やーっとアップです。コメントでお題を頂きました雨の日のこと…。
写真は、母の形見の和傘です。渋めの色ですが、使うトシになってしまいました。
最初に先日も書きましたが、わずか何十年かの間に着物離れがすすみました。
逆に洋装の方は、最初のころは新しい流行にドギマギ、オドオドだったのでしょうに、
あっというまに馴染み、どんどん進化し、最初は流行といえばネコも杓子も…。
それがまたいつのまにか、その中で自分のものをみつけ、個性を大切にするということも、できてきました。
もちろん、追いかけるだけの人もいれば、作り出す人もいれば、全て見渡して「私はいいわ」もいますけれど。
それはそれで「洋装」というものが暮らしの中で定着して、自分に合うものを選択したり、
自分なりの扱いや好みの主張をできるようになったからですね。
これが「着物」については、まったく逆になってしまったんですね。
だから「着物のときはどうするの?」が増えてしまったわけです。
皆さんは洋装のとき、雨が降っている日、今日は降りそうだというとき、どんなお支度をしますか?
それは当然「何を着て」「どこに行くか」でも違いますが、
洋装なら、別にそれほど悩むこともなく、決めておられると思います。
毎日の通勤なら、降りそう、と思えば折りたたみ傘を持っていく。
朝から降っていたら、傘も持つけれど自然と「濡れてもいいような」ものを着ていく。
少し寒さを感じる時期で雨だったら、好きじゃないけど「レインコート」を着ていく。
今日はちょっとオシャレして出かけたいのに…の時は、場合によってはお出かけの方をキャンセルする。
いろいろですよね。更に、です。最近は「ゲリラ豪雨」だの、気圧が不安定で…だのと予報が豊富にあり、
傘もって行って当たり前…とおもうのに、夕方のニュースで、キレイなおねぇさんが、
降るとは思わなかったんですー、なんて、オシャレな服をずぶぬれにしていたり、
サラリーマンが、コンビニで買ったビニール傘こわしていたり…。
こんなに情報があふれているのに、どうして「備え」ないのだろうと思うわけです。
それはたぶん、ですが「豊かになったから」ということもひとつの要因だと思います。
私が子供のころは、まだ貧しさがアチコチで残っていましたから、
例えば兄弟が多いのに、傘が人数分ない…なんて家庭もありました。
朝から雨が降ると一番上のお兄ちゃんが、さーっと傘を差さずに飛び出していきます。
弟や妹に傘を譲るため。そのあとちょっと骨の曲がった傘に、弟や妹が一緒にはいっていく…
そんな光景を、私はまだ記憶しています。
モノが豊かになって、一人一本どころか、我が家の傘立てには「ウチは何人家族なんだ」と思うほど、
いろんな傘が入っています。でも、豊かになったのは「傘の数」だけではなくて、
「濡れたらクリーニング出せばいい」「靴がダメになったらまた買えばいい」という、
違うゆとりも生み出したように思うのです。
コートを着るのは服を守るため、長靴を履くのは革靴を守るため、だったのに、
服や靴の素材も、雨でも大丈夫のものが増えましたし、そこそこのものならすぐに買える時代になりました。
それはそれで、便利なことかもしれませんが、豊かになるということが、
ものを粗末にすることになっては、寂しいと思いますねぇ。いや、わが身も振り返れ…ですが。
ともあれ…えーと忘れないうちに、簡易コートのご紹介です。
写真を載せたかったので、アマゾンのページですが、同じもの、他でも探せます。
こちらが二部式。
和装用 雨コート 晴雨兼用 〔二部式〕 01 オールドローズ 13746 | |
クリエーター情報なし | |
メーカー情報なし |
コートタイプ
レディースレインコート 和装 雨コート 桃 ピンク ワンピース ポーチ付き (M) | |
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二部式のシースルー
(好)NO.663 雨コートスルー(二部式) | |
クリエーター情報なし | |
メーカー情報なし |
さて、やっと雨の日の着物…ですが、上に長々書いたことは「経験がないからわからない」、
つまり、洋装だと慣れているのに、慣れていないと考えてしまう…なんですね。
「雨の日はこうしましょう」も、実はいろいろなわけです。
何度もいいますが、雨はシミの元です。濡れないに越したことはありません。
簡単なコートや、せめて肩先を覆うケープのような、えーとポンチョ、そんなものも、
傘を持っていても、携帯しておくといいと思います。おたいこは出っ張っているので意外と濡れますから。
では雨コートはいつ着るか、今でしょうとは申しませんよ。ケース・バイ・ケース。
洋装でも対応は服装や場合によって違います。
着物に置き換えてみると…さっと洗えるポリや、普段用ウール、木綿、単衣の紬などは、
ちょっとそこまでくらい?まずまぁ大き目の傘、そして、突然の雨、なんて時は裾をはしょる…。
このときはつまり芸者さんのように、前で着物を合わせればいいのです。長距離はムリですけどね。
つまり、濡れちゃったから洗おうっと…と、ざぶーんと洗えるもの、それなら傘だけでもいいわけです。
やっぱりちょっと濡れたくないわ、の時にはコートを着る。
それも、もし裾が濡れても、すぐ洗えばいいいから、なら、そのまま着物の上からコートを着ればいいわけです。
洋装のコートもそうですが、大して気にならないなら、雨の中でもコートの前をあけたまま
歩いている人もいますね。カクジツにスカートの前は湿ると思います。
また、ものすごい土砂降りの時は、ちゃんとコートの前も閉めてますよね。ひどく濡れるのは嫌だからでしょう。
着物も同じです。「まーいいかな」ならそのままコートを羽織ればいいけれど、
裾がちょっとハネでよごれるかも、しみて少し濡れるかも、くらいのことは思っておかないとですね。
ゼッタイ汚したくない、濡れたくない、なら、コートの下で着物をはしょるわけです。
元々和装の雨コートは、着物の着丈よりやや長くするものですし、じゅばんは着物より短いですから、
裾が濡れることもさほどありませんが。
あ、そうそう、上の和装コートですが、真ん中のもの、下から着物が見えていますが、
これは「着物の上に着ている」のを強調しているのだと思います。
実際には裾から着物が出ては、 何にもなりませんから。
さて、この「中ではしょる」ですが、簡単にするならこんな感じ。ものすごい画像ですが…。
トイレの入り方以来ですね。
これは帯締めに挟んでいますが、どんな場合でも、左の前だけは裾角のところをやたら引っ張らないこと。
そのままシワになりますから。
できるだけ平らに伸ばして、帯締めの下から通して、ちゃんと平らに伸ばしておきます。
こちら側はたとえ帯締めからおちたとしても、右前がありますから、下まで落ちません。
ぐるりと持ち上げたら、右前の角はシワになっても落とせば見えませんから、
しっかり引っ張って、帯締めに絡めます。帯締めに絡めても不安だったら、
ダブルクリップのように平らになるもので、帯締めに留めると安心です。
帯締めはヤダナと思う場合は、少々上になりますが、帯枕の紐、コレが一番しっかりしまっていますから。
この方法は、写真右下のように、持ち上がっている中がくしゃくしゃになります。
コートを脱いで着物を落としたときのシワがきになるところですが、
木綿でなければ、しばらくすると取れてきます。
ただ、例えば訪問着なとの礼装とか、オシャレ着だけど大事な着物とか…
その場合は、脱いだらシワが…なんてことは避けたいですね。
そういう時は「腰紐」を結んでとめてしまうのが一番です。
「キレイ」に気をつける優先順位は「左の前」「帯のうしろ」「後ろの腰から下」。
これをシワや着崩れから守るように…。
まず着物の左前裾をあげます。このときやたら引っ張らないこと、洗濯ばさみでとめてあるのは、
助手がいないためです。一番下のU字に折りかえっているところが直角になる感じで。
これをもし右脇(黄色い矢印)に引きすぎると、赤い矢印のような、斜めのシワがよってしまいます。
裾のラインをまっすぐに保って帯の周りに巻きつけるようにして裾をあげていきます。
一人ではやりにくいのですが、助手さんがいなければ洗濯ばさみなど代用して、
どこか落ちたりずれたりしないようにしてください。帯の上から被せるようになります。
ずっと回ってきたら、右前を左によせて上げます。
このとき、赤い丸の中のところ☆印の中身(つまり左の前)がどうしても少しくしゃっとします。
できるだけ細かいしわにならないように。
この状態で、帯の上、帯締めより下辺りで腰紐を回して締めます。
しっかり締めるため、必ず帯板の上で結ぶこと。帯の下で結ぶと、そこがシワになります。
またこの場合の腰紐は「平ら」なものにしてください。
このとき、結び目をぎゅっと前でしてしまうと、その下の部分の着物がシワになりますから、
結び目は、右脇など、めだたないところで。(写真は右脇で締めてますよ、のために紐を下げています)
どこかがたくれていたり、余計なシワがないか見てください。
はずれそうで心配なときは、腰紐を帯締めの上で締めます。
それと私は、前裾だけ(ここは下にかくれるところなので)紐から下に折りさげてます。
それだけでも「引っかかってくれてる」という安心感がありますので。
この状態で長く歩くのか、乗り物を降りてからすぐなのか、いろんな場合があると思いますので、
「とりあえず少しの間タイプ」「しっかりいつまでもタイプ」…と、自分でも工夫してみることです。
ちりめんやお召しは、湿気だけでも縮みますから、できれば雨の日は着ないほうが無難ですが、
礼装などの場合はねぇ…そんなときは、現地で着付ける…が一番です。
この着方はあくまで自己流です。帯締めに引っ掛けるだけの方法と、腰紐使用をあわせることもあります。
そのときは、前だけきれいになるようにして、後ろは紐から外れていてもOKとか…。
こういうものは「そのとき」にやってもなかなかできませんから、着物を着たときに「実験」してみることです。
こうするほうがシワが少ない、とか、この方が安定している、とか、
そういうことも自分で経験して見つけるのが一番いいのです。
なにしろ体型だって帯の締め位置だって、みんな少しずつ違うんですから。
私はガリガリの時は、着物が回りすぎてもたつくので、左前身頃だけがきれいであればいい、と、
腰紐かけても右下前は引っ張りあげてました。いまやドラム缶ばりのデブ寸胴ですが…。
おしまいに「雨コート」そのもののお話ですが、今でももちろん「雨コート地」は販売されています。
ゆとりがあるなら、一枚ちゃんとマイ・サイズで、好きな色柄のものを作るのもいいかと思います。
そこまでしないなら、上にご紹介したものなどで、十分間に合います。
使い勝手はどうかというと、これもケース・バイ・ケース。
例えば上下に分かれているものは、降らないかもしれないなぁというときに上だけ着るなどもできます。
透明のものは、いかにも「もしものとき」用に見えるというのが…ですね。
それと、私は透明タイプは使ったことがありませんが、季節によっては蒸れて暑いかも…と思っています。
いずれにしても撥水加工というものは、はじく、というものです。
長い時間濡れ続けたりすれば、しみてくる場合もあります。縫い目などは特に。
またこれは私の経験ですが、いつも折りたたんである線というのは、そこだけ撥水が弱くなります。
古くなってきたら気をつけるといいと思います。
こういう心配から、先日の「着物そのものを撥水加工」ということになるのですよね。
でも、日本人は雨は雨なりに、着物を着て過ごしていたわけですから、
そういうことも含めて、楽しみたいものだと思っています。
あくまで「こんな感じで」のお話ですので、みなさん「楽しく悩んでください」。
お役に立てましたら幸いです。
着物にもよりけりですが、今は便利道具もいろいろ出ていますから、
例えばゴムのベルトなどもありますし、イロイロやってみてください。
雨でも楽しく着たいですものね。
そうなんです。私もみごとに「大袋」にしたことがあります。
コート着てたんですが、母に「なんで中ではしょらへんかったんや」と叱られました。
コート地、ほんとに暑いですよね。昔はそれでよかったのかなぁ。
私のは嫁入りのときのもの、重いですよ。雨の日はコートで肩がこる?!
何年か前に、真ん中の写真のものを買いました。化繊なので軽いし小さくたためるし、
携帯するならコレで十分だと思います。
それにしても着込んだ大島なんかだと、軽くて通気性もあって、
そりゃいいですよねぇ、探そう…と、またその気になってます。
今年はなんだか毎日風の日みたいですねぇ。
「風対策」今日の記事にしてみました。
押さえちゃいけない、というのは、私も聞いたことがありますが、
それを聞いたとき「じゃ、どうせぇというんじゃ」と…。
私はしつかり押さえています。
あまり参考にはならないかも知れませんが、記事読んでみてください。
「教科書」だなんて行っていただいて、お恥ずかしい…。
それでもお役に立つことがあったらうれしいです。
最近はなかなか着られませんが、子供のころから着物が身近で、
着ている人がそばにいたということは、今になったら
シアワセなことだったんだなぁと思っています。
できる限り続けていきますので、よろしくお願いします。
これ以外にも、あると思います。
いろいろ実験?してみてください。
イメージしながら読ませていただきました。
中は、結構くしゃくしゃでいいんですね。
これで思い切って挑戦できます!
旅先に お気に入りの小紋(初下ろし)を持って行ったとき
急に天気予報が変わって明日は雨と言います。
撥水加工したコートは持っていたので
裾を気持ち短めに着て、(すごく短めに着る勇気が なかった)
現地で前の晩に調達した草履カバーで、
こちらも これでよいのかと不安の塊でトボトボと
絶望的な気持ちで歩いたことを思い出します。
気合いを入れていましたので、草履も、
いちばん自慢のモノを履いて出かけたのでした。
これから練習&工夫を してみようと思います。
本当に ありがとうございました。
お福ちゃんも、ありがとうございました。
私はあまり歩かないので裾を上げることはしていないのですが、結構裾は湿ります。
これで困るのは、袋が入っちゃうこと。
縮緬に平織りの八掛なんかでしたら、もうテキメンです。
裾上げは、できればした方が良いと思いますわぁ。
詳しく書いてくださって、ありがとうございます!
雨コートは必滞ですから、何枚か持っているんですけど、いつも不思議なのは、日本の梅雨は結構蒸し暑い単衣の時期ですのに、雨コートは厚手のものが多いんですよねぇ。
お友達は、古い大島に撥水加工をして雨コートにしてました。
とても素敵でいつか真似したいと思ってます。
「トンボさんの教科書」・・・勝手にそう呼んでおりますが、本当にお役立ちなんです。
それはきっと、「正装や盛装のための着付け」でなく、「着付教室的な決まりごと」でもなく、実際に着物で生活する中での知恵だからだと思います。
これからも、どんどん・・・・というわけで私からもお題を!
私にとっての難題は、雨よりも風なんです。
着物の裾を抑えながら歩くのはマナー違反です!と言う方もいるようですが、スカートだって風に翻ればおさえるじゃないですか。
体に巻いてるだけの着物が風に踊ったらどうなるか・・・・トンボさんは、風対策されていますか?
風の強い日は、ついつい着物を避けるか外出を控えてしまうのですが・・・・
さっそく記事にしてくださり
ありがとうございました。
じっくり読ませていただきます。