
先日「ライオン」の羽裏をご紹介しました。
今日はなんと「たぬき」です。たぬきの柄の場合あの信楽焼で有名なスタイル、
あれは見かけるのですが、こんな図柄はあまりありません。
この柄、たぬきさんの衣装は「和尚さん」、茶釜があってその下に
「茂林寺」とあれば、これは当然「分福茶釜」・・ですね。
でも、ちょっと・・・なんでたぬきさんが「和尚さん」の衣装なんでしょう。
まぁ、そのまんまたぬきの茶釜を描くより、こうして描いたほうが、
イメージが強く前に出る・・とかそういうことでしょうかね。
このたぬきさんはちょっと「ほそおもて?」のような・・・。
野原の真ん中、静かな夜のようです。
灯明が一台、周りは秋草が茂っています。秋だと思うのは
「経机」の上の柄が「紅葉」だから・・。
もしかすると、かつて「和尚さん」のところで「茶釜」に化けたたぬきさんが
後年、住み慣れた野原の一角で秋の夜長、あれこれあった楽しい昔を、
懐かしく思い出しているところ・・なのかもしれません。
そう思ってよく見ると、このたぬきさん、ちょっと白髪がチラホラと・・。
毎度同じコメントですが、昔の羽裏はおもしろいです。
これは「羽二重」という薄い絹ですが、一時期「緞子(どんす)」という
厚地の織物の羽裏が流行したことがありました。地厚なので暖かいし、
染め柄よりも、重厚さがあります。織りですから帯のような感じです。
緞子の羽裏の場合は、益々「絵」の感覚で、とても凝ったものが作られました。
「額絵」とも呼ばれます。確かに、切り取ってそのまま額にいれても
そのまま飾れそうなものが多いです。次にアップする羽裏は
「緞子」のものの中から選んでみましょう。お楽しみに。
今夜は寝る前に「おときばなし」の絵本でも見ようかな?
そういえば私、小さい頃「分福茶釜」がちゃんと言えなくて
「ぶんくーちゃ・ま・が」と言ってました。ちゃがまっていいにくいですよね。
ウィキペディアの分福茶釜ページに
月岡芳年画『新形三十六怪撰』より「茂林寺の文福茶釜」。タヌキが僧に化けたという説に基いて描かれたもの。
とありました。
あらためてお話しのあらすじを読むと、
タヌキちゃん、いじらしい;;
あらまぁ!ほんとにこれですね。
ありがとうございます。ひとつまた新しいことを
知ることができました。
こんな古い記事なのに、読んでいただいて嬉しいです。
日本の昔話しには、いろんな動物が出てきますが、
それだけ今よりずっと自然が近かったんですよね。
いまやいのししも狸も猿も「害獣」などといわれる時代。
ちょっと寂しいですね。