ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

帯、洗っちゃいましたー

2008-09-24 15:51:25 | 着物・古布
なんたって色落ちが…「鳥さん」のほう、指先染まっちゃいましたー。

まずは裏に使われていたほうの「紫色の帯」から。
だいたい黒・紫は赤黒い色がだーっと出ることが多いのですが、
水につけてみたらそんなでもなかったんです。
ほんのわずかだけ洗剤を落としてしゃわしゃわと振り洗いしてましたら、
さすがに少し薄黒くなりましたが、染料というより「汚れ」って感じ…。
さっぱりしました。今までは「日陰の身?」だったものが、
ちゃんと表を向けて干したら「あら、なかなかいいじゃない?」
これはこれで十分帯としていけますねぇ。
ちょっと褪せがあったりのキズ持ちですから、半幅とかその程度かもですが。

これで気をよくして、じゃあ今度は「鳥さん側」…、
と思ったらこれがすごかったんです。水をためたところに入れたとたんに、
ドーッと緑の濃い~汁が出まして、ありゃこりゃいかん、
ほかの糸が染まっちまうがなー、と大急ぎでホコリだけ流した程度で、
ザッと絞って広げる! 時間勝負です。ほかに色が移らないうちに、
ビニールの風呂敷の上に柄のあるところが重ならないように広げて置いて、
とにかくできるだけササッと張り木にはさんでビニールごと抱えて外に走る…。
なんとか色移りはさけられたかなと思いながら広げました。
一度ザッと水を通っただけでも、さっぱりしたかな…そういうことにしとこっ!?
(かっ乾いたら、元の色に戻るよねっねっ!)


  
 

それにしても、長く伸ばしてみると、益々へんな柄付けです。
広げている間に、どうやってカットしたら鳥柄を全部うまく使って
お太鼓の作り帯にできるかと考えましたが、
妙なところであちこち「継ぐ」ことになりそうです。
まぁ外から見えなきゃいいわけですからね。乾いたら寸法をきちんと測ります。

さて、ハナシは少し戻りまして、先日この帯を解いたわけですが、
芯のところに真綿が敷いてありましたので、お天気のいい日に
いっきに全面分解?しようと思い、途中でストップしておきました。
今日その続きをやったわけですが、薄く真綿がずっと入っていました。
まずはこんな感じで…見えますかねぇ、真ん中のもやもやがそうです。
実際にはもう少し黄色っぽいです。


   


少しずつ、はがしながら丸めながら… 


       


最終的には、これだけありました。

     
       

真綿については過去記事、こちらです。
真綿ってほんとに不思議ですね。芯は少しネルっぽい木綿でしたから、
もし木綿わたなら、もうケバケバとくっつきあって取れないと思います。
真綿はつーっとひっぱると、きれいにはがれるんですよね。
私たちの年代だと半天でも布団でも「木綿わた」、あのほこりっぽくて、
もしゃもしゃと布に付くと取るのがたいへんな綿…なんて記憶がありますが、
今の人は逆に、さらっとした「化繊綿」でしょうか。
真綿は両方のいいところを持っていますね。しかも化繊のように、
ヘタって元に戻らない、がありません。
元々真綿は正方形に広げたものを何枚も重ねたものです。
長い繊維を絡ませたものですから、綿ぼこりが出ないんですね。
はがすときも長ーくはがれます。
繊維がスルンとしてますから引っかかってて絡むということがありません。

以前書きましたが白無垢のときの「綿帽子」というのは、
元々は「ホコリよけのスカーフ」のようなもので、未婚既婚関係なく、
外出する女性はホコリよけに前髪の辺りにかぶりました。
その最初のものは、文字通り「綿帽子」で、真綿をひろげたものです。
昔は髪はやたらと洗わず、結いなおすときにはびんつけ油を付け直しますから、
髪はロック・ミュージシャンのリーゼントも負かす「油ベットリ」ヘア。
舗装もなく海風の吹く江戸の町では、ホコリよけは大事だったんですね。
真綿は、そのべったり油の髪にひろげて乗せても、
あとで綿ぼこリが、髪にもしゃもしゃと付くことがなかったわけです。
やがて、真綿から布に取って代わられましたが、
この真綿を広げた状態で何枚も重ねたものというのは、
冬場の袷の着物の間に挟んで「綿入れ」にしたり、また近代に入っても、
私の祖父などは、セーターと半天の間に広げて入れていたそうです。
「真綿しょってるからあったかい」…という具合ですね。

さて、とりあえず、芯だけはもう色変わりも激しく穴などもあるので
これだけは処分ですねぇ。真綿は、糸くずなどとってきれいにして、
何か詰め物にでも使いましょう。
あとは帯…なんとかなりますよーにっ!



追記・・・おかげさまでコケたキズは治りつつあります。
     ほかにダメージはアザ以外ありませんでした。
     ご心配いいただきまして、ありがとうございました。








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7 コメント

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おつかれさまでした (えみこ)
2008-09-24 15:55:43
怪我もかるかったみたいで
よかったですね。
素敵に生まれ変われること、祈っています。
返信する
Unknown (陽花)
2008-09-24 19:19:05
まぁ、スゴイ!帯まで洗い張りですか。
この帯は裏も表も柄がありますから、
無地か全く違う裏地をつければ2本帯が
出来ますね。
帯芯に真綿が入れてあるなんて初めて
見ました。
返信する
すごい!! (てまりばな)
2008-09-24 19:19:46
洗っちゃったんですか!!
すごい~~~!!!

鳥の柄、大胆でとってもステキですね。
生まれ変わるのが楽しみです!
真綿まで再生・・・
さすがですっ!!!

お怪我、大事になさってくださいね。
返信する
Unknown (ゆん)
2008-09-24 22:54:10
こんばんは~

 お怪我、軽くすんで善かったです。

 裏も素敵ですね。このまま使えたらよかったのに~。残念です。

 不思議な鳥さん、どんな風に生まれ変わるのか、楽しみにしています
返信する
良い色 (りら)
2008-09-25 04:04:18
表の鳥さん、アジサイでしょうか?
花の色も鳥の色もスッキリ鮮やかになったように見えますねぇ。
それにしても、裏の紫、良い色ですね~。
紫は画像で出すのが難しい色だと思いますが、こっくりとして落ち着いた紫。
こういう色も今物にはなかなか無い色だと思います。
柄も芭蕉(?)の入り方がとても面白く見えます。
是非なんとか巧く帯に蘇らせてくださ~い。
返信する
思い出しました。 (akkomam)
2008-09-25 10:56:18
 いつも読ませていただいて、知識のない
私は驚きをもって学んでいます。
でも、男の人の羽織の紐のときには、鮮やかな父の手さばきを、真綿の話では、学生時代の夏休みはいつも冬布団の作りかえには真綿を引っ張らされたことを思いだしました。それと、結婚のとき、黒の帯地に
油絵でバラの花を描いていただいたのを
持たせてくれましたが、サインはあっても
誰か読めずにそのままですが、バラは見事に咲いています。つくづく勿体無いなあと
思います。 でも、とんぼさんにはいろいろ気づかされていただいて感謝です。
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-09-25 16:55:26
えみこ様
おかげさまで、ただの擦り傷ですみました。
悩ましい帯ですが、楽しみでもあります。
いつになるか…ですが。


陽花様
これは縮まないので、あとは色落ち…
それだけが心配だったんです。
鳥さんのほうは、ちょっと色変わりました。
真綿を入れるのは、弾力を出す感じでしょうか
厚みがあってもやわらかさがあって…ですね。


てまりばな様
およそ和服で洗うときの注意は、
「縮み」ち「色落ち」です。
これは塩瀬でしたから、大きく縮むことは
ないと思いましたが、まさかあんなに
緑色が落ちるとは…手まで染まりました。



ゆん様
おかげさまでかすり傷ってヤツですが、
膝下なので座るとイタイ…。
帯の再生は、パズルみたいですよー。


りら様
この紫は、少し赤みもある感じ。
芭蕉と桔梗ってフシギな取り合わせですけど、
これだけ取ってみると、なかなかの帯ですね。


akkomam様
誰かが着物を着る風景や、和服に関する
何かのシゴトの風景は、私の記憶の中にも
たくさん残っています。懐かしいです。
黒のたぶん繻子帯でしょう、それにバラの絵、
それはペンテックス」と
呼ばれるものだと思います。
今でもオークションでたまに出ます。
柄と絵の具の状態のいいものは、
なかなかありません。
どうか大切になさってくださいね。
返信する

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