東北三大祭りのひとつ、仙台の七夕まつりが始まっている。期間中、200万人もの人を集めるというからにぎやかなものだ▼仙台で七夕が盛んになったのは伊達政宗公が藩を挙げて奨励したおかげで、子どもの技芸向上などを願ってのことだったとか。7月7日ではなく、月遅れの8月に行うのは1カ月遅らせることで江戸時代からの季節感を明治の新暦採用後も守りたかったためと聞く▼ところ変わって東京・阿佐谷の七夕まつり。こちらも8月の開催で今年は昨日7日から12日まで。アーケード街をちらっとのぞけば、名物の張りぼて飾りが目に楽しい▼始まりは1954(昭和29)年。こちらの8月開催は旧暦も江戸の季節感も関係ないようだ。「二八の涙月」とはよくいうが、2月と8月は商売が低調になりやすい。暑い夏、商店街に客足を取り戻す工夫が8月の七夕だった。なじみの飲食店に聞けば年間売り上げのかなりの部分を期間中に稼ぐらしい▼七夕に対抗心を燃やしたのがお隣の高円寺というのがおもしろい。57年に「ばか踊り」なるイベントを始め、これが今では100万人規模が集まるという「東京高円寺阿波おどり」(今年は24、25の両日)となる▼苦しいときにひねりだした知恵と工夫が「東京名物」にまでなった歴史がたくましい。七夕と阿波おどりが終われば中央線沿いに秋が少しずつ近づいてくる。
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