ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

雨の中届いたはぎれです

2007-09-06 15:26:45 | 着物・古布
朝から時折ダーッと降っとります。
その雨の中ついたお荷物、「はぎれ」たーくさんです。
写真は私も近年名前を知った「きんち」と呼ばれる絹です。
もともと「絹地」の意味らしいのですが、なまって「きんち」となったとか。
特徴ははっきりした縦シボです。とてもやわらかくて手触りいいです。
柄は切れ取り風に飛ばした部分に、枝垂桜や小菊、蔦、薄など、
やさしい色と筆致で描かれています。切り取りが角ばっているのを、
色柄のやさしさで消している…ってところでしょうか。
この「きんち」の特徴は、よく伸びること。
こんな風に…。


     


「きんち」は襦袢などに使われます。縦シボがあるせいで、
体にべたつかず、さらっとして気持ちいいんですね。いまはあまりありませんが。
また腰紐にもこれはとてもよくしまり、また必要なところで広げられるので、
こんな使い方もできます。
これは長さと縫い方から単襦袢の袖ではないかと思いますが、
洗ってさっぱりさせてみましょう。

お次は錦紗です。するすると気持ちいいです。
控えめな鳥柄、シルエットで描かれている木は「梅」のようですから、
これは「うぐいす」らしいです。絞ったように見せて染められている
雲取り部分は字がありますが、例によって「読めまへーん」、すみません。
下の写真は、こういう柄には珍しい前側からの鳥さん。


   
                 


それほど写実的というわけではないのですが、
こういう描き方はとても自然に見えますね。
これも片袖分、というところですので、いいとこ取りではめ込みで使いますか。
「鳥さん好き」の方のお眼に留まるようなものができるといいですねぇ。

もう一枚、これはちょっと切りたくないはぎれです。
贅沢なちりめんの一枚、シボはちょっとへたってますがいい柄です。
これで反幅、大きい柄です。


   


二羽の鶴が境界になって片方は「翁、媼」二人のこれは高砂、
間を埋めるのは松や竹、もう片方の柄は、一人だけ。
この一人のほう、最初衣装が紫でしたのでわからなかったのですが、
よく見ると、この「人の絵」部分が実は大きな「盃」に描かれているんですね。
そして両方の人物のバックは「海」、
ということは、衣装は紫ですがこれは「猩々」ではないかと思います。
猩々は「猩々緋」という色があるくらいで、本来足袋以外は「赤」なのですが、
これは柄として、全体の調和から赤にしなかったのだと思います。
猩々は伝説上の生き物、海に住み酒を好むと言われています。
話は、要するにある青年の孝行をたたえて猩々が酒を飲み舞い踊り、
「酒の尽きない壷」を与える…といったお話。
つまりこの柄は「長寿」とか「夫婦円満」とか「孝行」などを盛り込んだ、
おめでたいお祝いの柄、ということですね。
男の子の「のしめ」だったのか、着物だったのか…。
今となってはわかりませんが、最近のただにぎやかしい花柄とか、
とりあえず勇壮な竜や鷹などの、ありふれた柄ばかり見ていると、
こういう柄に「思いをこめる」ということや、それを選ぶ親心、とか、
そういうものを感じます。

さて、ただいまの時間台風は八丈島だそーで。
まだこちらは少し風があり雨脚も普通、という程度ですが、これからでしょう。
気合入れて…もしょうがないんですが、とりあえずPCは切って、
お出迎えいたしましょう!
これ以後のコメントのお返事遅れると思いますがお許しを。

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5 コメント

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Unknown (陽花)
2007-09-06 21:20:37
先ほど神奈川県が暴風雨域に入ったと
速報が流れました。
ほんとにひどくないといいのですが・・・

私も最近「きんち」という言葉を知ったのですが、
きんちって本当によく伸びるんですね。
返信する
Unknown (みとん)
2007-09-07 11:37:02
先日、きんちの腰紐を数本買いました。
とっても使い心地がいいです。
浴衣にきんちの腰紐を使ったら、
裾に子供(16kg)がぶら下がってもずり落ちてきませんでしたよ!
びっくりしました。

私は、夏用のメッシュ帯板をカットして、
きんちの紐で包んで夏用の伊達締めにしましたが…。
「そうか、帯枕にも使えるんだ」と目から鱗です。
普段、帯枕を使わないんもので……。
返信する
Unknown (Tatehiko)
2007-09-07 16:07:44
台風は関東地方から日本列島を縦断ですね。
何も被害はありませんでしたか?
京都は昨日まで風があって雲があって過ごしやすかったのですが・・・台風が上陸してから蒸し暑さがぶり返しています。
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台風お見舞 (蝸牛)
2007-09-07 18:53:43
関東は大荒れだったようですね、ご無事でしたか?

岐阜は、猛烈な湿気と暑さで、蒸し風呂のようでした。
もう明日は「白露」だというのに・・・

相生の鶴・・このまま、タペストリーにでもしたい柄ですね!
返信する
Unknown (とんぼ)
2007-09-07 23:48:07
陽花様
ほんとに長い時間でした。
風の音も途中でビユービユーからゴォーにかわり、
どうなることかと思っていましたが、
幸い直撃の割には…でした。
ご心配、ありがとうございました。

きんちは今じゅばんもなかなかありません。
よく伸びますよね、ほんとに。


みとん様
紐はまだ手に入りますね。しまり具合がなかなかで、
広げられるというのがミソ、伊達締めってのも
なかなかの工夫ですね。なるほど!


Tatehiko様
こちらもやっと通り過ぎたら蒸し暑くなりました。
明日も30度を越えるようです。
朝夕はさすがに涼しさを感じますが、
台風があきをつれてきた…なんてことには
ならなかったようです。


蝸牛様
今年の岐阜は大変な夏でしたね。
こちらもまだ蒸し暑いです。
単どころか浴衣のすそはしょるようです。

鶴はこのまま保存して、切らずに使うことを
考えてみようと思います。
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