ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

ニュー・フェイスの急須です。

2015-03-05 01:57:06 | 着物・古布

 

2か月ほど前に、急須のフタが割れまして…はい、割ったのはワタシですー。

 

私は若いころから「茶のみバーさん」と呼ばれる緑茶好き。

なにはなくとも「お茶」です。一日に何杯飲むか…お茶ッ葉の減ること減ること…。

で、カップはマグカップでも間に合いますが、急須はそうはいきません。

ほかにもあるのですが、こういうものはやっぱり「使い勝手」…がありますからねぇ。

一番使いやすかったものをダメにしたので、代わりのものをだしたのですが、

やたら大きいとか、私一人分にはちょっと小さいとか、フタのつまみがつまみにくいとか、

どうにもうまきいきませんで…買おうと思いつつ、いろいろあってそのままになっていました。

やーっと少し落ち着いたので、ネットで探しました。

 

これは「急須」ではなく「宝瓶」、ほうひん、と言われるものです。取っ手がないんですね。

元々玉露用ですから、熱湯は使わない…ので、じかに胴体を持つ作りなわけです。

と言いつつ、私はたいがい急いでいるので熱湯で、しかも安いお茶だったりするわけですが…。

この「取っ手」がないというのが、しまうときに場所とらずで便利なんです。それ「優先!」。

玉露様には申し訳なく…です。

 

私の「お茶好き」は、母からの遺伝?です。

昔、ちゃぶ台だった時代から、母が亡くなるまで、実家の御膳の上には

いつも「茶道具(茶道のではアリマセン、もちろん)」が、一式おいてありました。

小さめの茶筒に急須、そして家族分の湯のみ、ちいさーい籠にちいさーい台ぶきんがちまっと…

それをのせた茶盆があって、いつも「さらしのふきん」がかかっていましたっけ。

母の好きなのは「芽茶」で、近くのお茶屋さんのモノ。

いつも実家に行くと、すわったとたんに「お茶淹れるし」と、母の手はすぐに動き出して、

季節によって違う私の湯のみに、あったかいお茶が注がれてだされましたっけ。

認知症がわかったころ、その「お茶淹れるし」はかわらなかったのに、

言ったきり、ちっとも茶筒にも急須にも手が伸びない…。

「でな、昨日な…」と話が続き、やがて「あ、お茶やったなぁ」と言い、

そしてまた手は止まり、そのうち手にした茶筒を見て「あれっお茶淹れてへんなぁ」と気がつく…。

「えぇよ、ゆっくりで」というと、すまなそうな顔でようやく急須のフタをあけ…でした。

目の前で、親のそんな変化を見ているのはつらかったけれど、誰よりも母自身が、

「このごろなんやアタマがぼーっとしてなぁ」と、不安な顔つきになるのが切なかったです。

 

そんなことを思いだしながら、新しい急須にお茶っ葉を入れ、

玉露ではないので、90度程度に湯冷ましで冷まして…と、

ちゃんと淹れてみました。一人分にちょうどいいです。

湯飲みは主人のベトナムみやげ、リクエストに応じての「金魚柄」。

そして急須と一緒に買った「葛餅」をいただきました。吉野本葛で、ぷりっぷり…おいしかったですー。

 

       

 

主人がいたころは、食事の様子を見て、あとごはんが一口、おかずも一口…くらいのところで

ちょうどお茶を出すタイミングで淹れてました。「ごちそうさま」で「はいお茶」…。

今は私にお茶を淹れてくれる母も、私が淹れて出す主人もいなくなりました。

父は…お茶飲まないヒト…です。淹れると言っても必ず「いらない」と言われます。

お茶、というより「水分」全般、摂るのがキライなひと。

トイレが近くなるというのが昔々からの理由ですが、尿道結石も2回やっているし、

今は脳梗塞が心配なのですけれど、元々私のいうことはキカナイひとです。

いくら言っても「水分」控えめなので、特に夏は困るんですけどねぇ…聞いてくれません。

なので、母が亡くなってからは「お茶はのまないから」と、実家の道具もしまわれてしまいました。

 

家族構成が変わると「風景」が変わっていきます。

母のいない風景、主人のいない風景…それもまた毎日のことになれば、

それが「当たり前」の風景になっていき、何かの時にふと「昔の風景」を思い出す…

人生ってそんなもんなのでしょう。

熱いお茶をふーふーしながらそんなことを考えました。

実のところ、風邪騒ぎのこの半月、甘いものをいただく気分的な余裕もありませんでした。

今日はもうだいじょうぶ…「もう一個たべようかな、いや、やめとこぅ…でも小さいし…」

ほらね、もとにもどってますがな。

今日はまた冬に逆戻りの寒い日です。行きつ戻りつ…春に近づいていくんですね。 

 


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12 コメント

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Unknown (陽花)
2015-03-07 16:24:27
私も三度三度熱いお茶が欲しい人です。
でも悲しいかな上等の玉露などは胃に
もたれるのでめったに飲まないです。

宝瓶というんですか、蓋がおしゃれですね。

風邪も随分よくなられたようでよかったですね。
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Unknown (ぼんぼり)
2015-03-07 22:00:23
とんぼさん・・・
簡にして明、しかも読んで心が温まります。
ご家族がどんな人たちだったか、なんだか小津映画でもみるように目に浮かんできました。
これからの日々、いつも手元に美味しいお茶がありますように。
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Unknown (女々)
2015-03-08 00:46:00
とんぼさま 着物の件 帯の件 ありがとうございます。 従兄に「嫁さんに伝えて…」とメールしたら 夜中だというのに 電話で 返事 参考にするとの事です。まるっきり 歩けないとか 立てない訳ではないのですが…

急須は 本当に 自分の手になじむと言うか…使い勝手が良くないとダメですね(笑)
私も お茶は好きなのですが…最近は 白湯に はまって?います。
職場は 安い早いの「熱湯茶」です。所長は 私が淹れると …普通に淹れているだけなのですが甘味が感じる。と言います。風邪の方 良かったです。3月に入り お雛様も有ったので…職場施設で 桜餅数日に分けてですが…100個は作りましたよ。
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Unknown ()
2015-03-08 09:39:24
私の母も「お茶婆様」です。食卓には、やはりお茶セットが置いてあり真っ白な晒しが掛けられていて・・・同じですね。
その母が先日、パーキンソン病と診断されました。
数年後には寝たきりか!とショックを受け落胆している母に私は「寝たきりになるころには、もう80歳を過ぎてる。年齢的に考えたら、この病気で無くてもガタはくるでしょ。」と笑い飛ばしました。
そして・・・家に帰って泣きました。玄関のドアに鍵を差し込む頃には、無意識に涙があふれてきました。
お茶を煎れる手が震え、階段の上がり降りも危なくて・・・
奔放に生きた人でした。お前の世話になるなんて、まっぴらだ!と言い放った人でした。
お前が居ると、幸せになれない!!と言った人でした。
つい最近まで、地元に居ながら、ほとんど交流も無く過ごしておりました。
便りが無いのは元気な証拠、あれは本当ですね。
これから、大変な日々が続きそうです。今はただ、母が自分で動ける日が一日でも長く続くようにと願うばかりです。
さあ、私も弱音を吐いては居られません。頑張りまっす!!
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Unknown (ちあき)
2015-03-08 12:07:58
温かいお茶、大好きです。夏でも冷やさず飲みたい派。
最近は友達の家に行くと、ペットボトルのお茶を出されることが多いので、残念だなあ、と思います。
丁寧にお茶をいれると、それだけで贅沢な時間を得た気がします。
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Unknown (ゆん)
2015-03-09 20:37:45
こんばんは。久しぶりにお邪魔致します。

お茶はいいですね。
とんぼさんの一服しましょうか・という声が聞こえてくるようです(受話器ごしの声の記憶ですけど)。
お疲れの上、季節の変わり目ですから くれぐれもご自愛ください。

なんだか ぶぶあられが恋しくなりました!
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Unknown (とんぼ)
2015-03-09 23:19:32
陽花様

おかげさまで、風邪はようやく先が見えてきました。
このまま声が変わったらどーしよー…ですが。

私も玉露はちときついですね。
と言いつつ、お茶は苦くて、湯飲みの底が
見えないような濃いお茶が好きなんですが。
このタイプは便利です。大きいのもほしいですー。
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Unknown (とんぼ)
2015-03-09 23:28:11
ぼんぼり様

思い出というものは、楽しかったり切なかったり…
それでも「思い出せることがある」というだけでも、
いいことなのだと、今はそう思います。
実父は、私が12の時に亡くなっていますので、
実は思い出せることが少ないのです。
それと、今回、主人の葬儀用の写真がなくて困りました。
考えたら、いつもあわただしい帰国ばかりで、
ゆっくり写真を撮ることもなかったのです。
帰ってきてからの半年で、なぜ1枚でも2枚でも
撮っておかなかったかと思っています。
眼に見えるもの、見えないもの…
どちらも「思い出」としては、大切だと思います。
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Unknown (とんぼ)
2015-03-09 23:40:03
女々様

状況を詳しく存じ上げないのに、よけいなことを、
お知らせしたかと、ちと心配しておりました。
立つこともおできになられるのなら、
帯の下に縫いこむと、立った時におかしいですね。
車いすに座った時に気を付けるのは、
前裾が下にさがること、です。
お座りになった状態で、右わき、帯のすぐ下のところを
小さなクリップなどで止めるとさがりません。
それと、帯は姿勢がよくなるすぐれものですが、
御身体によっては、ずっと座っていると
苦しくなったり、おなかの下に
喰いこむような感じになったりします。
体型にもよりますが…。
なんどか試着と帯を巻いた状態をお試しください。
当日苦しくなっては、つらいですから。

このきゅうす、使いやすいです。
量もちょうど一人分…すぐ割らないように
気を付けて使わなきゃ…です。
桜餅、今年はこんなで食べ損ねました。
雛あられも買い忘れ…やっぱ旧暦でやらなきゃ。
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Unknown (とんぼ)
2015-03-09 23:45:34
夢様

パーキンソンですか…厄介な病気ですが、
進行を遅らせる薬などは、今も日進月歩です。
元々進行の遅い病気ですから、
ご本人も、周囲の方も長い闘いになります。
母娘の間柄というのは、これまたいろいろです。
やたら他人がとやかく言うことではありませんが、
親の老いというものは、等しく切ないものだと
そんな風に思います。
どうぞお大事になさって、介護する側も、
ベストよりベターを目指してください。
ムリは禁物です。
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