情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

これでも,共謀罪なんていう「武器」を与えていいのか~権力を追及した3人の記者の話

2006-04-22 18:26:12 | 共謀罪
今日,都内で行われた,メディア総研主催のシンポジウム(ここ←)で,権力の嘘を暴いた3人の記者がそれぞれの経験を話してくれた。

特に印象深かったのは,高知県警裏金疑惑を取材した竹内記者の話だ。

高知県警裏金疑惑とは,警察が組織的に捜査費用名目で裏金をつくっていた事件。裏金疑惑というと高田記者などで有名な北海道新聞による北海道警疑惑が有名だが,高知新聞は,全国に先駆けて,この問題を取り上げた。

連載記事などを読むと,警察の組織としての怖さがよく分かる(ここ←)。

幸い,高知県では,高知新聞の活躍もあって,今年2月,県監査委員が,2000年から5年間に使われた捜査費(県費)約5000万円のうち35%、約1800万円が違法または不適正・不自然な支出だったとする特別監査報告書をまとめ,橋本大二郎知事と県議会に提出することができた。今後警察は自ら調査をして報告することになっている。

竹内記者の話によると,監査委員の中には,交通違反をすると警察に弱みを握られるからといって,オートバイ通勤をバス通勤に変えたり,酒場での喧嘩に巻き込まれるとまずいと言って外で酒を飲むことを控えたりしたという。

そういう努力をしてくれたのも高知新聞のバックアップがあればこそだ。

今日は,実は,元宮城県知事の浅野さんの話も聞いた。浅野さんは,知事という立場にありながらも,警察の裏金疑惑を追及した人だ。宮城県では,メディアが弱かったせいもあってか,新知事が警察に屈服するなど,追及の手が弱まっている(ここ←参照)。


権力を行使する側は自らが聖域となるだけに不正の温床となりやすい。このことが理解できるならば,共謀罪の怖さもより理解できるはず…。

なお,他のお二人は,外務省機密漏洩事件で密約が本当にあったことを暴いた往住嘉文記者(ここ←参考)と大阪市の「カラ残業」問題などをキャンペーンで追及した奥田信幸記者(ここ←参照)。いずれも興味深いお話だった。




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民主党,組織犯罪集団に限定した対案を!~共謀罪のポイント

2006-04-22 11:18:12 | 共謀罪
民主党が共謀罪の対案を用意しようとしていることが,21日付朝日新聞などで伝えられた。その内容は定かではないが,朝日新聞によると,①与党案が刑の長期が4年以上の犯罪について共謀罪の対象としている(例えば,窃盗は10年以下の懲役刑だから,長期が4年以上となる)が,それを長期5年以上とする,②性質上国際的な犯罪に限定する…という内容だという。産経新聞は,【民主党が策定している修正案も適用範囲を制限することが柱で、法案の中身そのものに大きな開きはない】と酷評している。

しかし,民主党が実は対象となる団体自体を限定しようとしているという情報もある。すなわち,法案ではあらゆる団体が対象となりうるが,それを明確に組織犯罪集団に限定することを検討しているというのだ。

これは共謀罪の今後について,非常に重大な意味を持っている。もし,民主党が適用される団体を明確に限定した法案を策定し,提出した場合,与党もそれに乗らざるを得ないのではないか。つまり,法務省側も,建前では,市民団体や労働組合,メディアなどを対象とすることはないと言わざるを得ないのだから(ここ←参照),そのことを明示した対案を採用しないという理屈が通らなくなるからだ。対案のどこが問題なのかを説明することができない以上,対案を採用した形で修正をするほかなくなる可能性がある。

ここは,ぜひ,民主党の対案に注目しましょう。

知り合いの民主党議員に,団体を限定するよう呼び掛けましょう!

そして,きちんとした対案が出てきたら,なぜそれではダメなのか,法務省や自民党・公明党に電話やFAX,メールで問い合わせをしましょう!

もし,へなちょこな対案だったら,民主党にきちんと抗議しましょう!

今週末から来週頭にかけて,一つの山を迎えそうな感じだ。


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