ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

「新内流し」でも通りそうな・・

2006-07-22 14:54:03 | 着物・古布

これも「羽裏」、「通り」を描いたもの、ただそれだけなんですが粋ですね。
上の写真はちょっと見づらいので、部分アップで・・。





暖簾のさがった町の通り柄に千社札風のものが飛んでいます。
「魚河岸」の文字や粋な一節を書いたものなど。
こちらはさかさまなのでひっくり返して写しました。





こちらの札は「役者」関係、菊五郎格子に奴衣装のデザイン、
それに「辻占」の文字。
この羽織は紋付ではなく変わり織の黒羽織、
ヒゲ紬かなんかの着流しに献上なんぞ締めて、この羽織を引っ掛けての悪所通い?
それにしても、人は描かれていないというのに、
なにやら三味線の音やら、きれいどころのおしゃべりなど聞こえてきそうです。
深夜まで灯りをともす町筋なのでしょうね。

元々家康が「江戸」を政の拠点、と考えたときは、江戸はただの低湿地帯、
草ぼうぼうのイナカだったわけです。そこに城を築き町を作ったのですが、
今のような重機や材料があるわけじゃなし、まず建てた城も、
今より規模は小さく、本当に少しずつ少しずつ作っていったんですね。
それにしても、ただ盛り土して家を建てる・・というわけではなく、
放水路や掘割などを作って川筋もかえ、よい水に恵まれなかったため、
「上水」を作り、町筋を整えました。1603年に江戸幕府が開かれてから、
3代将軍家光までかかって、徐々に作られた町でしたが、
まず「桶町の火事」で大半が焼失、このとき大名火消しの制度を作りましたが、
4代家綱の治世に「明暦の大火」があり、これは一度の火事で、
実は3回、出火しています。この火事で江戸城本丸も焼け落ちました。
幕府はこのとき、「消火・防災」の見直しをし「都市計画」を立て直し、
町全体を大きく作り変えました。当時の「消火」は、水で消す消火ではなく、
燃えている隣の家を壊して延焼を防ぐ「破壊消防」でしたから、
火を食い止め、遠くまで伝わらないように広い道路や火除け地の空き地を設け
延焼防止の「堤」をあちこちに作りました。
「広小路」「堤」などは今も地名に名残をとどめています。

さて、消防や町並みについては、以前にも書いておりますので、
今日は千社札にあった「辻占」について・・・。

古来日本には「言霊」という信仰がありました。
言葉にはチカラ(魂)があり、よいことを言うとよいことがおこり、
悪しきことを言うと悪しきことが起こる・・。
結婚式での「きる」とか「わかれる」、葬式での「かさねる」などの忌み言葉も
言霊の思想に基づくものです。元々、ただ言ったことがそうなる、というよりも、
心のありようを問うもので、身に添うたことを言えば現実となり、
欲や悪意を持っての言葉はわが身に帰る・・と言うことでもあります。
「辻占」と言うのは、もともと「辻」というものは、「交差するところ」
という意味において、さまざまなものが行きかうところ、
人も人でないものも・・という意味で、異世界への通じ口もある・・とも
言われていました。そういう辻に立って「通るモノ」が交わす言葉を聞き取り、
そこから吉兆を汲み取る、或いは指針となる言葉を拾い上げるのが辻占。
この辻占は、元々は「人」が行い、それを「人」に言葉で伝える形でしたが、
やがて、それを字に表したものを相手に渡す、になり、
これが更に書かれたものを人が選ぶ、という形になっていったのが「おみくじ」。
つまり「私ゃそんな声聞こえないから、あんた勝手に選びなさい」と、
それを引くところから相手に託してしまい「それが運」ということになったわけ。

江戸時代の町では、易者などによる本格的な辻占とは別に、
子供が辻に立っておみくじを売る・・という商売がありました。
特に花街の辻占では、買うほうも本気で人生を占うというようなことではなく、
これからキレイどころに会って楽しいひとときをすごすんだから、
今日のおいらの運勢どーよ・・という遊び心のいわばおまじない。
ですから売り声も「♪淡路島~通う千鳥の恋のつじうらぁ~」です。
内容も花街を往来する人々が喜びそうなことが書いてありました。
その後、この辻占は「お菓子」に姿を変えまして、
おみくじを巻いたせんべいとか、せんべいを割ると中におみくじが入っているとか
そういうものが作られ、おいらんの部屋にはそういうものが
お茶菓子として置かれていたりしたそうです。
昔、お蕎麦屋さんで爪楊枝の袋とか割り箸とかに
ついていたような気がするのですが・・。
あの白い小さな紙で、上のほうが一部分赤く塗ってある・・・。

ところで、皆さんは神社でおみくじを引いたとき、どうしてますか?
どこかに結び付けてくる?あれは、悪い「卦」が出たときのみ結ぶもの、
「この悪い運命を置いてゆきます、どうか私をお守りください」ですね。
そしていい卦が出たときは、それを肌身離さず持ち歩くか、
家の神棚に上げて「本当のことになりますように」と願う・・が正解だそうです。
とんぼは占いはいいことのみ、信じることにしています。





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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こーいう羽裏、いいですね♪ (ぶり)
2006-07-22 21:43:57
おみくじ、一番最初に引いたのは、

中華料理の最後に出てくる

フォーチュン・クッキーでした♪
返信する
粋人 (かんな)
2006-07-22 22:13:46
>この羽織を引っ掛けての悪所通い?



いやぁ、こんな羽裏つけてたら、さぞかしもてるでしょうなー



やっぱりもてる為には手間と頭とお金をかけなくちゃね

返信する
Unknown (蜆子)
2006-07-22 22:49:43


おみくじ、基本的にいいところだけ信ずることにはしてますが、若いとき、鎌倉の鶴が岡八幡宮で、ひいたのが大凶、ぎょっと驚いて、気持ちを落着けてもう一回、なんとさらに大凶、

いまでも大凶ってはいっているのでしょうか?

大凶の大凶、むりやり大吉以上♪と思うことにしました。

あれいらい大凶ひいたことがない、ひいて見たいような気もします。



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Unknown (陽花)
2006-07-22 22:54:45
おみくじって大吉引いて喜んで

中の内容読んでみるとそんなに

いいことは書いてないんですよね。

なんか有頂天にならないようにか

解らないですけど、逆に小吉や

中吉のほうがいいことが書いて

あったりしましたね。
返信する
辻占 (雪花)
2006-07-22 23:08:56
かわたれ時に橋のたもとの十字路に立つと、ふと車の往来が途絶えたりして、妙な気がするときがあります。

昼なのに晴れ晴れした明るさのない神社の境内や、奉納された小さな赤い鳥居が幾重にも続くお稲荷さんなど、いずれも異界への入り口がそこにあるような気がして…。

「帝都物語」だの「陰陽師」だのが好きな私としては、自分で辻占が分かっちゃったら怖いかも。

童謡の籠目(女)もコワイ。こういうじっとりした感覚って日本独特でいいですよね。



海外でも中華料理屋でフォーチュンクッキーが出ます。サモサ状の瓦せんべいの中におみくじが入っています。欧米人はドライなんで、もっぱらゲーム感覚で楽しんでますが。
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Unknown (とんぼ)
2006-07-22 23:41:47
ぶりねぇ様

フォーチュンクッキーも、元は「御籤せんべい」だそーです。あけるときはワクワクするんですよね。んでもって「ウセモノ出ず・・」なんて・・。



かんな様

そーそ、顔がいいだけのイケメンなんて、モテないのですー。カモにゃなるかも?



蜆子様

コピペしてみたらできたので、貼りなおしました。ご安心を。大凶は大吉に通ず・・と申します。2回引いたら相殺ってことで!



陽花様

そういわれればそうですよね。中吉なんかで、ひとつだけとてもいいことが書いてあったりするとうれしいもんですよね。うまく書いてあるものです。



雪花様

夜の闇の通りも怖いけど、昼間のダレもいない辻というのも、妙な怖さがありますね。今、そのものずばり「辻占売」というオカルトマンガ読んでます。その中に出てくる「ざわざわとした雑踏の絵」、ごく普通の人間の間に「この世の人でない人」が当たり前のようにまぎれているんです。駅前の交差点なんかで信号待ちしていて、ふと、今もこの中に・・なんて思ったりしてます。
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フォーチュン・クッキー (ぶり)
2006-07-23 09:07:31
サンフランシスコの中華料理店で、

出てきたのです。

この地のものがオリジナルで、

欧州や香港、マカオに伝わりました。

日本でも、最近、見かけますね♪
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Unknown (とんぼ)
2006-07-23 11:00:50
ぶりねぇ様

私の言い方がたりませんでしたね、すみません。おみくじせんべいが、クッキーになったということではなく「食べ物とクジ」というものを一緒にした考え方といいますか、そういう意味で・・ということです。長い記述がありましたので、カンタンに言ってしまいました。
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あっ、いえいえ、 (ぶり)
2006-07-23 19:47:13
とんぼ様の記述「おみくじ煎餅」で、

さすが、よくご存知ぇ!と思ったのです♪

フォーチュン・クッキーを発明した人、明治に

渡米した日本人、それが、あっという間に、

サンフランシスコのチャイナタウンに広まり、

今じゃ、世界中の中華料理店で。(^^)
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お詫び (ぶり)
2006-07-23 19:55:48
本文から、随分とかけ離れてしまいまして、

失礼しました。
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