実験結果は、また伸びますー。前説明の長いこと…すみません。
例によって話が長くなりますが、どうせお試しするなら、いろいろ書いておきたいと思いまして…。
以前「着物を洗う」ことについての記事を書きましたので、同じことがでてくるかもしれません。
まず、今回は「きれいにする」ということで、洗うことと、シミ抜きのことも合わせて書きます。
正絹の着物やウールのセーターなんかは縮むから、ドライ洗剤なら大丈夫…
たしかに、家庭用ドライ洗剤には「絹も洗える」と書いてありますが…実はこれが曲者です。
家庭用ドライ洗剤エマールのこちらのページ、「お洗濯方法」のところに、
洗えないものとして「和服」と書いてあります。
なぜでしょうか。クリーニングやさんのドライは「有機溶剤」で洗います。
有機溶剤は「脂肪分」のよごれのみ落としますから、皮脂や食品の油分、
油性の化粧品などは落ちますが、汗ジミは水性ですので落ちません。
これも落とすために、家庭用ドライには、ほかのものが入っています。
それと家庭用は、洗剤が「ドライ用」でも、結局水ですすいだりします。
着物の場合、絹でも強撚糸を使っているちりめんやお召しは、水に入れると縮みます。
ウールが縮むのと、ちりめんが縮むのとは、元々大きな違いがあります。
ウールと絹はどちらも動物性繊維ではありますが、ウールは「毛」、つまり人間の髪の毛と同じで、
表面はウロコのようになっています。キューティクル、ですね。ウロコ状…とよくいわれます。
このウロコは魚のウロコのように、1枚ずつは丸くなくて、先にトゲトゲがある上、
魚のように規則正しくきれいに並んでいるわけではありません。
ウールのものを水に入れると、このウロコが開いて中に水が入り、とんがりがあっちこっち向いて、
そばのウロコとからみやすくなります。洗濯機で撹拌したりすると、この「からみ」がさらにひどくなります。
一度からまったものはもとにもどりませんから、からまった分くしゃくしゃと縮むわけです。
このひどいからまりが進むと「フェルト化」する、といいます。
絹はそれ自体は、ウールのようなウロコはありませんので、それで縮むことはありません。
絹が縮むのは、強撚糸の強い撚りが、水にぬれて元に戻ろうとするからです。
なので、強撚糸を使っていない紬や銘仙は、洗ってもほとんど縮みません。
ドライ用とかおしゃれ着用という洗剤は、洗うことより「保護」をうたっています。
たとえば前述のエマールの成分表には「シリコン」とあります。
シリコンをいれることで、ウロコの表面をコーティングしてしまうわけです。
なのでウロコが開かない→逆立たない→絡まない→縮まない…です。
麻は、縮むといわれたり縮まないと言われたり…どっちなんや、ですが、原則縮むもの、です。
原理は絹に似ていますが、麻は撚りをかけることよりも、元々繊維にある水分量の変化です。
洗濯で水を吸い、それが蒸発するとき、元の形に戻るとは限らない…なのでしわしわに縮むわけです。
水を通してから製品にするなど、縮まない、縮みが少量ですむ…といったものも多いです。
着物の場合、縦方向に縮むことが多いようです。
縮まない紬や、防縮加工の木綿、ウールなどは、ドライ用で十分洗えますが、
基本的に和服は専門家に任せる方が安心です。
ただし、ドライクリーニング、京洗い…とあっても、危ない場合があります。
使われている有機溶剤が、いろいろあるからです。
着物は着物を専門に洗うところに出すのが、一番いいのです。
次に…洗剤の説明の中には、必ず「界面活性剤」という言葉が出てきます。
これは「親水」「親油」の両方の働きを持つもの…あ、難しいことはわからないので聞かないでくらさいねぇ…。
親水、は、水と仲良くなること、親油、は、油と仲良くなること、です。
繊維の中に、汚れがあるとします。水につけてゴシゴシもみもみ…これだけでも、
ある程度は落ちますね。汚れを揉みだすわけです。
界面活性剤を入れると、汚れの中にしみこんで、親油の力で汚れを「おいでおいで」と包み込みます。
次に親水の力で、水の中に「今度はこっちへいこうよ」をします。
それで汚れが水の中に溶け出す…というわけですね。
更にその働きを応援するのが「水を動かす」こと、それが洗濯機が回って水流を起こす理由です。
次に「せっけん」ってなんだ?…せっけんは「油をアルカリで煮たもの」。
それだけかい…ですが、原理はこれです。
最近「廃油からせっけんを作る」というのがありますね。実際にはけっこう危険であること、
純粋なものはなかなか難しいことで、素人はいきなりやらないほうがいい…なんて言われています。
これに使う「アルカリ」は「水酸化ナトリウム」、苛性ソーダ、といったほうがよく耳にしますね。
一滴で失明するという劇薬です。「煮る」と言いましたが、脂肪と混ぜると熱を発するのです。
かき混ぜて冷やすと固まる…これが「せっけん」です。
石鹸を水に溶かした溶液は「アルカリ性」を示します。
せっけんそのものの歴史はたいへん古く、紀元前のこと、当然いろいろ改良もされ、
日本に伝わったのは安土桃山と言われていますが…そうです、そういうものは「宝物」。
しょせん庶民の手にははいらないわけで…。
生活の知恵として、灰汁、これはアルカリ性ですね、それを汚れ落としに使ったり、
江戸時代は「むくろじ」や「さいかち」の実やふのりを使いました。どれもグニュグニュネチョネチョするものです。
これはサポニンという成分を持っていて、これが界面活性剤の性質があります。
古来より、人は汚れをなんとか少しでも落とそうと、身近なものをいろいろ試したのでしょうね。
スーパーへ行けば…いえ、ネットでポチッとしただけで、あらゆる洗剤が手に入る…
なんと幸せなことかと…だからこそ、上手に使わなきゃね、です。
ここまででもずいぶん長くなりましたが、ようやく「洗う」についてのお話が終わりました。
次にシミ抜き、のお話。シミ抜きにも、汗ジミ抜きのように、水とタオルだけでできるものもありますが、
今回のシミ抜きは「漂白」の方のお話です。
漂白は、薬剤などを用いて分解などの変化をさせて色を抜く化学反応です。
市販の漂白剤で、耳になじんだものというと「塩素系」「酸素系」「酵素系」…。
商品名だと「ハイター」「ブライト」の二種類でしょうか。酵素系は、大手は扱っていないようですね。
さて、この塩素系、酸素系の違いですが、一般的に「混ぜるな危険」が塩素系。
たいへん強力ですから「色という色は、みな抜ける」…で、シミ抜きと言っても白いものにしか使えません。
私のカラーTシャツの何枚かは、使用中の「ハネ」によって、不規則な水玉模様ができてますわ。
酸素系は穏やかなので、色物にも使えますが、シミ抜きの力は塩素系に劣ります。
さて、この酸素系…なんですが、さらに分かれて「過炭酸ナトリウム」こちらは粉末で弱アルカリ性、
それと「過酸化水素」こちらは液体で弱酸性。
同じワイドハイターでも粉末は「過酸化ナトリウム」、液体は「過酸化水素」です。
過酸化水素は、オキシドールですね。髪をオキシドールで茶パツにする…なんてのもありましたね。
ブライトも、カラーブライトは確か粉末…。同じ名前でも、中身は違うのですね。
実は「過酸化ナトリウム」、つまり粉末の方は、本来は絹物には使えません。
なので粉末の方にはちゃんと「絹・ウールはだめ」になってます。
最近は、なんでもOKのほうが手間なしですから、だいたい液体を使うと思いますが、
こんな違いがあるのをご存知でしたか?
余談ですが…水泳をする人は、髪が茶色くなる…と言います。それだけではなく傷むそうですが、
あれはプールの水に消毒用塩素が含まれているから。プール・ブロンドともいうそうです。
同じ茶パツでも、水泳選手は「塩素系漂白」、オキシドールは「酸素系漂白」というわけですね。
さて、このほかにも酢で漂白する、重曹と酸素系漂白剤のタッグなど、
頑固な衿汚れの落とし方とか、茶渋の落とし方とか、ネットにはたくさんのっていますが、
やるときはすべて「自己責任」です。
それまでの使用で、今まで特別問題も起きていないということは、それだけ実績があるということですから、
白い木綿だからハイター、プリント柄の絹だからワイドハイター…程度の使い分けで、十分だと思います。
ただ、正絹の着物については、元々がデリケートな繊維ですし、古いものほどなんのシミか、
いつついたのかわからないですし、使われている「染料」も、今とは違ったりします。
必ず目立たないところでのテストをするとか、洗う、シミを抜くと思っているものの状態と、
使おうとしているものの性質を、よく知ってから、トライですね。
大変長い説明になりましたが、めんどくさー…ですねぇ。
実際には、当たり前のように私もハイターだのワイドハイターだのを、適当に使っています。
本当は「使い分け」をきっちりしたほうが、いいことなのだと思いつつ…。
だらだら長いお話、おつきあいありがとうございました。
さぁいよいよ実験結果…の予定です。
ほう ほう
なるほど なるほど
・・・・
では 実験結果を楽しみに
普段使うのは塩素系と酸素系ぐらいです。
そんなに種類があるんですね。
実験が楽しみです~
あんまりはっきりしない結果になりました。
劇的にきれいになる…なんてことは、
期待してませんでしたが、もうちょっと…。
まあ古いものはしかたありませんね。
いただきものとか、安売りの目玉商品とかで、
けっこういろんな洗剤使いますが、
最近は、重曹やセスキなども、使うようにしています。
知らないと、損することもありますしねぇ。
よくみると、いろいろありますよー。
だいたあの説明書きって、ほんとに字が小さくて
読む気になれませんよね。
一度ルーペで読んでみてください。