ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

粋な羽裏

2007-10-25 21:19:17 | 着物・古布
本日も超特急で、ショートでーす、すみません。
本日入手の羽裏です。
「吉原」の通りを斜め取り(手綱」に並べた柄です。
上の写真はふたつの模様のうちのひとつ、
天水桶と常夜灯、さかさまになっちゃってますがお店の暖簾、ですね。

火事とけんかは江戸の華、と言われたくらい江戸では多くの火災がありました。
定火消しや大名火消しのあと「町火消し」ができ、
破壊消防も被害が最低限で済むように、広小路や延焼を防ぐ空き地など、
防火のためのさまざまに工夫がなされましたが、
それでも火事は怖かった…。火事を出したらそれだけで罰せられました。
そんな状態でしたから、町の辻などにこういった「天水桶」がおかれ、
いざというときは、今のバケツリレーのように手桶で水を渡して、
なんとかボヤのうちに消すというのが、
江戸の町に住む人たちの知恵のひとつでした。
最近では「水の節約」などのため、雨水を桶にためて水撒きに使うなど、
新しい道具として、都会でもつかわれているところがありますね。

左側にちらっと見えている常夜灯は、今で言うところの「街灯」。
本来街道筋などで、旅人の安全や目印のために一晩中ともされたもの。
大きな灯篭の形をしたものなどが多く、菜種油などを使いましたので、
管理するものがいました。この絵のようなものは、吉原など、
人での多いところで「街灯」の役目も果たすと同時に、
店の名前などもかかれていたり「裏口」などを照らしたりする、
小ぶりのものでした。

同じ羽裏で、もう一柄がこちら。


    


笠に扇子、刀、籠に手ぬぐい…こちらは「通ってくる客、帰る客」のようす。
当時、吉原へ通うことを「悪所通い」といいました。
ここだけは「お金」さえ払えば「武士」も「町人」も、
分け隔てなく遊ばせてくれましたし、武士は刀を預けるのが慣わし。
まぁそういうところでありますから、通うところを見られたくない御仁も多く、
笠や覆面、被り物は珍しくありませんでした。扇子も顔を隠す小道具ですね。
籠に乗って笠をかぶって更には扇子を使って…そんなにまでして
あそびたいもんなんですねぇ、殿方とゆーのは…。

とまぁそんなわけで、この羽裏は「吉原遊び」をあらわした柄。
普段用の、紋もついていない羽織です。
もしかしたら「願望」のあらわれだったのかもー。

これと一緒にほかにも羽織が着いてます。
ドンパもありますので、またチェックです。
状態のいいものは販売予定ですが、その前に先に準備したのをあげないと!
それでは本日、ショートで失礼します。



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5 コメント

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ちょっと ()
2007-10-25 22:50:58
女が吉原を背負う訳にはいきませんね。
このところ読んでいる本に度々吉原は登場するので
気になる絵柄ではあるのですが・・・
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Unknown (陽花)
2007-10-25 23:31:13
愛想も色気も無い奥様より、至れり尽くせりの
優しい言葉でもてなしてくれる吉原が殿方には
別世界だったんでしょうね。
あいにく歯が浮くような事は言えないたちで
そういう世界ではと~っても無理ですわ。
返信する
Unknown (蝸牛)
2007-10-26 07:20:24
お洒落な羽裏・・昔の人は、ほんとに 粋
悔しいけど男物のが、余計ににね!
吉原雀の若旦那達が、きそったおしゃれの産物でしょうか?
返信する
書き込み (Tatehiko)
2007-10-26 17:04:38
本日は書き込をいただきありがとうございました。
大変参考になります。
口先であれこれ言っていても現実に直面すると、どこかうろたえている感じがします。
着物の柄については・・・着物をきることもできない人間ですから・・・ついつい筆不精と言うか、遠慮がちになっていまして素通りしています。
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Unknown (とんぼ)
2007-10-26 20:41:29
惠様
「吉原」は、女の「国」ですが男の世界。
こんな風に絵になってもやっぱり、
背中にせおうのは、ちっとね…ですね。
でも、江戸の粋ゃ文化のうまれたところですから、
息吹だけでもどーぞ!


陽花様
同じくですー。もう結婚してゥン十年…、
お互いに今更ねぇ…アメリカみたいに
一日一回「アイラブユー」なんてやられたら、
具合悪くなりますわ、お互い様でしょうけどね。


蝸牛様
ほんとに「粋」とか「大胆」とか「奇異」とか、
羽裏はなんでもありですね。
女性モノはただもう「華美」か愛らしいか…。
おっ、と思わせるのは、やはりその筋の女性もの、
これはいいですね、なかなか出会いませんが…。


Tatehiko様
お書きになられた記事のような状況は、
一口では語れず、また議論がつきるものでは
ありません。難しいことですね。
着物については、ただ「きれい・珍しい・
おもしろい」などと感じていただければ、
私としてはうれしいです。

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