
実はこれ、出品者は「弁慶」とつけていました。
でも、弁慶が闘う場面や、お芝居などで名場面と言われる設定には、
こういう建築途中みたいな建造物での場面というのは思い当たりません。
右上の字の部分も、写真では小さくて読めず、大写しのところは漢詩調でよくわからない…。
とりあえず絵がいいからいいや…と入手したのですが、ついてみて「あぁ」とわかりました。
これは「宇治橋の戦い」、弁慶さんよりはちょっと前です。
この僧兵は「五智院の但馬」と呼ばれたヒト。
「僧兵」というのは、寺のいわばガードマンであり軍隊のようなもの。
平家が栄耀栄華を極めていたころ、お寺の力もたいへん強かったのですが、
大きなお寺ほど豊かであり、権力もありましたから、そういうものを守るための武装集団が必要だったわけ。
「僧」と呼ばれていても、実は剃髪していない場合が多かったそうで、白いこの特徴的な頭巾は、
「僧兵」であることのしるしであると同時に、髪があることもかくしたのかもしれませんね。
普段は白い着物に黒い衣、白頭巾に高下駄、弁慶さんのほうの「♪京の五条の橋の上~」の姿ですね。
戦になると、武士と変わらぬ鎧姿でした。ただし兜はかぶらず、白頭巾のまま。得意とされる武器はなぎなたです。
「宇治橋の戦い」は、歴史書のウソもありますから、理由や経緯など、どれが正しいのかはわかりませんが…。
とりあえず、平家が栄華を極める中、以仁(もちひと)王という方、えーと確か後白河天皇の何番目かの皇子…だっけ?
このひとが、いい年になっても立場定まらず、まだ幼い安徳帝が即位したり…なんか「オレってナニよ」状態、
このヒトが、源の頼政という人と平家討伐を企てたのですが、決起の前にバレてしまい、
平家の主だった武将たちに追いかけられるハメになった…というお話しです。
宇治橋で川を隔てて戦になるわけですが、追われる側が橋の板を落として渡れなくしてしまった…。
そこで平家は雨あられと矢を射掛ける…これをものともせずに突き進んでいって戦ったのがこの絵のヒト。
「五智院の但馬」と呼ばれる僧兵で、なぎなた振り回してことごとく矢をなぎ払ったという豪傑。
と、私が知っているのはこのへんまで。
この「文」の最後にも「矢切但馬」とありますが、ひょいひょいと矢をなぎ払って進んだため
「矢切の但馬」と呼ばれたそうです。
どんないきさつで以仁王とつながったのか、さーっぱり知りません。たぶん「源の頼政」さんつながり。
その「源頼政」ってだれよ…が私の知識の程度です。でへへ。
とりあえず「宇治橋の戦い」というと、この「五智院の但馬」とか「一来法師」とか、豪傑がいたというお話。
この絵は、橋の板をはずして落としたあと、残った橋げたの上を身軽く飛び移りながら、
大長刀を振り回して、矢をすっ飛ばしてるところですが、右足は今踏み出そうとしているところ。
両足踏ん張って立っていたら、弁慶の仁王立ちみたいですが、この足があがっているところで、
川にかかる橋げたの上を、身軽に突き進んでいる様子が感じられますね。
この羽裏と袖裏、絵以外のところは見事に「矢柄」です。
ものすごーくたくさん飛んできたってのを表しているんでしょうね。
なかなか面白いと思います。羽裏と袖裏は、無地とか地紋が多いんですが、これは「染柄」、
矢の部分だけでもきれいですね。表は羽二重の紋付で、少しくたびれてますが、羽裏、袖裏はきれいです。
鎧武者の羽裏では、私のお宝の中では、かの「楠木正行」が逸品だと思っていますが、
この鎧の僧兵・但馬さんも、なかなかだと思います。
宇治には3回くらい行ってまして、宇治橋も渡っているはずなのですが記憶があいまいです。
平等院とか、駅前の商店街なんていう記憶はあるんですけどねぇ。
確か3回目に行ったときは、宇治橋の近くで宿泊した記憶なのですが…だめだコリャ。
宇治橋には「橋姫」の伝説もあり、なかなか物語の多い地ではあります。
また一度ゆっくり行ってみたいものです。
羽裏や長じゅばんの武士の絵はほとんど史実に基づいたものなのでしょうか?史実というか、たぶんお芝居の一場面が多いのかな?
全くの空想とかデザインオンリーのものもあるんですよね?
単純にお侍さんの絵だ~~~とおもうだけよりいろいろ知っていてまた調べたりして眺めるほうが楽しいですね
私も一枚持ってますよ。白い馬に乗って家来らしき人を従えた立派な武者の長じゅばん。
とんぼさんに鑑定してもらおうかしら・・・
思うぐらいで、歴史は苦手です。
前に着物ショーで宇治に行ったんで
すが、今度はのんびり歩いてみたい
です。
素敵な柄を見せてもらって、教えて
もらって嬉しいです。
さすがですね。
今だときっと逆(左方向に)陸上選手みたいに走ろうとする構図になるかな…。
と、思っていたら、そうだった、鎧装束になぎなた。
重量と矢のあられと足下が木場の角乗りなみの柱幅…
白ずきんのひらひらで
かろやかに見えてくる…。すごいですね。
作られた方と見抜かれた方のきもちもつたわりました。
ご紹介ありがとうございます。
名場面というのはけっこう多いですが、
単純に「武家の姿の勇壮さ」とか「かっこよさ」を
メインにした「名もなき人の」絵もあります。
日本人だからでしょうかねぇ、着物のあれこれの姿を
美しいとかかっこいいとか思うわけです。
確かに甲冑などというものは、そばでじっくり見ると、
「芸術品」ですしね。
鑑定?あたしなんか、アカンテェ!?
なにか手がかりになることが書いてあると
わかるんですけどねぇ。
何もなくても絵だけでわかるのは、忠臣蔵系です。
わかるとおもしろいものです。
宇治はもう一度行きたいと思っています。
平等院は「10円玉の裏」で有名ですが、
確かに美しかったです。
もっと深い思いで見たいと思います。
ついでに宇治茶のおいしいのも買って…。
結局そこですわ。
だいたいファースト・インプレッションで、購入を決めるのですが、
届いてからあちこち見ては、おもしろいところを見つけてます。
顔が見えないことのちょっとした失望なんかも、
こういうときは楽しいものです。
できればハンサムさんでありますよーに…なんて。