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今日の筆洗

2024年11月02日 | Weblog
中国ではトキは紅鶴(べにづる)とも呼ばれ、幸せを象徴するという。長く不明だった生息が中国で確認されたのは1981年。研究者らが捜し歩く途中、村からトキが消え家族が不幸になったと嘆くおばあさんがいたそうだ▼製鉄所ができ、村の木々も切られ、巣を作っていたトキも消えると夫は死に、不作が続き、家族はちりぢりになった…。全てはトキがいなくなったせいと説明するのは非科学的だが、トキ同様、環境の変化に適応できぬ人がいたのは事実なのだろう。捜索に加わった劉蔭増さんの著書『トキが生きていた! 国際保護鳥トキ再発見の物語』(桂千恵子訳)で知った▼新潟・佐渡で生まれたトキ16羽が中国に返還された。81年の生息確認以来、保護に取り組む中国から提供されたトキから生まれた子たち。日中の覚書は子の半数を中国に返すと定めており、8年ぶりの返還という▼返せるのも繁殖に無事成功したから。喜ばしいことである。何かと関係が緊張することが多い両国だからこそ、連携の意義は大きいのだろう▼劉さんの先の本は中国の子ども向けに書かれたという。「鳥にとってのきょうは、人にとってのあした」という言葉を教えている▼野生動物と人間は大自然のなかで競争しながらも、ともに生きている。相手がいなくなって、自分たちだけが生き続けることはできない-。国と国の関係もよく似ている。

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