ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

先人の知恵・・

2006-03-26 16:57:54 | 着物・古布

錦紗の襦袢だったもの、ハデですねぇ。
もうだいぶ前に手に入れたのですが、そのときは友人に頼んで解いてもらい、
水洗いしてアイロンかけまでしてもらったのです。
しまいっぱなしで、今日出してきたのですが、いかんせん「幅が狭い」、
つまり幅だしをしながらアイロンかけをしたわけではないので、
縮んだまんまなわけです。伸びてない分色が濃く、きれいには見えますが
手に取ると、必要以上に横に伸びます。
使いづらいので、改めて水に通し「伸子張り」しました。
その結果が、下の写真です。
同じものの「大小」のように見えますが、まだ伸子張りしていないものを
重ねてみたところです。ちょうど「紫」のところが重なって見づらいので
わざと、裏返した布を挟み込みました。かなり縮んでいるのが
お分かりいただけると思います。



私は加工するための伸子張りなので「糊づけ」はしませんが、
これで糊をつけたらほんとにピンと張って新品になると思います。
糊をつけなくても伸子張りをしたものは、アイロンをかけたのとは
違う「張り」が保たれます。

伸子張りという道具は、戦国時代にはすでにあったらしいのですが、
たぶん、形は少し違うと思います。竹ひごの先に小さな針を埋め込むのも
たいへんですし、実際「伸子」には針ではなく竹そのものを
鋭く尖らせたといいますか、うまく布はしに引っ掛けられるように
削った形のものがあります。写真でしかみたことがないのですが・・・。

いずれにしても、布を乾かしてまっすぐにするための道具としては、
実によくできた道具だと思います。
昔の洗濯というのは、洗剤として灰汁、米のとぎ汁などを使い
たたき洗いやもみ洗い、以前「砧」のお話しをしましたが、
洗濯にもこの砧は使われていたようです。つまりたたき洗いをすると同時に
布をしなやかに平らにしたんですね。
あとは「火のし」を使って平らにのばすこともしていました。
インドでしたか、洗濯を商売とする人々が、川の中で大きな石に
洗濯物をたたきつけて洗っていたり、棒でたたき洗いしていたり・・。
たたきつけたりは木綿などでないと、絹物なんていたむでしょうねぇ。

日本での「洗濯や」、つまり「クリーニング業」は、
染屋の副業として室町の頃からあったといいます。
つまり、京都の公家や、身分の高い武家などを顧客に持つ染屋(紺屋)が、
着物をあつらえていただくサービスに、お洗濯いたしますよ、と言うわけです。
これが「本業」になったのは元禄の頃、江戸ではいわゆる「洗濯専門店」、
京都では、今も続く「悉皆屋(しっかいや)」という、染めと洗い、しみ抜きなど
洗うだけではなく、着物の手入れ全般を行う商売として確立しました。
当時、江戸で身分の高い人やお金持ちは、普段着は「洗濯や」、
上等のものは「京」へ送って洗ってもらう・・ということがステイタス!でした。

私の伸子張りは、実は私に都合よくやっている「勝手流」、
本当は伸子は布の下側からさしていくのですが、私は上から・・。
ウチのは全部材料用ですから、端が切れているところは、もうよけておくだけ、
穴も「ここ」と糸印などつけておくし、糊もつけませんから気楽にポンポンと・・
プロに見られたら「何してんねん」といわれそうですが、
やりやすいよーにやらせてもらってます。
「春に三日の晴れなし」で、また下り坂・・。
伸子は布に直射日光が当たらないように、専門店は当然一反分の長さ干せる場所を
建物として作りますが、我が家は狭い玄関先、ははは、晴れてもやってます。
あんまりカンカン照りは困るのですが、いまどきの曇りは降りそうで・・。
明日はちょっとお休みして、ハギレの整理をしないと・・・
座るところもなくなる・・・。

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9 コメント

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私も (てっちゃん)
2006-03-26 23:39:23
24日の(竹の包み)私がよく行くスーパーのお肉やさんもそれなんです、今日も包んで貰いました、そして残して置いてます

先日のはぎれでトンボさんのお気に入りの張り子の犬、頭に竹籠かぶっているでしょう

あれ、どういう意味か解かりましたか?

犬の上に竹と書いて・・・笑・・微笑んで下さいというメッセ―ジです。

それに、昨日の貴方のメッセージ、私の想いも同じです、この頃の私のブログもなんかお説教じみてきましたが。
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伸子針 (うまこ)
2006-03-27 10:36:04
そろそろ柳の枝+画鋲の代用伸子針でなくて

本物が欲しくなってきましたが・・・

今の説明でそうか、竹を削るか・・・

な~んて考えている自分が・・・

桜染めの画像でおわかりでしょうが、

柳の枝のしなやかさが失われたので

対角線上に枝伸子を張って乾かした結果

どことなくゆがんだ布です。

お○ゃれ工房の池田重子さんを見たので、

例の桜染めグレーに

絵の具か刺繍で桜の花びらをとばそうかと思い始めました。
返信する
追伸 (うまこ)
2006-03-27 10:50:44
とてもありがたい記事だったので

TBさせて頂きました。

実際の代用伸子の話は、こちらです。

http://umacco3.exblog.jp/2957372/
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Unknown (とんぼ)
2006-03-27 12:22:29
てっちゃん様

はーい、知ってましたー。

それというのも息子が生まれたとき、

ジサマが「いせ辰」で「張子の犬」の飾りを

買ってくれたんですが、しょっていたのは

「でんでん太鼓」、これってポピュラーなんですが、

バサマがそのとき教えてくれました。

「竹かごかぶせてるのがあってなぁ」・・って。

シャレてますよね。



うまこ様

身の回りにあるもので工夫するってすごく楽しいし、

ステキなことだと思います。

何でも売ってる時代だけど、あるものを使うって

それに気がついてうまくいったときなんか、

うれしくなりますね。

私は毎年ざっかざっか切ってる「南天」の枝、

あれこれ工夫して使ってます。

それにしても「柳の枝に画鋲」・・脱帽です。

それと「桜のはなびら」ぜひ!とばしてください!

TBも、ありがとうございました。

いやぁ、あれだけ伸ばして干せる場所、

うらやましい~~~!!
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工夫 (蜆子)
2006-03-27 22:05:05
伸子を使って自分で洗濯から仕上げまで~、しかも代用の伸子までお作りになるかたも、ただただ感心しております。

私は仕事がら、きちんとしたプロの仕事を提供するのが一番のサービスと思ってきましたので、なんでも一番の仕事をして下さるかたにお任せを~という気持ちばっかり、感心しきりです。
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Unknown (陽花)
2006-03-27 22:13:23
とんぼ様

伸子張りがポンポンと出来るなんてすごい!!

私には、とてもとても・・・です。



洗濯といえばグツグツ煮るというのを

聞いたことがあります。日本に近いお国

だったと思いますが・・・
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感謝 (うまこ)
2006-03-27 22:51:35
どうもありがとうございます。

真剣に、竹をもらってきて、割って、節を利用して・・・

なんて考えていましたが、

竹の入手先が思いつきませんでした。

ところで南天の枝はどう利用されるんですか?



桜の花びらは白糸で刺繍してみます。

その前にはんこで花びらを彫って墨で刺繍するところに押して、とか。

糸は半端物(織り糸)の糸の袋詰めを買ったのがあります。

工夫するのが一番楽しいとも言えます、私の場合。
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Unknown (とんぼ)
2006-03-28 00:10:50
蜆子様

ちゃんとできてるかどうか、怪しいものです。

自分の仕事ではこれでたりてるのでOKに

しちゃってますけど・・。



陽花様

ぐつぐつ煮る・・・弱い染なら落ちますね。

でもすごくきれいになるような気がする??

国が違えば・・ですねぇ。日本だって昔は

川で洗濯していたわけですが、

だいたい日本は「水」きれいですからねぇ。

恵まれていたのに、川汚して・・。

あれ?話がかわっちゃいました。すみません!



うまこ様

メールさせていただきましたので・・。



南天ですが、南天というのは細かい枝が

チョコチョコ出るので、まっすぐでなかったり

節というかデコボコが多いんです。

それがおもしろいので、とりあえず比較的

スンナリとしててまっすぐなものは、

タペストリーの「棒」に使います。

細めのものは、たとえば2本ずつくらい

井桁にくんで、下に台紙を貼って「フレーム」に。

この場合、台紙には麻とか帯芯の古いのなんかを

使います。ごく細いので、短くして(10cmくらい)

きちんと並べて台紙に貼り、真ん中に丸く切った

断ち切りの厚手の麻布を貼ってコースター・・

にしたんですが、でこぼこなのと、水に弱い・・

ですぐ却下されました。プラ板にして、

上に貼るものを工夫すればいいかなと・・

思っててやってません。

友人は、何の枝だったかご主人にみがいてもらって

「お菓子を取り分けるおはし」にしてもらった、

といってましたが、うちじゃ磨くのも私ですわ・・。
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なんてん (うまこ)
2006-03-28 08:43:11
なるほど、細くて面白い棒として、

使えるわけですね。

案外しっかりしているし、

表面がきれいなので、いいですね。

南天はお箸にもなってますもんね。

ありがとうございました。
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