状態のいい道行です。
これはですねぇ、やっぱり元絵があります。
同じ絵とは思えないこちら…。これはある本の表紙に使われていたもの。
こちらは別の絵からのもの、
どれも微妙に色や絵が違ったりしますが、元々の絵はたいへん古いもの。
「紙本著色職人尽絵」という関ヶ原の頃に活躍した狩野吉信という画家の屏風に貼られた絵です。
更に大正の頃の画家「久保田米斎」という人が、これを元絵として木版画にしたものがあります。
三巻に分かれたりっぱな本、と聞いておりますが、見たことはありません。
私はこの絵の「扁額」をもっているのですが、それも最初は「よく見る絵なんだよねぇ」で手に入れたもの。
無論印刷で元絵や版画のように分かれてはおりませんで、一枚につなげて描いた作り物。
手にしてから、元絵はたいへん古いものなのだと知りました。
実は元々の屏風絵というのをみたくて、いろいろ検索したのですが、大きい画像がありません。
なにしろ重要文化財だそうでして、実物は「川越大師喜多院」にあるそうです。
この「染物屋」についてなんとか見られたのはこちら。下の上段真ん中です。見えへん…。
元絵のおはなしばかりで恐縮ですが、本の表紙の方の絵の部分アップ。
右の男性、型染めをしているのがわかりますね。左の人は刷毛を持ってます。
このころから男性のお仕事だったんですねぇ。
1600年前後の頃の絵ですから、服装や髪型もその当時のもの、仕事もその当時のようすです。
この羽裏ののほうの絵は、なんとも色鮮やかで、またなんとなく顔つきなど「現代のコミック画風」?
いやいや、女性ものの羽裏ということで、色鮮やかに賑々しく描いたのでしょう。イケメンやし?!
なにしろ古い絵には著作権問題ありませんから、もう好きホーダイです。
正直ちょっと漫画チックで笑ってしまったのですが、かえってかわいいねぇと。
狩野吉信さんが今見たら「うそや~ん」というかも。
こうして見ると、庶民もけっこう華やかな柄物を着ていたんですね。
ちょうど「バサラ」なども出てきたころですし、戦の絶えない時代でも、庶民はどっこい生きている…
なんて気がする絵です。
さて、実は羽裏を欲しいなと思うときは、だいたい男性のものが多く、表は用のないものか、
「表は使えません」みたいにダメージの多いものがほとんどなのですが、
女性ものは割と使えたりします。これは羽織ではなく「道行」ですが、ほとんどダメージがありません。
よくまぁ売れずにこんな安いお値段で売られていたと思うものです。
赤い色はなかなかちゃんと出てくれません。いわゆる「ワインレッド」系です。少し黒っぽい感じの赤。
部分的にろうけつだと思うのですが、わずかに金と銀が薄く、まるでたなびく霞のように。
あんまりさみしいと思ったのか、あとから小さな扇子を刺繍で飛ばしています。
なんか素人っぽいので、自分で刺したのかもしれません。なかなかですけど。
金銀のところは、実際にはもう少しはっきり見えます。
雨コート地とまではいきませんが、少し光沢があるので、あれっ褪せ?あっ違うわ、という感じ。
シミがひとつふたつ目立たずにあるのですが、ほんとにダメージほぼありません。
もったいないですねぇ。ちょっと赤い色が私向きではないので、このまま色をかけたらいいかもですね。
元絵と比べると、イメージがかわってしまっているものが多いですが、
それでもきれい、楽しい、おもしろい、それが羽裏の楽しみ方かなと思っています。
浮世絵などの羽裏を見つけたら、元とどこがどう違うのか、比べてみるのも面白いかと思います。
雰囲気が変わりますね。
扁額という言葉は古宝物の集古十種の
中に入っているのを組紐の綾竹台の
歴史で習いました。
素敵なのをお持ちなんですね。
浮世絵などは「ここまでかえちゃまずくない?」なんてのもあります。
おもしろいものですね。
扁額もいいものはりっぱな字がはいっていて…ですが、私のはピンキリの「キリ」の方です。
飾るにも大きすぎて、届いた時主人に「棚にもならないのに」と言われました!
欠局納戸にしまいっきりですわ。
本の表紙絵のアップ!
私は現代風のイケメンより、こっちのオッサンの方が良いですわぁ。
> なにしろ古い絵には著作権問題ありませんから、もう好きホーダイです。
そうなんですよね!!
こういうの、じゃんじゃんやって欲しいです!
そう、おじさん、味があるでしょう。
いかにもワシの肩に暮らしがかかっとるんじゃって感じ。
どうしても有名な絵になりますが、もっと楽しい絵も、
たくさんあるんですよね。
北斎漫画なんか染めてくれませんかね。