仕事に取り組んでいると思う。でも,そういう真面目な人を使う側が意図的に行動したら,どうなるでしょうか?真面目に業務に取り組む人を使えるだけに…。そして,そういう人は,ある法律が作られる際,意図的に行動できるような仕組みとしたいと考えるでしょう。

いま,共謀罪だけが問題となっているのではありません。

例えば,警職法の改正の動き(ここ←)。

【警職法を改正して、行政警察活動に携わる警察官に対して、職務質問や同行に強制力を与えることは、警察官の権限を強化するだけであり、それと対抗する市民にとっては、正当な運動や活動に対して、警察官が権限を濫用・暴走して、より多くの市民の弾圧を生むというマイナスの結果しかもたらさないと考えられる】(山下弁護士)

そして,例えば,代用監獄を利用した警察の暴走…(ここ←など)

警察の「守ってあげるよ」っていう言葉の裏に何があるのか,よ~く考えないと…。


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共謀罪に"Say NO!" ~アムネスティらが共謀罪反対共同アピール!

2006-04-20 04:08:07 | 共謀罪
「共謀罪に"Say NO!"」を掲げ,アムネスティ,グリーンピースら市民団体は,19日,「共謀罪」に反対するNGO・NPO共同アピールを,衆院第二議員会館で発表し,今国会での審議入りが決まった共謀罪法案が市民活動全体に及ぼす悪影響についての懸念を表明した(共同通信←など。詳しくはここ←など)。後で述べるように,この市民団体の懸念は,杞憂ではなく,すでに,政府に対して,声を挙げる団体は弾圧の対象になりつつあるのだ。

アピールの全文は,ここ←など。

共同アピールでは,【これまでは犯罪行為の実行がないうちは処罰の対象にならなかったものが、共謀罪ができると「相談した」だけで処罰が可能になります。共謀罪は、市民活動そのものを脅かし、市民の言論を封じて市民社会の広がりを妨げる悪法です。】などと問題点を指摘したうえ,【市民の言論が守られることは、民主主義の根幹であり原則です。自由にものが言えない、活動ができない社会は民主主義を崩落させるばかりか、人権尊重を追及する国際社会の流れに逆行するものです。市民はじめNGO・NPOの活動の存続を危うくする共謀罪法案に、私たちは強く反対します。】と結んでいる。

こういう懸念は,杞憂だとは到底いえない。前にも書いたが(ここ←),外国では市民の表現活動として許容される活動が,日本では,「お上にたてついたもの」として徹底的に取り締まられてしまうのだ。

いま,何ができるのか?例えば,日弁連が行う反対集会を人であふれさせるというのはどうだろうか?これは簡単だ。時間をつくって参加すればいい。

政治家に共謀罪は,単に話しただけで逮捕されることの意味をアピールするのはどうだろうか?これも簡単だ。警察のスパイが選挙運動に潜り込み,選挙違反となる活動~例えばバイトを使っての電話かけなど~を選挙対策の幹部らに持ちかけ,いったんは,幹部のだれかに承諾させれば,後で幹部が思い直して,選挙違反をしなくても一網打尽で逮捕される恐れがある。こんなことを書いて議員事務所にFAXすればいい。

テロ活動がまだ起きていない日本で,テロを念頭においた極端な立法をすることがだれにとってメリットがあるのか。そんなことを問いかけてもいいのではないだろうか。

もちろん,ブログでアピールするのもいいし,とにかく何らかのアクションを審議入りまでに起こしましょう。


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