情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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共謀罪審議入り~修正提出案全文掲載:日弁連は断固反対

2006-04-21 21:01:14 | 共謀罪
犯罪の企てを話しあっただけで罪となる「共謀罪」の創設を盛り込んだ組織的犯罪処罰法などの改正案の審議が21日、衆院法務委で始まった(朝日)。この日提出された改正案は,一度修正されたが(ここ←),その修正案にさらに修正を重ねたものだ。修正案全文は次のとおり。

■■引用開始■■

第六条の二
次の各号に掲げる罪に当たる行為で、団体の活動【(その共同の目的がこれらの罪又は別表第一に掲げる罪を実行することにある団体である場合に限る。)】として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、【その共謀をした者のいずれかにより共謀に係る犯罪の実行に資する行為が行われた場合において,】当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮
二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 二年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。
【三 前二項の適用に当たっては,思想及び良心の自由を侵すようなことがあってはならず,かつ,団体の正当な活動を制限するようなことがあってはならない。】

■■引用終了■■

上記のうち,【】の三カ所がもとの案から修正(付加)された点で,与党修正案からさらに修正されたのは,最後のところ,三項の新設だけだ。

三項なんて,まったく意味がない。取り締まる側が思想・良心の自由を侵しました,団体の正当な活動を制限しました,なんて言うわけがない。こんな雰囲気だけの修正を盛り込むくらいなら,対象となる団体を明確に組織的常習的犯罪集団に限定するよう明記するべきだ。

ほかの二点については,すでに指摘したとおりだが,日弁連が次のような反対声明(ここ←)を出している。

【第1にこの修正案は、あくまでも団体の「活動」に着目して限定を加えたものであって、必ずしも、「団体」がどこまで限定されているかは明らかでない。現実に過去に犯罪を遂行してきた事実も要件とされていない。団体の一部の構成員が一定の犯罪の共謀を行ったことのみをもって、団体に犯罪目的ありと解釈される可能性がある。むしろ端的に、文字通りの組織犯罪集団が関与する場合に適用範囲を限定するべきである。】

【第2にこの修正案においては、共謀に加えて、「犯罪の実行に資する行為」が必要とされている。この概念は、犯罪の準備行為よりもはるかに広い概念であり、犯罪の実行にはさしたる影響力を持たない精神的な応援などもこれに含まれる可能性があり、共謀罪の適用場面において、ほとんど歯止めにならない。少なくとも、犯罪の実行の「準備行為」が行われたことを明確に要件とするべきである。】


民主党も対決姿勢を強めている。

【審議入りに反対する野党は石原伸晃委員長に詰め寄り、議事進行に激しく抗議。騒然とする中、杉浦法相の法案の提案理由説明と自民議員の修正案趣旨説明が行われたが、「横暴だ」などの怒号ややじにかき消された。民主党の平岡秀夫議員は「なぜこれほど強引にやるのか。怒りをもって抗議する」と述べた。】(前記朝日)

 組織犯罪集団にのみ適用されることが明記されるまではこの法案の危険性は変わらない!!


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