
記事の内容が飛んですみません。先日の「ブランド」のお話の続きです。
写真は、何度か出しています「石下の染結城」。40年くらい前のものかと思います。
お嫁入りに持たされたのだとか。胴裏も八掛も一緒に譲っていただきました。
こんな紬です。ちょっと濃くなってしまいました。ブルーグレーの地です。柄から言って単衣にいいですね。
ずっと前から「証紙」とか「落款」というものについて、ちょっとギモンに思うことがありました。
これについては過去記事の「薩摩結城」のところでも書いているので、同じことの繰り返しになりますが、
まず証紙というのは、それぞれの地域の名産やその個別の作品についての管理とか責任の証明です。
それぞれの織物や染物には、それぞれの独特の技術や特徴というものがあります。
織物で言うなら大島には「締め機」という独特の絣の作り方があり、
また「「泥染め」という、土の中の鉄分と反応させて色を定着させるという独特の染め方があります。
「村山大島」は、絣糸の染め方が「板締染色」で、板に絣模様を彫り込み、それで糸を挟んで染めます。
結城は手紡糸でいざり機(今は地機と呼びます)という機で織ります。
越後上布は「雪さらし」という漂白方法を使います。
こんなふうに、それぞれの土地の気候風土や生活によって、様々な特徴を持つわけです。
昔、道具が今のように機械化されていなかった時代は、ひとつの地域でみんなやることは同じだったし、
よそ様の技術を持ち込むこともなかったわけです。
時代が進んで機械化されてくると「手織りか機械織りか」の違いだけで、価値が変わってきます。
情報もいろいろとれるようになると、よそと似たようなものを作ることができるようにもなるし、
同じ地域でも、品質に差が出たりもするわけです。
また「商売」として考えた場合、組織を作ってまとめたほうが、管理もできるし、
流通や販売という点でも有利な点が出てきます。そこで、あれこれ組合とか協会とかができるわけですね。
そのこと自体は、悪いことではないと思います。品質の管理もでき、レベルの保持もできますから。
つまりは「じぶんとこのモノは、じぶんとこで管理して、責任も誇りも持とうよ」…ということです。
「証紙」というのは、この「責任と誇り」の証明であれば、それでいいはずなのです。
たとえば「結城紬」ですが、こちらに「証紙」が出ています。関わる組合はたくさんあります。
そして「本場結城紬」と言われるものはこういう定義で作られたものをいう・・・という決まりがあるわけですが、
これがまたややこしくて、たとえば地機でなくて高機だと「重要無形文化財」のシールはつけない…とか。
こういうことは「大島」でもそうですが、「地球印」と「国旗印」では産地が違い、
また同じ奄美大島でも、泥染めでないとまた違うシールがつき…なんですね。
更にこの証紙というもの、時々変わります。昭和何年まではこう、とか色を変えたとか…。
こちらに博多織の証紙があります。青字で「変更があったので見てください」とあります。
こちらが博多織の組合のサイト。そて「従来の証紙も使っています」とあります。
こんなんで、素人が見てこれはこういう品質だ…なんてこと、すぐにわかりますかしらん。
そしてもっとまずいことには「本場」という言葉が「本物」という意味まで感じさせてしまうこと。
「本場」の組合が「こういう証紙がついていないものもありますので、お気を付けください」なんてことを言う。
結城にも大島にも、私たちがよく目にする証紙とは、違う証紙がついたものを見ることがあります。
広く知られている「協会」だの「組合」だのとは、違う地域や状況で、独自の証紙を作っているわけです。
結城の場合「石下町」という町で作られている結城紬があります。
糸が違ったり、機械織りだったりするので、よく見る「本場結城紬」の証紙はつきません。
でも「結城地方」であることには変わりありません。石下の方をまとめているのは「茨城県結城郡織物組合」、
本場結城は「茨城県本場結城紬織物組合」はじめとしての5つの組合の合体…。
石下は機械織りなので、本場結城にくらべて格段に安いのです。
トップの写真のもの、手持ちの染結城の証紙です。「石下の方です。たぶん今でも同じものだと思います。
真ん中の絵、本場結城の方は「女性が機織りをしているところ」
こちらは「ただの機」、でも絵の上にはちゃんと「結城紬」と入っています。
小さくて見づらいので部分アップ。「茨城県結城郡」になってますでしょ。
それに「葉っぱの中」、本場結城は「結城」の「結」、こちらは「紬」ですね。
まぎらわしいでしょ。
石下結城についての説明もいろいろで「本場結城紬のランクの下の方のものより、いい糸を使っているので、
石下はそれよりずっといい」…なんて書かれているところもあります。
同じ結城紬なら、一緒に並べてお互いに認め合うことを書けばいいのに、競争心ばかりで、
みんな自分トコのいいことしか書かない…狭量…という言葉が頭をよぎります。
私はずっと、本来こういうものは呉服屋さんがしっかり分かっていればいいことではないかと思っていました。
呉服屋さんが、自分の仕事に対する責任とお客からの信用のために、こういう知識を正確に把握し、
それを元にお客の要望に答えればいいと、そんな風に思っていたわけです。
実際、私などもいつもいくお店の人を信用していましたから、
「結城でもこれは石下だから安いけど、普段着ならこれで十分」…とか、そういうことを教えてもらいました。
ところが…着物離れが始まり、呉服屋さんとの密な関係というものがなくなってきました。
呉服を販売する方の体制や状況も、とんでもなく変わってしまいました。
売れなきゃ安くすればいいとばかりに、海外に製造の拠点を持ち、安い人件費でものを作らせ
展示会場で、何千枚という着物を一気に売る…そんな商法が始まり、
呉服屋さんは敷居が高いと思う人たちが、そういうところに行く…。
いくら海外で作れば人件費が安いといっても、5枚10枚では商売になりません。
だから大量に作り、それを広い会場で一気に売る。ぴったりついてくる販売員は「その道のプロ」のマネキンさんです。
時給ではなく「歩合制」の場合が多いですから、とにかく売ろうとします。
そんな売り方は、お客のことを考えるのではなく「売り上げ」のことを考える商売です。
そんな現実の中で、着物を買おうとしたら、私たちまで証紙の見方を知らなければならないわけです。
さらに今はネットで買う、という方法が生まれました。
オークションでもショップでも、ちゃんと商売をしている出品者ももちろんいますが、そうでない場合もあります。
古着屋に出ている反物には、古い証紙や、今は使われないものが付いている場合もあります。
先日来、お話している「いつも表示のいいかげんなショップ」、先日もおもしろい表記をみつけました。
「本場村山大島泥染め」…「村山」に泥染めはありません。これについてはあまりにひどいので
以前メールしてみたのですが、全く改善されず、今も何点か一緒に出ています。
着物を販売する方が、正確な情報を持っていない、というのは困ったものです。
元々は、買う側の意識が大切で「自分が何が欲しいのか」です。「証紙」を買うのではないのですから、
自分が欲しいのはなんなのか。本当に「本場結城紬、本場奄美大島泥染め」が欲しいのなら、
証紙をしっかり見ればいいわけだし、高島屋でも三越でも「老舗」と言われるところに行ったほうが安全です、
もし単純にその着物の色や柄が気に入ったのなら、その証紙がどうであれ好きならいいじゃありませんか。
自分自身が「お店の人が本場大島といってるけれど、本当は違う」と気づいていればいいわけで、
あとは、その価格がそれに見合うかどうかです。
証紙も何もなしで、反端に「大島織り」だの「大島紬」だのの文字を織り出しているものもあります。
それは単純に「大島風」というだけなのですが、知らない人は「大島だ」と思ってしまう。
そういうものが「大島紬」として出品されているのも何度も見ています。
出品者本人に悪意はなくて「知らないだけ」の場合も多いです。
ある古着屋さんが、あらゆる着物に「留袖」とタイトルをつけていまして、
どうもその人は「長着」は全て留袖だと思っているらしく、ウールアンサンブルにも「留袖、羽織とセット」なんて
ありえないことが書いてありました。
そのためにも、こちらが着物のいろいろな知識や、証紙を知っておく必要が出てくるわけですね。
ネットの一番の弱みは「直接目で見たり触ったりできないこと」です。
証紙つき、となっていても、写真がぼやけていたり、古いものだと今は使われていない証紙だったりします。
それでもいいかどうかは、自分で決めることですよね。
あからさまに「間違い」とわかるようなものでも「その着物の色柄」が好きなら、それでいいと思います。
証紙というものは、誰のためについているのか、なんのためについているのか、どう使うのか、
いろんなことが現状にあわなくなってきていています。
以前から言っていますが、今の時代「消費者も賢くならないと」なのですね。
実は、いつもお世話になっている呉服屋さんの奥さんが、年取ったしリタイア…と言い始めています。
りっぱな跡継ぎさんもおられますが、ツーカーで細い話ができる人がリタイアするのは、痛手ですわ。
暇になるだろうから、私の先生やりにおいで…と、生徒の方が態度大きく頼んでいるところです。
まだまだわからないことが、いっぱいありますから。
はぁ?思わず画像を大きくして見てしまいました。
角通しでした。
ドットと銘打って若い客の目を惹こうとしたのだろうと思うんですが。まさか江戸小紋がドットだと思ってたら怖い。
そのテキトウさ加減がなんだかなあ、です。
石下結城には、作る側にも売る側にも言いたいことだらけです。
リーズナブルなお値段でほっこりした丈夫な生地。これでデザインさえ本場結城の亜流じゃなければもっといいのに。安いのだから、デザインや色でもっと遊んだ方が若い人にも手を出しやすいはず。アタマが固いのでは。本場ものなど普通の人がちょこちょこ手に入れる訳ないのだから、石下を2枚3枚と売った方がいいはずなのに。だから着物が売れなくなっちゃうんですよね。業界自業自得。虚栄心で着物を買う客がいるせいもあるんでしょうが。。。
そうなんです。ドット…マンスジも「細いストライプ」ででてましたよ、以前。せめて縞にしてほしい…。
石下はほんとに紛らわしいのですよね。「結城の偽物?」って聞かれて、
説明がめんどくさいこと。
今時、国産まゆだってほとんどない日本です。どこの国の文化かと…。
着物業界は「職人を大切にしない」「横のつながりを持たない」「手前味噌オンリー」と、
職人と客泣かせの業界です。
手触りと柔らかさと力強さ?色合いも自分的には気に入ったのでOKかな?と。
近くに持ち込んで色々とご相談出来る方がいると心強いのですが、難しいですね・・・。
あの結城には証紙がついていましたよね。
上の「結城」の証紙と比較なさってみてください。
結城でも大島でも、水を遠ったものの方が身に馴染みます。
こういう場合は中古の方がいいですね。
楽しんで着てください。
出来の悪い おばさんでも 教えて下さいますかねぇ
散々引っかかって 今更感はありますが
いよいよ楽隠居・・・にはいられるようです。
まぁ、完全離脱はしないでしょうから、
お茶飲み話に、あれこれ聞き出そうと、
手ぐすね引いて??待っています。
とても70半ば過ぎには見えない、かわいいおばちゃんですよ。