「証紙」のお話を書きましたとき、石下結城のことを書きました。
ブログの友人で、結城を購入した方がおられまして、最初の紹介の証紙写真が「石下系」と思われましたが、
元がそれなりの価格でしたし、私の出した写真や証紙のリンク先もご覧になっておられたので、
とりあえず「結城」であることをお伝えしました。色柄が気に入られたご様子でした。
さて、その結城についていた証紙、私も写真を拝見していたのですが、業者の写真自体が大写しでしたし、
小さな会の名前のところまでは、注意が回りませんでした。
それが「本場真綿絢結城保存会」…保存会と名のつく組織はこれまた一つじゃないんです。
聞いてはいましたが、今回更に調べましたら、この会の本部は「京都」にありました。
そして、別のサイトではこの証紙のついているものは「出機」という形で、
新潟で作られたもの、という記述もありました。
出機、というのは要するに「下請けに出す」ということです。糸や技術が本場から行くわけですから、
できあがるものにインチキ要素はないのでしょう。でも、なんでこんなことするのでしょうね。
えぇと私は織物についてのプロではありませんから、詳しい説明というと、私自身が混乱します。
なのでおおざっぱな話ですが、糸ひとつとっても、種類がたくさんあり、それぞれに特徴があります。
手で紡いだ糸は、当然太さも均一でなく節があったりします。また機織りには経糸と緯糸があります。
経糸と横糸の種類を変えたりもします。
機織りをするとき、節のある撚りのない糸は、切れやすいので作業がしづらいです。
そこで糊をつけるとか、切れるとつなぐとか、最初に強い糸を絡ませるとか、
いろいろな方法が取られたり、また最初から弱い糸は使わないとか、そうい違いもあります。
以前から言っていますが「大島紬」は、全て生糸を使っています。
つまり、本当は「紬」ではありません。紬というのは手で紡いだ糸を使うから紬といいます。
それでも、今時、手ですべての糸を紡ぐなど大変なことですから、生糸を使うわけです。
結城は「本場結城」と言われるものは「手紡ぎ」ということが決まりごとですから、手で紡いだ糸です。
だから量が少ないのです。
更に結城は「地機」、これは「いざり機」と言ったのですが、「いざり」というのは、今や「差別用語」、
お若い方はご存知ないかと思いますが「足が悪くて歩けない障害のこと」です。
それで「いざり」を「地」と変えていいます。いざり機という言い方もまだ残っていますが。
いざり機は、普通よく見る機織りのように少し高いイスに座ったような感じの機と違って、
床に近い位置にすわった形で、腰に経糸を回して張りを調節する…といいますが、
これはもう実物を見ないと説明がうまくできません。
とにかく「地機」と高機とは違います。結城はこの「地」か「高」かで、また違いが出るわけです。
本場結城紬のあるサイトで「結城紬は全て手織りですか」という質問に答えて、こんなことがかいてありました。
「他産地の結城紬については知りません。
これは、それぞれの結城紬が独自の検査組合によって検査しており
ここ結城の検査協同組合とは全く別の組織であるため、検査基準も全く異なるためです。
当然、手つむぎ糸、手しばり、手織りを明確に検査基準にあげているわけではないので
何とも言えないというのが正直なところです。
ですから、「結城紬」と名の付く反物が全て手織りなのか・・・というとそうではないかもしれません。」
買う側は、産地も糸や織り方も熟知し、証紙も全て覚えなければ、
自分の手にしたものがなんだか理解することはできませんねぇ。
だから私はやっぱり「こういうことをちゃんと知ってる呉服屋が、そばにいてくれるといいなぁ」と思うわけです。
いや、実際には、上の「お答え」のように、プロでもわかりかねることもあるらしいですが・・・。
魚屋は自分が仕入れる魚が、どんな魚で、どこで獲れて、どういうものが新鮮で、何をして食べれば美味しいか…
いろんなことを知っています。お客様にいい魚を提供するためです。
だから「これは養殖ものだけどね、そのかわり安いよ」とか教えてくれますよね。
呉服屋さんが、自分のお客様に対して「どのランクのどんなものがほしいのか」に合わせて、
提供するわけです。それがなくなった今は、どうにもなりません。残念ですねぇ。
おかしなたとえですが…かつて、母が私を連れ子して再婚してから今までのあいだに、
何回かそのことが話題になって「あ、じゃ本当のおとうさんじゃないんだ」と言われたことがあります。
確かに実の親ではありません。でも「本当の」という言い方だと、じゃ「うそのお父さん」と言うことになります。
父は実の親ではありませんが、父親として、私を一生懸命育ててくれました。
だから「ほんと、うそ」という別ではなく、いわゆる「生みの親育ての親」ということです。
習慣的な言葉遣いで「ほんとのおとうさんじゃない」という言い方は、今でも聞きますが、
ちょっとさみしい言い方だな、といつも思います。
織物の例え話としてはおかしいかもしれませんが、生みの親がいて、養い親がいて…、
それでも「結城紬」を一生懸命作っているのだったら、それでもいいじゃないかと思います。
化繊でできたものを絹だと言ったり、外国で織ったものを国産だと売ったりしたら、
それは「うそ」だし、詐欺ですが・・・。
なんだか、証紙に限らず、いろんなところで「業界」そのものが、右往左往している気がします。
落ち着いて、好きな色柄の着物を着たいものですねぇ。
この証紙は一体…?と混乱してしまいました汗。
本部が京都で「出機」という形で新潟で織られたもの。
うーん、混乱しちゃいますネ…。
でも生地はほっこりと優しい感じで気に入ってます。
胴抜き仕立てでお仕立てしたいです♪
なるほどそういうことがあるのですね~
結城の証紙は大島よりも複雑なかんじですね。
インチキは困りますが消費者にとっては一つのめあすになるものですからすっきり、わかりやすくと言うことにはできないものでしょうか。。。
実際には新潟だけではないような感じですし、
ほんとにわけがわからない団体ですね。
要するに、色柄気に入って着やすかったらいいんですよね。
いずれにしても、紬系は水を通るごとにしなやかに
それでいてシャッキリ軽くなりますから、
先々楽しみですね。
最初は、産地の近くで・・・ということだったのでしょうけれど、
呉服業界も大変ですから。
外国に出すよりはマシですよね。
本当は、こういうことこそ行政的に「○○紬はこういうもの、これ以外はこれ」と、
きっちり指針を決めたらいいと思っています。
やたら「伝統工芸」の認定ばかりするし。
関西で結城にあまりなじみがないせいもあるんだと思いますが、証紙をネットで調べて、証紙も産地も結構多くてわかりにくかったです。
結城の場合、元々は真綿から引いた糸でほとんど撚りを掛けていないものを経緯とも使うので、地機でないと織れない、高機で織ったものは経糸が違う、と聞いたこともあります。
普通の紬糸の場合、ある程度撚りが掛かっていたり、双糸にしたりしますので、たぶん、撚りの掛かり方が違うのだろうと思うのですが…。
証紙があっても、どういう糸か、機か、分かるわけではないので、結城で、どういう糸なのか、絣の仕方、地機か高機かなどが書いてあるとありがたいなあ、と思います。
久米島紬など染料まで書いてあるのを見ると、他の土地のものもそういう風にしてくれるといいなあと思います。
出機は、産地付近のは江戸時代から、遠方のは明治以後に広がったものだろうと思います。
糸を作るのも冬の手仕事、それを買って、デザインして、絣に染めた糸をまた冬の手仕事で農家の人が織っていた(基本は織り子さんを雇って織る)のが古い形、これが明治以降遠い地方まで広がったのだと思います。
新潟だと、地機で上布を織っていましたから、地機で織れる人が多かったのかもしれません。
ほんとに結城はどれがどれだかです。
もともとは撚りがない糸で織るものなので、
結城は糸をつなぎ合わせる技術の方を先に習う…と、
聞いたことがあります。
結局結城の証紙が何種類もあるのは、高機なければならない糸を使うから、なんですよね。
そういうことは「マイナスポイント」みたいに考えているのか、
ちゃんと説明しません。
少し知り始めると、手織り機械織りの区別くらいはわかりますが、
実際、どこの「組合」も、お客のことより自分とこの宣伝ばかり?
証紙って何のためについているのかなと思います。
昔、情報もその拡散も、運搬も、今より規模が小さい頃は、
地元かその周辺でまとまっていたのでしょうけけれど、今や一日で、
日本全国なんでも動く時代、どこで何の出機があっても不思議はありませんが、
技術さえ守られていればどこでもなんでも、というのは、ちょっとさみしい気もします。
私のような、耳ダンボで実情は見ていないものの戯言では、ただのグチばかりですが、
なんとかいい形で進んでほしい、残っていってほしいと、着物好きとして祈るばかりです。