まぁよくよく見れば、どちらも子供の着物の柄…といってしまえる気はするんですが…。
トップ写真の着物の地色は、子供の着物ではあまり見ない色目です。
後ろの方が柄がよく見えるので…
たぶん男物じゅばんの繰り回しだと思います。馬上の武者三人ですが、戦ではなく「鷹狩」のようですね。
行縢(むかばき:袴の上からつける毛皮などのカバー)が、スカートみたいにだらしない感じなんですけどねぇ。
一人ずつはこちら
真ん中の人、槍持ってますから「とどめさす係り」?でしょうか。
一柄が大きくて、ポンポンとカマ柄になってます。カマ柄は、反幅に柄ひとつのこと、
詳しい説明は、過去記事のこちらをどうぞ。
馬の姿も人の姿も、落ち着いた色目ですが、それぞれに動きがあっておもしろいです。
うまい絵ではない上に、ピンボケではなく、本当になんとなく輪郭などはっきり描かれていないのです。
そのぶん、こういう緊迫した場面でありながら、ゆったりのんびりの気配があります。
子供の柄だ…といわれたらそう思えるのも、そんなタッチのせいかもしれません。
そのくせ「武士の着ている着物の小紋柄」は、とても細かく丁寧なんですけどねぇ。ふしぎです。
この着物の飾り縫いは、柄に合わせてこんなです。オシャレですね。
どう見ても男の子のものなのですが…比翼の袖がこんな色。
残りギレだったのかもですが、チラリと覗いても違和感ないのがフシギです。
オトコのピンク、今よりずっとモダンな気がするのはひいきかなぁ。
もうひとつ、こちらが「子供っぽい柄の大人もの」…どう見ても、子供用の柄でしょう?
これは当然くりまわしではなく、最初から男物じゅばんとして縫ってあります。
柄は「平安貴族の舟遊び」、今でも毎年5月に嵐山で「三船祭」という、舟遊びを披露するお祭りがあります。
こちらも過去記事がありました。こちらです。
船は二種類、お祭りで使われる「竜頭船」、もう一艘「鷁首(げきす)船」というのがあります。
鷁首(げきす)は想像上の鳥です。
なんといいますか、ちょっと漫画チックな絵でして、本来竜頭船は「雅楽や舞」を披露する船…
なのに、楽器がないし、舞の舞台は「盆踊りのやぐら」みたいだし…。
鈴が下がっていますが、半鐘くらい大きいですね。ならしたらうるさそうですがな。
こちらの船は先頭が見えませんが、こちらの方に楽器積んでますねぇ。
竜頭船と対で描かれるのは「鷁首(げきす)船」が多いのですが、鷁首船はお茶席が設けられてます。
ただ、現代は…の話なので、昔はどちらも「楽」の船だったのかもですね。
ホンモノがご覧になりたい方、こちらが三船祭りです。
いずれにしても、なんとなくかわいらしく描かれた絵、柄だけ見ていたら、
どうしても小さい男の子の着物…を連想するのですが、これが男物のじゅばんで、
しかも広げてみたら、なんか「太め…」、中年のでっぷりおじさん用…みたいで。
これから繰り回すなら、たぷり取れますみたいな感じですわ。
色柄のイメージというのは、おもしろいものですね。
この「おじさ…」いえいえ「男物じゅばん」の方は解いてみようと思っています。
帯にしたらおもしろいですね。オトボケ具合が。
感じの柄ですが、見かけるのは
はっきりした色が多くて、こういう
くすんだ色は大人の色という先入観が
ありますね。
飾り縫いも丁寧にしてありますね。
ちょっと珍しい色ですね。
やっぱり男物じゅばんだよなぁと思うのですが。
こういう飾り縫いを見ると「ちょっとした手間」って
いいもんだなと思います。