ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

同じく気になるテレビの中の着付け

2019-03-10 00:51:46 | 着物・古布

 

写真はテレビではなく「実写」?65年前の私と母。母の着物はペラペラの平絹、

羽織は黒地の銘仙です。このころ、普段羽織はこれしかもっていませんでした。

 

テレビで着物姿を見ることがあります。

個人的なインタビューとか、そういうことは少ないのですが、一番見るのは「2時間ドラマ」。

はははですが、私は京都が舞台だったりすると、着物が見たくてチャンネルを合わせています。

大体何かしながらのチョコチョコのぞきですから、結局ストーリーはほぼわからなかったりして、

「この人が犯人だったのね、で、これダレ?」みたいな…。テレビ局のみなさんゴメンナサイです。

 

さて、着物が多く出てくるというと、京都や金沢が舞台のことが多いです。

でも、着物が出てくるからといって、必ずしも着付けや着物の選び方がすばらしい…

とばかりはいえないこともあるのです。

そのアラ探しが楽しい…いやいや、そんな嫌味ばぁさんてはないつもりなのですが…そうそう研究対象!?

あ、先にお話ししておきますが、ドラマはあくまで「お芝居」です。

その着付けや着物の色柄は、物語や役柄によって設定されるわけですし、

必ずしもその女優さんの実年齢と、演じる役の年齢が同じではありませんから、

そのあたりは考慮してみています。

また、実際に着物を着て動き回ったとき、どこがどうなるかは着物着た人でないとわかりづらいことです。

映像の中で、たとえば座って話しをしているところなど、「ヨーイ、スタート」の前に、

当然おかしなところがないように、乱れたところがないように、それでいて自然にみえるように、

ちゃんと整えるスタッフもいるわけでしょう。そういう意味では「きれいにすわっている」「きれいに立っている」は

ドラマの中では当然のことです。ただ、そういうときでさえ、ちょっとずさんだなぁと思うことがあるわけです。

最近の大笑いヒットはこちらでした。俳優さんごめんなさい、アナタを笑ったわけではありません。

だれか前にいた人、気づかなかったんでしょうか。

 

               

 

本人左の脇線がずいぶん前に来ています。体格のよい方なので、着物が小さいと思ったのでしょうか。

確かにサイズ的に「丈」は短いし「裄」も足りてません。でも身幅は大丈夫。

それなのに小さいと思ってむりやりひっぱった結果、行き過ぎて右であまってます。胸も引っ張られて、

衿はしまりすぎてるし、おかしな斜めジワはいってるし…。

これで設定は「呉服屋の主人」ですから、泣けてきます。

 

このドラマ、すみません、ストーリーよくわかっていませんが、これお約束の最後の告白場面。

こちらの二人が「犯人」で石野陽子さんと中山忍さん。  

 

         

 

さてどこがどう「オカシイ」でしょう…。いえ、別におかしくはないんです。

普通着物を着ている人って、みんなこんなもんです。ただ、これはドラマの一場面ですから、

上の男性の写真ほどでなくても、ちょっと細かいこときをつけたら、もっときれいに見えるのになと。

着物のサイズって、洋服よりずっとルーズですから、着方しだいでなんとかなるものなのですが、

忍さんの着物、ココロもち大きいのかな。ご本人が上半身痩せ型。胸にうっすら補整がほしいところです。

それと二人とも脇のところ、ちょっと飛び出てますね。これ、普通に着物着ていてもよくでてくるところです。

脇のほうにキュッと押し込んでおくといいんですが。

こちら、別のドラマ「温泉若女将のナントカ」というシリーズもの。

主役の若女将が東ちづるさん、大女将が岡田茉莉子さんのシリーズ。

こちら二人とも脇スッキリです。ドラマではこのほうがきれいに見えますよね。

 

         

 

もう一度忍さんのほうに戻って…中山さんの着物の色、実際の映像は薄い緑、花柄ですし、

設定はたぶん30少し過ぎくらいの役ですから、色柄はいいのですが帯が同系の色柄でメリハリがありません。

小物に赤系を持ってきたのはアクセントにいいですが、もう少し太目の帯締めでないと貧弱です。  

そしてこちらは後姿、またまた残念なのですが、忍さん、帯がゆるかったのでしょうか、

帯の締め位置が少し低いです。ほんの少しのことなのですが。若い人は高くしないとババくさくなります。

そしてお太鼓、なんかちょっとシマリがないですね。ついでのことに石野さん、襦袢の袖が飛び出ています。

たぶん袖との長さがビミョーに合っていないのだと思います。

カメラを回す前に、こういうことを気をつけるはずの着付け担当スタッフさんがいるとおもうのですが。

 

              

 

 「温泉若女将…ナントカ」というシリーズ。のほうは、東さんと岡田さんお二人の着物が楽しみで…。

ほぼ全編着物ですから、何枚も見られますー。大きなホテルや旅館の女将さんは、

訪問着がユニフォームみたいなものですので、眼福続き…。

たまたまBSで再放送があったので、カメラ置いてチョコチョコ覗いてました。

ははは、相変わらずですがストーリーは「なんとなく」で終了。あ、犯人はわかりましたが。

で、今回ステキと思ったのがこの訪問着。ウサギさんの祝言ですねぇ。

 

                

 

このシリーズの大女将はいつもちょっとハデ目、女優さんが違ったら「銀座の一流クラブのママ」に見える…

その衣装を、「大女将」らしく着られるのは、岡田さんならではのチカラ…と思います。

毎回パッと眼を引く柄だったりしますが、いつも襦袢とか真っ赤、もしくは裏が赤…。

わたしなんぞマネできませんわ。

仕事を離れての「推理談義中」の二人。なによりこんなさりげない場面でも「脇」がでていません。

 

          

 

こちらはいつだったかの再放送のもの。これこそ話は何だったか・・・。

たしかずいぶん古い作品で、あの上川隆也さんが作家の役、だったお話し。

旧家の屋敷の女主人が山本陽子さん。

こちらねぇ…さすがの貫禄だし、着物も着慣れておられるのですが…

おなかのところ、見えますか、もう少しきれいに押し込んであげればよかったのに。

右側、なんか色からして膨張色で、ボテーっと見えますねぇ。

カメラ位置が少し上めと下めという違いもありますから、ハッキリしませんが、見た目…ですね。

 

 

こちらは「浅見光彦シリーズ」、このドラマは、いつも母親役の人が着物、それだけが楽しみ…って、

私はなんのためにドラマみてるんでしょ。(だって内容は本読んで知ってるんだもん)

こちらは残念な1枚です。このときの母親役は佐久間良子さん。

お太鼓の柄、上すぎですねぇ。もう少し下にこないと…。

これ、帯が短いとこうなりますね。サイズがあってないのでしょう。

着付け師さんなら、お太鼓がちゃんときれいに出る「締めない締め方」をご存知と思うのですが。

タレもしっかり折り返せてないはずですから、ギリギリで手を入れて帯締めが下のほうになってます。

 

             

 

こんなことばっかり見ている視聴者がいるなんて、思っていないでしょうねぇ。

でも、写真にとって見ると、いろんなことが見えてくるのです。

色柄もそうだしコーデもそうだし、着方もこういう体型なら、こういう風にしたほうがいいんじゃないかとか…。

 

こういうものを見ると、まず「かかわるスタッフ」ということを思います。

こういうチームは、シリーズのたびに、同じスタッフが集まるのかどうなのか、

そんな細かいことはわからないのですが、いつもきれいに着付けていたり、

色柄の使い方が上手だったりすると、また見ようという気になります。

若い人ほど、先日のお話し「洋装の眼」で知らず知らずのうちに判断したり、

そういうことがあるのではないかと思います。

 

おまけ、左、若女将のほうの東さん、ちょっと若めの普段着物。お隣の洋装ロールヘアの女性は

宮本真希さん、元宝塚の方ですね。この方も着物よくお似合いです。右の写真の宮元さんは山本さんとの競演で、

旧家の4人姉妹の次女役。若いかたが赤い系統の着物を着るのはとてもいいものです。

洋服と違ってデザインがない分、こういう色は「若いときしか着られない色」ですから。

 

 

実生活のなかで着物姿を見ることがあまりない今、ドラマの中の着物姿は貴重です。

もちろん映画やテレビの場合は、美しく見えるように、場面に合わせた演技が映えるようにと、

場面ごとに直したり、チェックしたりですから、きれいに見えて当たり前です。

着方についてはアラ探しをしてみること(ははは)、色柄については年齢設定と人物設定での観察。

そして柄の観察です。楽しいですよー。

 

おまけ話として…着物の本などでの着姿も、そりゃ美しくて当たり前。

元々美しい人が、きれいに着付けてもらってポーズをとって、あちこち直してもらって写るのですから。

現場で仕事をしていた人の話しによれば、必ずしもサイズが合っているわけではないし、

ポーズによって余計なところにしわが出たり、思ったカタチができないこともあり、

うしろみたら洗濯ばさみでとめてあったり、安全ピンがあったり、糸でザクザク縫いとめたり…なんてことだそうです。

元々本に出ているものは訪問着など、柄を見せるのが目的ですから、

裾つぼまりにも着ないで、正面の前身頃の柄が、まっすぐ見えるようにしています。

真四角になりますが、柄を見るには一番、でもそのままそれで歩くと、

ズボーッとメリハリなくて美しくないです。でも、本で見たのがはやっちゃう…現実です。

何のために着ているか、何をしているところを強調しているのか…も、考えながら見ないと、

あれを目指しても着物上手にはなりません。 

現実に着物姿が見られない今、テレビで着物が出ていたら、内容より着物を見てください…なんて

テレビ局の人に恨まれるようなこと、言っちゃった!


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2 コメント

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Unknown (とんぼ)
2019-03-12 20:58:43
hii様

コメントありがとうございます。
テレビでの勝手評価、楽しいですよね。
東さんは元気いっぱいで楽しいです。

今は着付師さんといえども私よりははるかにお若いでしょうから
仕方ないのかなと思いつつ、このまま行くのかと思うと不安です。
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テレビ鑑賞 (hii)
2019-03-11 18:23:43
テレビ大好きです。着物姿チェックもやります。
年配の女優さんが?????の姿かなしくなります。裾を端折って走る姿。たすきをかけるかっこう楽しく見ています。若い方の洋服感覚の色合わせを見ていると着付けの方も若いのかなと思ってみます。
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