大きな鷺が二羽いい「絵」ですね。
鷺はその姿の美しさから、鶴と並んでよく着物柄に使われます。
以前「白鷺」の柄の説明のときにも書いたと思いますが、
シラサギというのは、文字通り「白い鷺」の総称で、
「シラサギ」という特定の鳥はいません。
ダイサギ・チュウサギ・コサギなどがいますが、
またややこしいことに「オオダイサギ」とか、もうろいろいろ…。
なんか安易に「大中小」を使ってないか?という感じです。
あたまに冠毛があるのが形がいいので、図柄として使われるときは、
たいがいこの「冠毛」が描かれますが、
この「冠毛」があるのはシラサギの中でも「コサギ」だけ、
それも「夏毛」として暑い季節の間しかでません。
シラサギが夏の着物柄として使われることが多いのは、
そういう自然の中にいる姿を人がよく見ていた、ということでしょうね。
これは絽の着物の袖二枚分、あります。
残念ながらよごれやシミがあり、きれいに二羽の姿を全部とるのは、
ちと難しいです。でも、部分取りでもきれいですね。
これはもうひと柄、こちらはバックがこんな色。
なんとなく、「朝の空」「夕焼け空」と思うのですが…。
この青と薄い朱の柄が、交互に並んでいます。
袖にすると、ちょうど前袖と後ろ袖で色変わりです。
これが着物であったときを見てみたかったです。
もう一枚、こちらは夏お召し、という感じ、
透けますがちょっと厚みがあります。とんぼでーす。
ジグザグの区切りを水流に見立て、白いところは
水のたまるところ、そこには草花(ここでは笹)があって
とんぼが集う…そんなところでしょうか。
上の鷺もこのとんぼも、反幅に柄がひとつだけ、
こういうものを「かま柄」といいますが、
着物全体で見ると、色がジミでも、柄が大きいのでハデめになります。
昔の着物にはよくありまして、ほんとにこんな大きな柄を
着たんだろうかと思いますが、着てたんですねぇ。
元々着物は一枚で全身を包むものであり、洋服に比べて平面的、
広げると四角の集まりです。慶長小袖など見てもわかるように、
まるで額絵のように一枚の着物をキャンバスにして絵を描いています。
実際に着ると前後は一度に見えないし、体に巻きつく分隠れるところもあるし、
まして女物なら帯で隠れる部分もでてきます。
それでも一切関係なく、まるで「脱いで衣桁にかけたときが一番の見ごろ」
とでも言うように「絵」として描かれています。
こういう柄付けは日本独特のものではないかと思うのですが、
ともあれ、一度は「江戸時代のお上のしめつけ」によって、
地味が粋、とばかりにモノトーンの世界になってしまった着物柄ですが
(中とか裏は別ですよー)維新後に自由になって、
昔とは違った「大胆素敵」な柄が現れました。
銘仙などは、特徴的だと思いますが、ポップ、サイケデリック、カラフル、
なんていうあちらの言葉がピッタリするような柄、
そしてこの鷺のように、袂いっぱい見ごろいっぱいにひとつの柄など、
礼装用ではないのに華やかな柄が生まれました。
残念ながら、今の時代はそういうものが選ばれない時代でして、
「大柄」イコール「ハデ」、また大きい柄は背の高い人しか似合わない…
というような理由から、せいぜい振袖ぐらいしか見なくなりました。
もちろん、それぞれの人に「似合う・似合わない」はありますから、
誰でもいいというわけではありませんが、
浴衣以外はなんとなく「ちまっ」とまとまってしまう今の着物の柄、
もうちょっと冒険してみてほしいものだと思います。
とはいえ、いまどきこんな柄、見つけるのがたいへんなんですけどね。
さて、それぞれハギレとしてしかありませんから、
何に使うかは悩むところです。
さぁ、また今日は古布を見て「にまにま」とすごしてしまいました。
萬屋千兵衛様さまの「帯留め」の写真にたいへん苦労しておりますので、
ちょっと気分転換の半日でしたー。
萬屋千兵衛様、いやみじゃありませんよぉ、とてもいい輝きなので、
なんとか現物に近い写真をと、このウデで挑戦しているだけですから。
がんばりますからねぇ。
鷺はその姿の美しさから、鶴と並んでよく着物柄に使われます。
以前「白鷺」の柄の説明のときにも書いたと思いますが、
シラサギというのは、文字通り「白い鷺」の総称で、
「シラサギ」という特定の鳥はいません。
ダイサギ・チュウサギ・コサギなどがいますが、
またややこしいことに「オオダイサギ」とか、もうろいろいろ…。
なんか安易に「大中小」を使ってないか?という感じです。
あたまに冠毛があるのが形がいいので、図柄として使われるときは、
たいがいこの「冠毛」が描かれますが、
この「冠毛」があるのはシラサギの中でも「コサギ」だけ、
それも「夏毛」として暑い季節の間しかでません。
シラサギが夏の着物柄として使われることが多いのは、
そういう自然の中にいる姿を人がよく見ていた、ということでしょうね。
これは絽の着物の袖二枚分、あります。
残念ながらよごれやシミがあり、きれいに二羽の姿を全部とるのは、
ちと難しいです。でも、部分取りでもきれいですね。
これはもうひと柄、こちらはバックがこんな色。
なんとなく、「朝の空」「夕焼け空」と思うのですが…。
この青と薄い朱の柄が、交互に並んでいます。
袖にすると、ちょうど前袖と後ろ袖で色変わりです。
これが着物であったときを見てみたかったです。
もう一枚、こちらは夏お召し、という感じ、
透けますがちょっと厚みがあります。とんぼでーす。
ジグザグの区切りを水流に見立て、白いところは
水のたまるところ、そこには草花(ここでは笹)があって
とんぼが集う…そんなところでしょうか。
上の鷺もこのとんぼも、反幅に柄がひとつだけ、
こういうものを「かま柄」といいますが、
着物全体で見ると、色がジミでも、柄が大きいのでハデめになります。
昔の着物にはよくありまして、ほんとにこんな大きな柄を
着たんだろうかと思いますが、着てたんですねぇ。
元々着物は一枚で全身を包むものであり、洋服に比べて平面的、
広げると四角の集まりです。慶長小袖など見てもわかるように、
まるで額絵のように一枚の着物をキャンバスにして絵を描いています。
実際に着ると前後は一度に見えないし、体に巻きつく分隠れるところもあるし、
まして女物なら帯で隠れる部分もでてきます。
それでも一切関係なく、まるで「脱いで衣桁にかけたときが一番の見ごろ」
とでも言うように「絵」として描かれています。
こういう柄付けは日本独特のものではないかと思うのですが、
ともあれ、一度は「江戸時代のお上のしめつけ」によって、
地味が粋、とばかりにモノトーンの世界になってしまった着物柄ですが
(中とか裏は別ですよー)維新後に自由になって、
昔とは違った「大胆素敵」な柄が現れました。
銘仙などは、特徴的だと思いますが、ポップ、サイケデリック、カラフル、
なんていうあちらの言葉がピッタリするような柄、
そしてこの鷺のように、袂いっぱい見ごろいっぱいにひとつの柄など、
礼装用ではないのに華やかな柄が生まれました。
残念ながら、今の時代はそういうものが選ばれない時代でして、
「大柄」イコール「ハデ」、また大きい柄は背の高い人しか似合わない…
というような理由から、せいぜい振袖ぐらいしか見なくなりました。
もちろん、それぞれの人に「似合う・似合わない」はありますから、
誰でもいいというわけではありませんが、
浴衣以外はなんとなく「ちまっ」とまとまってしまう今の着物の柄、
もうちょっと冒険してみてほしいものだと思います。
とはいえ、いまどきこんな柄、見つけるのがたいへんなんですけどね。
さて、それぞれハギレとしてしかありませんから、
何に使うかは悩むところです。
さぁ、また今日は古布を見て「にまにま」とすごしてしまいました。
萬屋千兵衛様さまの「帯留め」の写真にたいへん苦労しておりますので、
ちょっと気分転換の半日でしたー。
萬屋千兵衛様、いやみじゃありませんよぉ、とてもいい輝きなので、
なんとか現物に近い写真をと、このウデで挑戦しているだけですから。
がんばりますからねぇ。
よく友達のところへ行くのに農道を
通ると白鷺が水辺を歩いていたり
急に飛び立ったりするのを見かけます。
車で通り過ぎるのであまりよく分からない
のですが、こうして絵を見るとやはり
綺麗な鳥ですね。
こうして見る鷺は本当に美しいです。我が家の田んぼを踏み荒らし、植えたての早苗をひっくり返してモミを啄ばむ鷺とは大違い・・。
昔の人の観察力とか動体視力とか言うものにはホントに脱帽!です。
インドのサリーを見たときにも感じるのですが、直線裁ちの衣類には、「こういうときに生じるシワの美しさ」と、ソレにこだわる人の目線ってあるように思われませんか?美しく見せる為にカットした服には、想定以上の効果は少ない(・・というより、体型による誤算の方が大きいかも・・涙)けれど。
千様の焼きものもそうですが、自然の力が作用する、ソレを身につけるってなんともやさしくて贅沢ですね。とんぼさんのお話を読む度、しみじみそう感じています。ありがとうございます。
しかし、全体に柄があるのは気恥ずかしくても、帯ならイイかな、とか、着物の一部だけならイイかな、などと思って、左身頃だけとか、右身頃(さらに柄が少ない)だけなら、と考え、そこに派手な柄の布をもってきた着物を作りたいな、とたくらんでいます。
でも夏の着物は汚れている物が多いので残念ですね。
私も背が低いので、大きな柄は似合わないと思っていました。
でも4年前?に綿麻の浴衣を買ったとき、お店の方が大きな柄のものを見立ててくださって。
鳥とか花とかじゃなく、白地に黒の。。。幾何学模様とでも言うのでしょうか??
(柄の名前がわからないので、いつか機会があったら画像をどこかに載せますね。)
巻きつけてもらってもまだ半信半疑でしたが、このおかあさんが似合うと言うんだからと思い切って仕立ててもらったら、とってもよく似合って。
未だにお気に入りの一枚です。
半襟かけて、単衣のフリして、大事に着ています。
鷺はまだ水田などがあるところでは見られますね。
形のいい鳥です。たんぼにくちばしつっこんでると、
思わず「汚れるよっ」といいたくなります。
柄にしてもいいですねぇ。
ゆん様
被害をこうむっていらっしゃる方々には、
ありがたくない鳥…それもまた現実ですねぇ。
がらだけでいい、なーんて。
昔の人はすごいですね、空を飛んだこともないのに
「俯瞰図」で絵を描いちゃったりするんですから。
カメラも図鑑もないからこそ、想像力も観察力も
みがかれていたんでしょうね。
うまこ様
私も背が低いので、大柄は似合いません。
おしりにひとつ…なんて感じで…。
つなぎ合わせて作るというのはいいですね。
ちょっと隠れたところにしかけたりして。
夏物はほんと濃い色のものでないと、
状態のいいものがありません。
KOMA様
こちらこそはじめまして、
ようこそおいでくださいました。
大柄でも、柄の形とか色とか、そういうもので
チャレンジできる柄もありますね。
特に浴衣などは、元々大胆なのが多いですから、
あまり抵抗なく着られます。私も浴衣だけは
大きな桔梗柄なんて着てました。
いつかお写真見せてくださいね。