ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

和モノ便利道具、もひとつ「おまけ」

2006-08-31 18:29:16 | 着物・古布

ふろしきともうひとつありました「てぬぐい」・・・。
包むのはもっぱら「アタマ」の場合が多いんですが、ほかにも使い道があります。
とりあえずは、写真の説明です。
ものすごーく古い「てぬぐいの柄見本帳」、なんと明治43年のもの。
ほどよく熟成されて・・って違います。
裏表紙には「画工」、つまりデザイナーでしょうね、「山中玉豊」とあります。
表紙の裏には「京都悉皆商」「小山伊之助」などの文字が・・。
厚さは1センチほどで、大部分が「てぬぐい」の柄見本、
あとはふろしきと半てんの見本が少々。
その見本柄をいくつかご紹介します。





写真師、つまりフォトスタジオでしょうね。
「魁(さきがけ)」ってのが・・らしい名前です。
次は「海軍御用達」、そう「軍隊」があったのですよね、この時代は。
その下は飛行船の下にぶらさがった布に「輸送業」とあります。
名前も「宇宙商店」・・荷物頼んだら、
どっかいっちゃいそうな「輸送」ですねぇ、ちと不安・・?






こちらはあまりにもすんばらしいデザインで読みにくいのですが、
「美人?化粧品」でしょうか。





ちょっと洋風ものを選んでみたのですが、このほかにももちろん
「純和風」の柄もたくさんあります。

明治43年というと、維新があって、ドタバタがあって・・
憲法が発布されてやっと20年。たぶん、怒涛のように押し寄せてきた
「西洋化」の波にどんぶらこっこと浮いてもまれていた頃、ではないでしょうか。
ちなみに今から96年前です。

手ぬぐいはだいたい一尺二寸くらい、長さは三尺程度、と言うのが昔の単位。
今で言うとだいたい35センチ前後・・長さは90センチ前後です。
製造元、お店によって違い、また使われている「木綿」も違います。
一度「さらし」を売っているお店にいってみるとわかりますが、
価格に幅があり、使われている糸の質や織り方に違いがあります。
高級なものはユカタにも使われるような、目の詰んだものが使われています。
また手ぬぐいは「染めて」柄をつけますが「注染」と「手捺染」があります。
「注染」は一枚の型紙と「糊」で柄を出しますが、糊の使い方で
「ぼかし」を出したり「差しわけ」といって、糊を何度も使って
いわゆる多色での染めもできます。「手捺染」は、色の数だけ
「型紙」を使う方法。それなりに手間がかかります。
熟練の職人によるものは、どちらも裏表はほとんどないのですが、
昨今は機械による「プリント」が多く、よく見ると裏表がわかるのもあります。
短時間で大量生産・・の結果です。

私が子供のころは、盆暮れにはまだ酒屋さんとかお米屋さんとかから、
小さい「のし」のかかったてぬぐいをもらったものです。
手や顔を拭くのがタオルにとってかわっても、母などはまだ「ふきん」として
使っていましたが、それもドビー織などの「洋風食器用ふきん」になり、
てぬぐいをもらうということもなくなりました。
昨今、和風雑貨として「てぬぐい」が見直されてきて、うれしい限りですが、
だからといって、全て昔と同じような使い道はちょっと・・なのですよね。
水をよく吸う「台所用ふきん」はやっぱり使いやすいし、
お風呂も薄手のタオルのほうがいいし・・。ああ、毒されてしまってる私・・?
だったら別の使い道・・でもいいと思います。

包みのほうでも、手ぬぐいは「タテに長いふろしき」と考えればいいわけで、
小さなもの、たとえば「お弁当」とか「ペットボトル」とか、
そういうものを包むにはとても便利なものです。
また、ちょっと手を加えれば、巾着やバッグも作れます。
巾着の作り方、一番オーソドックスなもの描いてみました、中袋はなし。
図の中にも書きましたが、本来てぬぐいにははっきりと「裏表」が
ないものが多いのですが、わかりやすいように、ちょっと色をかえました。
実際のときは「みみ」で確かめてください。





上のひも通し部分を残して「脇」を縫い合わせます。
どのへんまでかは、ひも通しをどれくらいにするかで変わります。
縫いどまりはキッチリと、返し縫などでとめてください。

ひも通しの部分の端始末。これをしておかないと、
ひもを出し入れするたびに折り返したところが出たり引っ込んだりします。

ひも通しの部分を内側に折り込んで縫いますが、
このときひもの通る分だけ、単純に折り返して縫うと「ふつうの巾着」、
ひも通しを少し大きめにとって、ひもの通る分だけもう一度縫うと、
ひもを絞ったときに、上にギャザーのよったところができます。





これで、内側の角を三角につまむと「マチ」ができます。
巾着は「マチ」が合ったほうが使いやすいものです。
いずれにしても、何しろ34×90ですから、
そのままだとどれくらいの大きさになるか
手ぬぐいをたたんでみて確かめてください。



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2 コメント

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Unknown (陽花)
2006-08-31 23:23:26
年季の入った「てぬぐいの柄見本帳」ですね。

こういうのは、なかなか普通では手に入らない

ものですし、その時代に流行った柄行が解って

いいですね。ほんと!貴重な物を見せていただきました。
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-09-01 00:14:26
陽花様

昔のものって、なんか一生懸命な感じがするんです。

思いすごしかもしれませんが・・。

機械なんてあんまりなかったと思いますから、

人と人のかかわりっていうのか、

そういうものが、今より濃厚だったと思うんです。

これを広げながら「こちらの柄なんかいかが?」

なんて、お商売していたんでしょうね。

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