ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

作り帯のお話し

2012-09-18 23:20:42 | とんぼ手帖

 

はなっからお詫びですみません。

ちと時間がたりなくなりまして、今日は「前菜」程度のお話です。

 

まず、作り帯の作り方の前に…

作り帯は、あとで元に戻せる「切らない」タイプと、切ってしまうので戻せないタイプがあります。

何もダメージのない帯の場合、切りたくないけど、ちょっと面倒だし…のときは

「折りたたんで必要なところだけ糸で留める」だし、

元に戻らなくてもいい場合は「切り分けてつなぐ」…です。今日は「切る」方のお話しです。

 

いつも「実際に作業に入る前に」…というお話しが長いのが「ワタシの悪いクセ(杉下右京風に)」。

昨日も書きましたが、作り帯は「締めたらカタチになれば」いいのです。

作り方はいろいろありますが、どれがいいとかお勧めとかはありません。個人の好みです。

ポイントになることを書いてみますね。

 

まず、作り帯で必要なのは「胴に巻く分」「お太鼓分」「手の分」の三つのパーツです。

一番いいのは「おたいこ」と「胴巻き分とて」の2パーツで作る方法。

通常の長さの帯で作るときはモンダイほとんどありませんが、たれ先にシミがあってカットしたい…とか、

(私のように)あまりにもサイズが違って、前に柄がこない…とか。

もしくは帯地でないもので作りたいけど、生地が足りないとか…。

それをカバーするためにどうするか…ということになります。

 

帯は、締めたとき外からは見えないところ、目立たないところがけっこうあります。

こちらの写真は、じゅばんからのリメイクで帯にしたもの。帯についてはこちら。シミだらけも写っています。

これは作り帯ではありませんが、見えないところはこんなについであります。

 

       

 

生地によってはゴロゴロしますから、難しい場合もありますが、胴の中側に入るところ、

締めるとおたいこの下に入るところ、最終的には「脇」、こういうところを利用して、

元の帯を裁断してつなぎ合わせるとか、別布を足して帯の必要尺を出せばゆとりを持って作れます。

究極2本の帯で1本というのもできるわけですね。

「おたいこ」「胴」「て」の3つに分けるときは、どこに何をどうつけるか…です。

 

昨日の帯の写真です。全部ひとつにくっついてます。上がおたいこ、真ん中が胴、右下が「て」。

「て」の位置がどうにも微妙で、これで締められるのだろうかとクビを傾げました。

どうやら寸法がぎりぎりで、こういう作り方をしたようです。

 

       

 

とりあえず締めてみました。

くっついていると気をつけなければいけないのは、微妙な調整ができないということです。

この帯の場合、締めるときは、まずおたいこを先にしょわなければなりません。

胴に巻くことを先にすると、いい具合に締まったと思ったらおたいこが真後ろにこない…なんてことになります。 

まずしょいました。みやすいように帯揚げかけてません。帯枕は未使用の若向きの少し厚みのあるものです。 

  

                 

 

前帯は、両脇から前に回すようにして巻きます。この帯は右から左へ…が先です。

左側の脇辺りまで着ました。ひもの付け位置ですが、帯の幅の真ん中についてます。これがまず使いにくい…。

   

 

とりあえず左から右へのほうを巻きます。これでぎりぎりです。

こちらのひもは、帯の一番下についています。

   

 

後ろでひもを結びました。

   

 

すると、片方のひもつけ位置が帯の真ん中、片方が帯の下なので、

ひもをぎゅっと締めると、こんなふうに下の帯がはみ出します。これは折って中に隠します。

   

 

おたいこの形を決めて洗濯ばさみで止めておきます。ここまではなんとか…。

   

 

右側にさがっている「て」を広げ、「て」として帯の中を通し、帯締めを締めました。

左側はなんとか…。

   

 

でも右側が、あまりに「て」が短いので、下から上げきれず、ズリ落ちたような感じ。

   

 

カタチにはなりましたが、「て」がどうしても短くて無理やり上に上げていますから、

これだと時間がたつと、下に下がると思います。そうなるとおたいこがゆがみますね。

   

 

お福ちゃんはヤセめなのでぎゅーっと引っ張って、なんとかなりましたが、

これ、私だと太いですからたぶん「て」がお尻の真ん中に垂れ下がると思いますし、

無理やり締めてもツレるとおもいます。

つまり、どこかムリをするような締め方にならないように、どこかで継いで、余裕を持たせたほうがいいわけです。

 

もうひとつ、これはいただきもので、その人は作ったけれど一度もしめていない…とおっしゃってました。

これは羽織の残り布で作ったので、これまた寸法が…です。

胴に巻くパーツと、おたいこには「て」が縫いつけてあります。

   

 

こんな感じで、おたいこの形も、「て」も、すべて縫いとめてあります。

黄色い線が、とめてあるところ。帯山にタックをとってあるのは、平らより背中になじみます。

   

   

 

まず胴に巻く…。これは両方とも紐が下なのですんなり巻いて結べました。

寸法は、くださった方に比べて私のほうが太いのでギリギリです。

下になるほうは、脇ギリギリ。

   

 

上になるほうは、なんとかおたいこで隠れる位置まで。

   

 

で、お太鼓を背負い、「て」を通すと、スンナリきれいに…。

   

 

のはずが大問題発生です。横から見ると…あらら下にずり落ちてる…。

   

 

ならばおたいこを上に上げて…と思っても、お太鼓そのものが縫いとめてカタチになっているので、

「て」を帯に合わせると…大きなトンネルが…もう少し厚みのある帯枕を使ってもだめでした。

   

 

実はいただいたときに「テキトーにとめちゃったの。だから自分の体に合わせてやり直してね」といわれました。

ご自分も締めてないので、寸法合わないと思う…と。確かに…。

 

この作り方は、締めたときにきれいにカタチになるところをちゃんと決めて、

そこを縫いとめれば、実に簡単便利です。そのたびにおたいこ作らなくても決まりますから。

 

こんなふうに「作り帯」というのは、実は自分の体に合わせて、ジャストサイズで細かく作るか、

いっそシンプルに、おたいこと胴巻きにするか、そこから決めるわけなんです。

そしていつの場合も、締めたら「この帯はつながっていないのだ」ということを注意することです。

次回も、また「前フリ」だけで終わるかも…ですが、おつきあいください。 


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2 コメント

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Unknown ()
2012-09-19 00:58:06
昨日の作り帯を見て なんで真ん中に紐がついているのだろう 
なんで「て」があんな所についているのだろう
と疑問に思ったのですが・・・
そして「て」を左右綺麗に出したい私は
「垂れ」に「て」をつければ 問題解決か と安直に思っていたのですが
どうも そういう訳でも無いようですね

次回を楽しみにしています。
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Unknown (とんぼ)
2012-09-19 21:55:45
惠様

サイズは大事ですねぇ。
自分の体にあうように作らないと、結局使いづらくなりますから。

惠様の場合は「切らずに」のほうがいいでしょう。
切らずにたたんでとめて(できるだけ縫わないで)の締め方を、
最後にやってみますので。

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